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「ケアマネの専門性・業務内容に見合った年収」は500万円 希望と現実のギャップで6割がケアマネ以外に転職

一般社団法人日本介護支援専門員協会は、2023年12月、居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員(以下:ケアマネ)の人材確保に関する実態調査の結果を発表しました。

今回は、この結果を元にケアマネの採用、給与や離職に関する現状を詳しくみてみましょう。

この調査は、2023年10月~11月にかけて居宅介護支援事業所に所属する同協会会員の中から無作為抽出した1867人を対象に実施したもので1130人が回答しました。なお、回答者の87.7%が居宅介護支援事業所の管理者・代表者です。

 過去3年間にケアマネを1人以上採用したのはほぼ半数の530人。
求人開始から実際の採用までの期間は「6ヵ月以上」が30.8%で最も多く、次いで「3ヵ月以上6ヵ月未満」の24.7%となっており、採用に苦労している実情がわかります。

「採用が困難な理由」(複数回答)では「ケアマネは困難な業務だと思われ敬遠されている」が最多。
以下「介護業界内での人材獲得競争が激しい」「事業所がある地域にケアマネが少ない」「他産業との人材獲得競争が激しい」の順となっています。

 過去3年間でケアマネの退職があった事業所に、退職後のケアマネの進路を聞いてみたところ、「ほかの介護事業所に転職」「独立・起業」の合計は36.8%。
逆に言えば、それ以外はケアマネ以外の仕事に就いた形になります(定年退職もあるでしょうが)。

この結果からは、せっかく難しい試験を受けてケアマネ資格を得たにも関わらず、それが活かせない道を選んでいる人が多いことが伺えます。

では、こうした事態を防ぐには、どのような対応が求められるのでしょうか。

「ケアマネの採用促進に最も大きな影響を及ぼしていると思われるもの」(複数回答)を尋ねたところ、1位は「業務の専門性や重要性に見合った賃金アップ」で、以下「資格更新のための研修の費用負担」「業務負担軽減」となっています。

 

「現状のケアマネの賃金は専門性や重要性に見合ったものか」という問いに対しては「見合っていない」「やや見合っていない」の合計が77.0%であり、賃金面での不満が多いことが伺えます。

特に、ここ数年は介護人材確保ために国が様々な加算・手当などを設けたこともあり、介護スタッフの給料は上昇傾向にあります。

相対的にケアマネの給料は安くなり、同一法人内で「ベテランのケアマネよりも、若手介護スタッフの方が高所得」という現象も起こっています。このことがケアマネのモチベーション低下につながっているとも考えられます。
 

では、当のケアマネ自身は、業務の専門性や重要性に見合う年収はどの程度と考えているのでしょうか。最も多かったのは「450万円~500万円未満」で45.7%、次いで「500万円~550万円未満」の33.0%でした。

一方、ケアマネの実際の所得については、さまざまなデータがありますが、公益財団法人介護労働安定センターの「令和4年度介護労働実態調査」では約368万円(居宅介護支援事業者の月給の者)、日本介護支援専門員協会の「令和6年度介護報酬改定に向けた介護支援専門員の給与調査結果(速報版)」では約343万円(勤務先が居宅介護支援事業所・常勤専従)であり、理想とは100万円程度の差があります。
これを埋めていかないとケアマネ不足の解消は出来ないと思われます。 

2023年9月8日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会で示された資料によると、居宅介護支援事業所従事者の平均年齢は51.6歳です。

今後10年程の間に大量の定年退職が発生すると考えられます。
それ以外にも自身の体調や家族の病気・介護などの問題で退職するケースが増えてくる年代です。

若い世代のケアマネの確保に向けて早めに手を打っておく必要があると言えそうです。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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