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22%が勤務中にアクセサリー着用 介護職の服装規定、厳しい?緩い?

 介護系の人材サービスを手掛ける会社が2023年12月、現役女性介護職を対象に実施した
「勤務時の身だしなみ」に関するアンケート調査の結果を発表しました。

介護職というと利用者の安全を考えて「ネイルケアやアクセサリーの着用は禁止」などの厳しい規定があると思われがちです。

しかし、実際の回答をみると「明るい色に髪の毛を染めている」人が21%「勤務中にアクセサリーを着用している」人は22%いました。また、最近では現役介護職がSNSなどでインフルエンサーとして活動するケースも増えていますが、その中には髪の色が青や赤という派手な人もいます。

このように髪の毛の色やスタイルなどについては、意外と「緩い」職場もあるようです。

企業が従業員の髪の色など身だしなみについて規定を設けるのは「真面目」「清潔」などのイメージを大切にしたいという狙いがあります。
銀行など「堅い」というイメージの企業ほど規定が厳しい傾向にあるでしょう。
そして、介護の場合はこれに加えて「利用者が高齢者である」ということも大きいようです。

最近は年齢を問わずに髪の毛を明るくしている日本人は少なくありません。
しかし、介護サービスを利用する高齢者が若かった頃は、明るい髪の毛の色の日本人は殆どおらず、「明るい髪=外国人」というイメージがありました。

そして、介護サービス利用者の中には戦争体験があることなどから、外国人に対して複雑な感情を持っている人がいることも考えられます。
今回のアンケートの自由回答には「利用者が違和感を覚えるため、明るい髪色は控えるよう職場から言われている」というものがありました。「明るい髪色に対する、利用者のネガティブなイメージ」が規定の理由になっていると言えます。

その一方で、前述したように最近では赤や青、金髪などの介護職もいます。
こうした背景には「採用が困難で『金髪禁止』などの採用・就労条件を見直している」介護事業者がいることが考えられます。

ある中堅介護事業者も、数年前に「タトゥー禁止」の採用・就労規定を「利用者から見えないようにテープやサポーターで隠せば可」と緩和しました。この会社の経営者は「タトゥーの有無は、介護職としての能力に何の関係もない。
タトゥーがあるだけで就労不可というのは、優秀な人材を採用できるチャンスを逃すことにもなりかねない」とコメントしています。

それに加えて、自分も若い頃に髪を染めていた年齢層の人が介護サービスを利用するようになってきていること、東南アジアの方が中心ですが、特定技能など介護現場で外国人が働くのが珍しくないことなどで、明るい髪の色に対して違和感のない利用者が増えてきたことも理由として考えられます。

さて、髪の色やアクセサリーの着用などが自由という職場であっても、実際には「介護職として相応しいもの」「利用者の安全を損なわないもの」などの不文律があるケースが大半です。
その中で「完全に本人の判断に任せている」という介護事業所もあります。ここはユニフォームも無く、介護スタッフは私服で勤務します。

ある日、女性スタッフが超ミニスカートに網タイツという格好で出社してきました。社長はさすがに「利用者からお尻を触られるなどのセクハラを受けるかもしれない」と注意をしました。しかし、彼女は「別に触られても構いません。私はこの格好をしたいのです」と全く意に介さなかったそうです。

このように、髪色や服装などに関して従業員の自由意思を尊重する場合には、それにより生じるリスクに関しても自己責任で受け入れるだけの「覚悟」を求めていく必要があると言えます。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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