「住宅手当」や「子ども手当」は差別? 理想的な給与の仕組みを考える
皆さんの職場には、基本給以外に「手当」はあるでしょうか。
一般的なものとしては「役職手当」「資格手当」「通勤手当」などがあるかと思います。
このほかに「住宅手当」「子ども手当」「母子(父子)家庭手当」などを設けているところもあるでしょう。
こうした手当が充実していることを求人の際のアピール材料にする職場も珍しくありません。
ところが、有料老人ホームやグループホームを全国で運営する大手介護事業者は、そうした手当の類を一切導入していないそうです。
その理由について、社長は次のように語っています。
「給与というのは、従業員の職務能力や実際の働きぶりに対して支払われるもの。『マイホームを持っている』『子どもがいる』というのは、その人の職務能力などに全く関係のない要素。それに対して金銭的な差をつけるのは不公平ではないだろうか」
この発言を、私なりに咀嚼して解釈してみました。
家を買うのは、当人が金銭的に無理はないかどうかを判断して、自己の責任において行うものです。
子どもを作ることも同じです。
当人が「今の給与で問題ない」と考えて実行したことに対して金銭的な援助を行うのは、必ずしも合理的とは言い切れないのではないでしょうか。
また、こうした手当は「家を買うこと」「子どもを作ること」が「人生で評価されるべきポイント」という解釈にもなります。
生き方の多様性の否定とも捉えられかねません。
さらに子どもに関して言えば、生まれながらの体質などの問題で作れない人もいます。
このように、本人の努力などでは解決・解消できないことを判断材料にして給与額に差をつけることは議論を呼ぶ可能性もあります。
前述の会社の社長は「もし従業員に金銭的支援をしたいのであれば、手当という個々に差が出るものではなく、全員の給与を等しくベースアップすべきではないか」とコメントしています。
私も、手当についてこうした発言をした介護事業経営者に会ったのは初めてでしたので、正直驚きました。
それと同時に手当について改めて考える機会となりました。
手当を導入することのメリットとしては、冒頭で述べたように「福利厚生がしっかりしている企業」というイメージを与えることができます。
資格取得や昇進が収入の増加に直結するため、従業員が自己成長・自己研鑽に励む企業風土が醸成されやすいという点もあるでしょう。
また、ユニークな手当を設けていれば、メディアやSNSなどで話題になり宣伝効果も期待できます。
しかし、以下のような点には注意が必要です。
例えば
①基本給30万円・諸手当無し
②基本給20万円・諸手当10万円
という2つの会社があったとします。
月の給与額はともに30万円です。しかし、ボーナスの計算は基本給がベースとなります。
ボーナス2.0ヶ月分の場合
①は60万円ですが②は40万円になります。
こうした仕組みを知らないまま、①から②の会社に転職をしてきた人がいたら「前の会社と同じ給料で、同じ2ヶ月分のボーナスなのに、20万円も支給額が違う」と不満を感じることも考えられます。
本人の認識不足・理解不足が原因でも、こうした話は最近ではすぐにSNSなどで拡散されてしまいますし、一度炎上してしまうと火消しは非常に困難です。
余計な騒動に巻き込まれないようにするためには、給与体系はなるべくシンプルな方がいいかもしれません。
このように手当は企業にとって両刃の剣となる可能性があります。
メリットをうまく享受できるように、従業員の年齢層や性別割合、平均勤続年数や資格の取得状況などをしっかり判断して、効果的と思える手当のみを採用していく必要があるのではないでしょうか。
介護の三ツ星コンシェルジュ



