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やりたいことを全てやるのが経営か? ホームPRには「一点突破型」が効果的

私は仕事柄、多くの介護事業経営者にインタビューします。

インタビューの際は「運営するホーム・事業所の特徴は?」「今後の事業展開・目標は?」と必ず聞くようにしているのですが、前者の質問への回答に「おやっ?」と思うことが多々あります。

実際に次のようなコメントをする経営者や施設長が少なくありません。

「とてもいいホームです。手頃な費用で入居でき、食事はおいしく、楽しいレクやイベントがあります。スタッフはみんな常に笑顔で、おもてなしの心を大切にして、ご入居者様一人ひとりに寄り添ったケアを行っています。もちろん医療的な対応が必要な方や看取り期の方にも積極対応しています。建物は清潔で明るく、開放的な雰囲気です」

もし、この条件を全て満たすホームがあるならば、次の「有料老人ホーム三ツ星ガイド」で史上初の4つ星がついて、巻頭特集が組まれるでしょう。

しかし、実際には全てを高いレベルで満たす大谷翔平選手のようなホームはありません。

入居費用が手頃であれば、建物の立地や質、居室の広さなどはどうしても二の次になります。

また、低価格ホームはスタッフの配置が限られる傾向があり、個別ケアを実践しようにも限界があります。経営を成り立たせていくには、どこかを妥協しなくてはいけません。

つまり、これらはホームの「特徴」ではなく「理想像」「目標」です。

しかし、実際には、この2つを混同して話をしてくるケースが多いのです。

先日、有名介護コンサルタントと一緒にセミナーに登壇する機会がありました。

その際の「やりたいことを何でもやるのが経営ではない」というコンサルタントの言葉がとても印象に残りました。

誰にでも理想の企業・ホームの姿はあるでしょう。

しかし、資金や人的資源、時間、経営者の個人的事情などさまざまな理由で、その全てを叶えることができないケースがほとんどです。

その結果として、全てを追い求めることはせず「レクは毎日2回実施・レク専属のスタッフがいる」「30室の小さなホームだが、夜間は看護師2人常駐体制」「すぐ裏の農家から無農薬栽培の米を直接仕入れ、施設内で精米している」「正規雇用の介護スタッフは全員介護福祉士資格取得者」など「ここだけは近隣のホームのどこにも負けない」というアピール材料を持とうとするのです。

再びコンサルタントのセリフからですが「やりたいことの中から、最も効果的と思えるものに資源を集中投下する」ことが経営です。

先ほど大谷翔平選手の名前を出しましたのでプロ野球で例えますが、走塁のスペシャリストであるソフトバンクホークスの周東右京選手のように「一芸に秀でる」ことを目指す方が効果的です。

私のようなマスコミ関係者からすれば、そうしたホームは「画になりやすい」ので、自然と取り上げる機会が多くなります。

高齢者住宅入居相談事業者も「充実したレクを希望する相談者がいたら○○ホームに」と紹介しやすくなります。

入居者募集がスムーズに進むだけでなく、ミスマッチも少なくなります。

また、アピールポイントがしっかりしているホームは求職者へのPR効果も高いですから、人材獲得の面でも有利になるでしょう。

先日、要介護認定を受けていない人も入居できるホームにインタビューに行きました。

アクティブな人が楽しめるよう館内にはゴルフの練習場まで備えています。

「その代わり」と言っては何ですが、医療法人が運営するホームで、すぐ近くに法人が運営する大病院があるため、終末期はそこで過ごしてもらうことにしています。

「ホーム内での看取りには対応していません」と言い切っていました。

こうした「取捨選択を行う判断」も運営には必要かもしれません。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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