一億総SNS活用時代に求められる 高齢者住宅の広告戦略とは何か
先日、大阪市内のある駅で有料老人ホームの入居者募集の看板広告を見かけました。
実際に画像でお見せできないのが残念なのですが、とても斬新で目を惹くもので思わず写真に収めてしまいました。
画像はAIで生成したものかと思われます。
左側は老若男女7名の人物(上半身)をそれぞれ違う方向や表情、ポーズで縦に配置しており、背景は近未来感のある大都市です。
老人ホームの広告ですから、人物の中で最も大きく描かれているのはヘルパーとケアを受けているであろう高齢女性、一番大きなキャッチコピーは「入居者募集中」なのは仕方ありませんが、一見するとアクションかSF映画の宣伝のようです。
私は、この広告の上手さに唸りました。
近年、消費者の情報収集はインターネットやSNSが主流です。
「何かあれば検索する」のが当たり前です(最近はChatGPTを使うので「検索する」という概念すらなくなりつつありますが)。
ですから、看板やポスター、新聞や雑誌、テレビやラジオなどの広告も「そこで消費者に情報を伝える」ことよりも「ホームページやSNSに誘導させる」ことが狙いになっています。
インパクトのあるデザインやキャッチコピーなどで「これは一体何だ?」と消費者に関心を持たせ、スマートフォンの二次元バーコードリーダーを向けさせればいいのです。
その点で言えば、このホームの広告は非常に的を射ています。
建物の外観や内部の写真もありますが、下の方に小さく配置していて目立ちません。
肝心のホームの名称は右上にありますが、介護付有料老人ホームという言葉やホームのブランド名は小さく、「いくの」だけが大きく記載されています。
また、キャッチコピーのひとつは「『世界』を感じる空間を日常に」です。
つまり「全体としては、遠目からでも目を惹くが、ぱっと見ただけではよくわからない」のです。
これは誰でも思わず近づいて見てしまいます。
事実私はホームで電車を待っていた列から離れて、わざわざこれを見に行きました。
私はこの会社を知っていますので、それ以上の検索の必要はありませんでしたが、一般の人なら「こんな広告を出している会社は何だ」と社名を検索するでしょう(その点で言えば二次元バーコードがあった方が良かったですが)。
情報を無尽蔵に載せられるインターネットと違い、紙媒体の広告には一度に伝えられる情報量に限りがあります。
それだけに、そこに掲載する内容は厳選しなければなりません。
しかし、広告の掲出が下手な企業ほど、限られたスペースに多くの情報を詰め込み過ぎてしまい、逆に消費者の読む気を削いでしまいがちです。
高齢者住宅で言えば「真心」「おもてなし」とか「介護スタッフ24時間常駐」など当たり前のことをPRするのはスペースの無駄遣いです。
そうしたことはホームページの中で語れば済む話です。
当たり前すぎる広告では「この会社のホームページを見てみよう」という気まで起こしません。
しかし、実際の高齢者住宅の広告多くは、こうしたありきたりのコピーに食事などのイメージ写真など決まりきった形になっています。
人物を載せるにしても実際の入居者やスタッフの写真はプライバシー保護の観点などから使えず、フリー素材ばかりです。
複数の会社が同じフリー素材の写真を使っていることも珍しくありません。
これでは、消費者の目に留まりませんし反響も期待できません。
介護業界ではないのですが、私がこれまで見た広告の中で最も秀逸だと思ったのが、30年以上前に見た製粉会社の求人広告です。
真っ黒い背景に白抜きの文字で「白い粉を売ってくれ」とだけ。
シンプルですがインパクトは抜群です。
きっと今ならInstagramあたりでバズっていたことでしょう。
介護の三ツ星コンシェルジュ


