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【新人介護職向け】介護おむつの適切な選び方と使い方

こんにちは!「しんぶろぐ〜介護ノート~」を運営しているしん(@shinbloger)です。
簡単に自己紹介させてください。

・15年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・認知症デイの相談員4年以上の経験があります。

今回は、介護おむつに関するコラム記事です。

介護現場でのおむつ選択や使用方法の誤りは、利用者の快適性を損なうだけでなく、健康上のリスクをもたらす可能性があります。
そのため、適切なおむつの選択とその正しい使い方は重要です。

僕は現在も老人保健施設で働いており、日々数十人の排泄介助を行っています。

この記事では、新人介護職員向けに、介護用おむつの適切な選択方法と使い方について解説します。
記事を読めば、介護用おむつに関する知識を深めることができるでしょう。

はじめに:介護におけるおむつの重要性

介護現場でのおむつ使用は、利用者の快適性や尊厳の保持だけでなく、皮膚トラブルの予防や感染症リスクの低減にも直結します。

適切なおむつを選び、適切に使用することで、長時間濡れた状態や不衛生な環境による皮膚の損傷や炎症を防ぐことができます。

特に高齢者の皮膚は薄く、敏感であるため、皮膚トラブルが起こりやすいんです。

また、清潔で乾燥した状態を保つことは、細菌やウイルスの増殖を抑制し、尿路感染症や床ずれなどのリスクを減らす効果もあります。

そのため、おむつの適切な選択と使い方を理解することは、利用者の健康を守り、より高い生活の質を提供するために不可欠です。

介護おむつの種類と特徴

介護おむつは、主にアウター(外側のおむつ)とインナー(内側のパッド)の2種類があります。

アウター(外側のおむつ)
パンツタイプ


パンツタイプのおむつは、下着のように履いて使用します。
普通の下着と外見が似ているため、使用者にとって抵抗感が少なく、身につけやすいのが特徴です。
目立ちにくい薄型デザイン、ローウエストスタイル、吸収力が高い厚手タイプ、服装に響かないデザインなど、様々なバリエーションがあります。

テープ止めタイプ

テープ止めタイプは、ウエスト部分をテープで固定するタイプです。体型にフィットしやすく、横漏れや背中漏れを防ぎやすいのが特徴です。

インナー(内側のパッド)

インナー、または尿取りパッドは、アウターの内側に装着して使用する吸水パッドです。
アウターのみでの使用も可能ですが、インナーを併用することで、アウターの交換頻度を減らし、インナーだけの交換で済ますことができます。

これにより介護の手間が軽減され、経済的負担やゴミの量も削減されます。
インナーにはパンツタイプやテープ止めタイプのアウターに合わせたものがあり、適切な種類を選ぶことが重要です。

アウター(外側のおむつ)はパンツタイプとテープ止めタイプどっちを選ぶべき?

つづいて、アウターのパンツタイプとテープ止めタイプの選び方について解説します。

パンツタイプが向いている方

パンツタイプは、自力もしくは介助があればトイレに行ける方で、介護レベルが比較的軽度の方に向いています。
具体的には、手すりに掴まり10秒立位が保てれば、パンツタイプで大丈夫です。
立位が10秒保てれば、ズボンやパンツの上げ下ろしができるからです。

テープ止めタイプが向いている方

テープ止めタイプは、寝て過ごすことが多い方、寝たきりの方、立位が保てない方に向いています。
また夜間帯は睡眠を重視するために、テープ止めタイプを使うこともあります。

介護おむつの選び方(パンツタイプの場合)

つづいて、パンツタイプの選び方を紹介します。

選び方① ぴったりのウエストサイズを選ぶ
ウエストサイズが合わないと、漏れのリスクが高まります。ウエストにジャストフィットするサイズを選んでください。

介護おむつのパッケージには、適正のウエストサイズが記載されているので参考にするといいです。
また、パンツを着たときに拳一個分のゆとりがあるくらいを目安にしてみてください。

選び方② 尿量にあった吸収量を選ぶ
おむつの種類によって吸収量もさまざまです。
日中活動的な方は2~3回分の吸収量で足りることが多いですが、介助が必要な方や歩行が困難な方は4回分以上の吸収力があるおむつが適しています。
また就寝時には、6回分以上吸収できるタイプを選ぶことをおすすめします。

パンツタイプ用のインナー(内側のパッド)の選び方

つづいて、パンツタイプのインナーの選び方を紹介します。

選び方① 尿量にあった吸収量を選ぶ
日中は頻繁に交換が可能ですので、2回分の吸収量のパッドが適しています。
夜間や長時間の使用では、4回分以上吸収するインナーを選んで、安心できる睡眠をサポートしましょう。

選び方② パンツタイプ用を選ぶ
インナーにはパンツタイプとテープ止めタイプ用がありますので、間違えないように選びましょう。
インナーはアウターと併用することで、より柔軟に対応できるようになりますが、アウターのみでの使用も可能です。

