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介護事業者必見 2024年度介護報酬改定の方向性

2022.12.20に行われた社会保障審議会・介護保険部会が介護保険制度見直しに関する意見を取りまとめました。
主要テーマは「地域包括ケアシステムの深化・推進」「介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進」。

結論が先送りされたテーマが「訪問介護と通所介護を利用する要介護1、2の高齢者の介護予防・日常生活総合事業への移行と「ケアマネジメントへの自己負担の導入」の2点。これらについては、2027年度制度改定までに改めて議論することになりました。

一方、2023年夏までに結論を得るとなったテーマが、「1号保険料の標準段階の多段階化」、「介護保険サービスの2割負担の対象者拡大」、「多床室の室料負担の対象施設拡大」の3点。
要は、利用者負担減に関る論点は先送り、利用者負担増に関る論点は実施と、相変わらずの利用者いじめの方向性に落ち着いたというところではないでしょうか。

介護保険制度の創設から20年あまり、高齢化の進化とともに介護費用か約4倍、65歳以上の1号保険料は約2倍に増加ということで仕方ない面もありますが、制度維持の為の政府の苦肉の策と言えるのではないでしょうか。

2割負担の対象拡大で利用控えの恐れも

1号保険料については、現在の9段階ある標準段階を細分化する案が示されました。高所得者から徴収する金額を引き上げる一方で低所得者は引き下げる方向。

2割負担については、現在、単身で年収280万円以上(1号被保険者の上位20%)に導入されているが、200万円以上(上位33%)まで拡大することが検討されている。

3割負担の対象者(現在340万円以上 上位11%)の拡大については、「医療保険制度との整合性や利用者への影響等を踏まえつつ、引き続き検討を行うことが適当」と2027年度改定まで先送りとなりました。

介護保険施設の多床室の室料負担で経営に打撃も

介護保険施設の多床室の室料負担については、現在、特養のみで実施されていますが、これを老健と介護医療院に拡げるかどうかも議論されています。

これについては、業界団体からの猛反発を踏まえつつ、老健と介護医療院の多床室の床面積が特養より狭いこと、社会福祉法人のような利用者負担の減免制度が医療法人には設けられていないことも論点になっています。

いずれにせよ、両施設多床室に室料負担導入となれば、経営面では大きなダメージになりそうです。

地域包括ケアシステムの深化・推進の検討テーマ

住み慣れ地域での在宅生活を最期まで支えるをテーマに推進されている「地域包括ケアシステム」。
これを深化・進化させようというのが今回の改定の改定の目玉。今回の改定では12年ぶりに複合型サービスを創設しようというのか大きなテーマです。

具体的に言えば、通所介護と訪問介護の組み合わせサービスの新設を検討しています。
これに関しては、既に存在する小規模多機能との整合性が大きなポイントとなります。このサービスが導入されれば、コロナ禍で利用者と収入が奪われた通所介護事業者には大きなメリットとなるかもしれません。

その他にも、「ケアマネジメントの質の向上」「医療・介護連携」「施設サービスの基盤整備」(特養入居の「特例入居(要介護1、2の方)」の導入)「介護情報利活用の推進」「科学的介護の推進」「総合事業の多様なサービスのあり方」「地域包括支援センターの体制整備」「介護事故及び高齢者虐待の防止の推進」等が検討されています。

次回は3つ目の大きなテーマ、「介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進」について解説していきます。

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