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アンケート調査「超高齢社会×デジタル社会」に見る① 高齢者の社会的孤立の現状

「超高齢社会×デジタル社会」をテーマに実施したアンケート調査の結果が1月22日に発表されました。

この調査は一般財団法人AVCCという団体が昨年末から今年頭にかけて実施したもので、65歳以上の高齢者175人が回答しました。
今回から2回にわけて、この調査結果をもとに、高齢者の社会的孤立の問題と、その解決方法としてのスマートフォン・パソコンの有効性などについて検証してみましょう。
前半は高齢者の社会的孤立の実態についてです。

 「日常生活で一番困っていること」(複数回答)という質問では、「体力の衰え」が55%でトップとなりました。2位が同率で「家事全般」「買い物」の11%、4位が「食事の準備」の6%です。これを年齢層別に見てみると、「買い物」は65歳未満では2%、70代前半では5%と少数ですが、70代後半では15%と一気に3倍に増加します。それ以上の年代でも17~20%と高い水準で推移しています。

 この結果は、70代後半から自動車の運転免許を返納するなどして外出が難しくなる人が増えることを示していると思われます。外出が難しくなれば、当然ながら高齢者の社会との関わりは少なくなります、それが原因で体力の低下のほか、認知機能の低下などを招く可能性が高くなります。
事実、新型コロナウイルス感染症で不要不急の外出自粛が求められていた期間は、高齢者のフレイル進行などが全国各地で課題になっていました。

 高齢者の体力・認知機能の低下を防ぐために、ボランティア活動をする、働く、地域の体操教室などに通うといった「社会参加」が注目されています。
「社会参加を望んでいるか」という質問については「自分のペースで参加したい」という回答が多くなっていますが、80代後半では31%が、90代以上では50%が「体力や健康状態で参加することが困難」と回答しています。

一定年齢以上になると、社会がソースやツールを用意しても参加自体が難しくなっている実態が伺えます。こうした、年齢の上昇とともに高齢者と地域のとの関わりが薄れていく様子は、次の質問でより顕著になります。

「もし支援が必要な場合、誰に支援を求めますか」(複数回答)では、70代前半の20%が「地域コミュニティ」と回答しており、地域コミュニティがセーフティネットとして一定の役割を果たしていると言えます。しかし、年齢層が上がるにつれて回答比率は低下し、80代後半では6%、90代以上ではゼロとなります。また、全ての年代で1位は「家族・友人・知人」となっていますが、90代以上では家族や友人・知人の数も減っているためか「支援を求める相手がいない」という実に深刻な回答も13%に達しています。

 このように、今回のアンケート調査からは、高齢者自身は「社会とのつながりを持ちたい」と思いつつも、年齢層が高くなるにつれて身体状況などの問題から社会的孤立の度合いが高くなっていくという状況がみてとれます。

こうした課題を解決するものとして期待されているのがスマートフォンやパソコンなどのデジタルツールです。SNSで遠く離れた家族や他人ともつながることができ、Zoomなどでリアルな会話もできます。
介護予防や要介護度の進行防止に不可欠な体操・リハビリテーションも自宅にいながら画面越しに行えます。行けなくなった買い物もAmazonなどのオンラインストアで済ませることができます。

では、実際に高齢者はこうしたデジタルツールをどの程度活用しているのでしょうか。
次のコラムでは、その部分について詳しく検証していきます。

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