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始めたけどなかなか効果無し‥‥ 介護事業者がSNS活用で陥りやすいミス

 最近、介護事業におけるSNS活用、中でも動画の活用に関するセミナーを複数聴講する機会がありました。
ここ数年、採用や利用者獲得を目的に介護事業者がSNSでの動画配信を行うケースが増えています。
しかし、実際にそれを「成果」につなげるのは難しいものです。
今回は、セミナーの内容をもとにSNS動画活用のポイントを紹介します。

 SNSの中でも特にTikTokは若い人の利用が多く「新卒学生など若い人に訴求したい」という介護事業者が積極的に活用しています。
そしてTikTokは「若い人が踊っている」というイメージが強いことから、スタッフのダンス動画を配信している介護事業者も多いようです。

 しかし、冷静に考えましょう。
その動画が、果たして採用につながるでしょうか?

 踊りの動画を見る人は「踊り」に興味があるのであり、「踊っているのはどこの会社の人か」には全く興味がありません。
ましてや動画を見て「そこに就職をしよう」などと考える人が出る確率は、限りなく低いでしょう。
採用が目的なら、事業所の様子や仕事内容を紹介する動画でなくては意味がありません。

 このように、動画配信に際しては「採用」「集客」「介護に対するイメージアップ」など「目的」を明確にし、複数のSNSの中から、その目的に合うものを選択しなくてはなりません。
しかし、実際にはそれができておらず「今はSNSの時代だから」と安易に始めているケースが多いと講師は指摘します。

 「どんなシチュエーションでSNSを活用するか」を的確に把握しておくことも重要です。
例えば、転職活動の場合、
①「転職しようかなあ…」と考え始める
②具体的な企業の情報収集
③応募・面接
④内定の承諾、というステップを踏みます。

この中でSNS動画が一番使われるのはステップ①です。YouTubeなどで「介護 求人」などと検索をかけ、ランダムにショート動画を見て「なんとなく引っかかる企業」を探します。
ステップ②になると、雇用条件・福利厚生などかなり詳しい情報を求めるようになりますので、SNSよりは会社のホームページや転職エージェント、転職クチコミサイトなどが重要なツールとなります。
あと、意外と動画が活用されるのがステップ④だそうです。
つまり「内定をもらった企業に入社していいだろうか?」という最終判断の材料として、その企業のSNSを見るのです。

ですから、単に「求人用動画」といっても、ステップ①用とステップ④用では、全く求められる内容は異なります。特に①は、自宅でソファーに寝そべりながら、風呂に入りながら、などの「ながら視聴」をされることが多いでしょうから、「短時間で」「気楽に見られて」「多数の動画の中でもインパクトが残る」ものであることが求められます。
 

 動画の作成・配信は多くの時間を要します。
撮影は、多望な現場スタッフにも負担を強いることになります。
そのため関わるスタッフのモチベーション維持が重要になります。実際にモチベーションが問題で「動画投稿を始めたけど長続きしなかった」という介護事業者は少なくありません。

講師によると、これは「高すぎる目標設定」が原因だそうです。よく「ネット上で100万回再生‼」「フォロワー10万人の有名人」などとの言葉が頻繁に聞かれるため、始める際に「よし、自分も」と、そこに目標を持ちがちです。
しかし、講師は自身も20万人のフォロワーがいる介護SNSチャンネルの運営者ですが、そこに至るまでに約5年を要したそうです。
目標が高すぎると、到達までの過程が長すぎて、途中で心が折れてしまいます。

当初は、「フォロワー10人」「採用1人」などの低い目標を掲げて、「目標達成」という満足感を何回も味わえるようにすることが、投稿が長続きするポイントです。
 

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