介護おむつの選び方(テープ止めタイプの場合)

つづいて、テープ止めタイプの選び方を紹介します。

選び方① ヒップサイズで選ぶ
テープ止めタイプのおむつは、ヒップサイズが選択の基準となります。
お尻の最も幅が広い部分で測定したサイズを元に選び、テープを固定した際にウエストや足周りに指一本分の隙間があるサイズが理想です。
この隙間は、おむつがきつすぎず、かつ漏れ防止にもつながります。

選び方② 尿量にあった吸収量を選ぶ
テープ止めタイプのおむつは、吸収量に応じて様々なオプションがあります。
背中漏れを防ぐポケット付きや、素早い吸収性を持つ商品など、漏れにくさに工夫が施されているため、利用者の状態やニーズに合わせて適切なものを選びましょう。

テープ止めのインナー(内側のパッド)の選び方

つづいて、テープ止めタイプのインナーの選び方を紹介します。

選び方① 尿量にあった吸収量で選ぶ
特に寝たきりの方や、長時間の交換が難しい場合は、高吸収量のインナーを選ぶことが重要です。
日中は2~3回分の吸収量でも十分ですが、夜間や排尿量が多い場合は4回分以上吸収するインナーがおすすめです。

選び方② テープ止めタイプ用を選ぶ
インナーを選ぶ際は、テープ止めタイプ専用のものを選び、必要に応じて男性用や女性用を区別します。
これにより、フィット感や吸収効率を最大限に高めることができます。

介護おむつ(アウター)の正しい交換方法

つづいて、アウターの交換方法を紹介します。

パンツタイプの交換方法

①利用者に手すりを使って立ち上ってもらい立位を取ってもらう。
②使用済みのおむつを下ろすか、横のつなぎ目から下方向へ引き裂いて取り除く。
③便座への移動をサポートする。
④新しいおむつを足に通して装着する。
⑤清潔なティッシュやウェットティッシュで下半身を拭く。
⑥おむつを上げる。

※特に男性利用者の場合、インナーが陰部を覆っているかを確認しましょう。
また、一つ一つの動作に声掛けをすることで、利用者も安心感を得られます。

テープ止めタイプの交換方法

①仰向けの状態でテープを外し、テープは内側に折っておく。
②膝を立ててもらい、おむつを広げる
③陰部を洗浄し、きれいに拭き取る。
④使用済みおむつの端を中心に向けて丸め、側臥位になってもらう。
⑤横向きの状態でお尻を拭き取る。
⑥丸めた使用済みおむつの下に、新しいおむつを敷く。
⑦丸めた使用済みおむつを引き抜き、仰向けになってもらう。
⑧足をまっすぐ伸ばし、おむつをあててテープをとめる。


※新しいおむつは腰骨よりやや上にセットするのがポイントです。
また、陰部にあたるおむつの部分はつまんで盛り上がらせることでしっかり吸収できます。

介護おむつ(インナー)交換のポイント

つづいて、インナーの交換のポイントを紹介します。

ポイント① アウターのギャザーの内側にセットする
インナーがアウターのギャザーの外側にあると吸収量が減り、尿漏れの原因となります。
しっかりと内側にセットしましょう。

ポイント② お尻の割れ目が隠れるようにセットする
インナーはお尻の割れ目が隠れるようにセットすることで、吸収量が最大限発揮されます。

ポイント③ 陰部にあたる部分はつまんで盛り上げる
陰部にあたる部分をつまんで盛り上げることで、しっかりと吸収させることができます。

ポイント④ 男性利用者の場合は、男性用インナーを使用する
男性利用者の場合、側臥位で眠るとすき間ができて尿漏れしやすいです。
それが原因で、シーツや衣類を交換した経験がある介護職は多いでしょう。

そのような時は、円形で陰部を包み込む男性用インナーがあるので、それを使うことをおすすめします。施設にそのインナーがない場合は、先輩方に相談しましょう。

介護おむつ交換のタイミング

介護おむつのタイミングについては、施設や利用者様によって異なります。定時で行うこともあれば、利用者様の排尿に合わせて交換することもあります。詳しくは先輩方に聞いてみてください。

おむつ一つにもコストがかかるので、適切なタイミングでの交換が推奨されます。

まとめ

今回は、新人介護職向けに介護おむつの種類と使い方について解説しました。

最後に、おむつ交換をする時は、事前準備はしっかりしましょう。
交換に必要な物品(新しいおむつ、おしりふき、保護クリーム、手袋、エプロン等)を手の届く場所に準備します。
また、交換前には、手袋とエプロンを適切に着用することで、自身と利用者の衛生を守りましょう。

そうすることでスムーズにおむつ交換ができ、利用者にも不快感をあたえることはないです。

今回は以上になります。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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