認知症について

認知症の入浴拒否の原因と対応策

こんにちは!「しんぶろぐ〜介護ノート~」を運営しているしん(@shinbloger)です。
簡単に自己紹介させてくだい。
・13年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・認知症デイの相談員4年以上の経験があります。

今回は、介護職向けに認知症の入浴拒否の原因と対応策について記事を書きました。3分ほどで読める記事なので介護職の方は読んでみてください。

認知症と入浴拒否

認知症の方のケアに携わるとき、特定の日常生活の一部、特に入浴を拒否することは介護職の悩みのタネとなっています。
ここでは、認知症の方が入浴を拒否する原因と、その対応策について探ります。

認知症の方が入浴を拒む理由

認知症の方が入浴を拒む理由はさまざまです。いくつか紹介します。

 恐怖と不安

認知症の方が入浴を恐れる一つの理由は、入浴の時の恐怖や不安感です。
例えば、水圧が強 かったり、浴槽をまたぐときに転びそうになったり、浴室が寒かったりすると、利用者様の心に恐 怖心が残ります。
その結果、入浴拒否につながります。

羞恥心

認知症の方が入浴を拒否する理由の一つに羞恥心があります。
入浴は、利用者自身が裸になることが求められます。
その結果、自分の体を他人に見られることに対する不快感や羞恥心から入浴拒否につながります。

 

過去の経験

入浴を拒否する原因の一つとして、過去の経験やトラウマが原因の可能性もあります。
例えば、溺れた経験や水難事故を目撃した経験、または水に関連する否定的な体験があると、その記憶が入浴時に再現され、入浴を避けようとすることがあります。

認知的な混乱

認知症の方が入浴を拒否する原因の一つに、認知的な混乱があります。
認知症の進行に伴って、高齢者は日常生活の動作を理解し、それを実行する能力が徐々に低下します。入浴はそれ自体が複数の手順を伴う動作があるため、これが困難になると、高齢者は入浴を拒否するかもしれません。
例えば、どのように衣服を脱ぐか、どのように水を調節するか、どのように身体を洗うかなど、入浴には多くのステップが含まれます。これらのステップは、認知的な混乱を引き起こす可能性があります。
また、浴室やシャワールーム自体が見慣れない環境であると、これが更なる混乱を引き起こす可能性があります。

入浴拒否に対する効果的な対応策

つづいて、入浴拒否に対する対応策を紹介します。

信頼関係の構築

信頼関係の構築は、認知症の方の入浴拒否に対する対策の主になります。
介護職と高齢者の間に信頼関係が築かれると、高齢者は介護者の援助をより受け入れやすくなり、入浴や他の日常生活活動に対する抵抗感も軽減することができます。

僕の体験談を話します。
僕が担当していた認知症の女性Oさんは、初めての入浴時には非常に抵抗がありました。
服も脱いでくれず結局入浴ができませんでした。
しかし、毎日のケアを通じて、少しずつ彼女の信頼を得ることができました。
彼女の好きな話題について話したり、一緒に音楽を聴いたり、彼女が好きな飲み物を用意したりしました。
このような小さなことが、信頼関係の構築に繋がり、1ヶ月後には拒否なく入浴してくれるようになりました。

信頼関係を構築する方法は、毎日丁寧なケアを続けていくことと、個々のニーズや好みを理解し、それに対応していくことです。
 

環境づくり

入浴拒否への対策として、環境作りが重要となります。
例えば、浴室の温度や香り、照明や音などです。認知症の方が入浴しやすい環境作りができれば、入浴に対する抵抗感を軽減し、リラックスした状態で入浴を受け入れることが可能になります。

僕の体験談を話します。
僕が担当していた認知症の女性Sさんは、「浴室が寒い」という理由で頻繁に入浴を拒否していました。
そこで、入浴前に部屋を暖めることにしました。
また、彼女が好きなラベンダーのバスクリンを使って、リラックスできる環境を作りました。
これらの変更が効果を発揮し、彼女は入浴を受け入れるようになりました。

このように、環境づくりは、高齢者が入浴を受け入れる助けとなります。
具体的な調整方法は、高齢者の個々のニーズや好みによります。
その方にあった環境づくりを探ってみましょう。

時間を変えてみる

入浴拒否への対策として、入浴の時間を変えてみるのも有効です。
具体的には、午前の入浴を夜に変えてみるなどです。

僕の体験談を話します。
入浴の声かけをしても拒否して入ってくれない男性のAさん。
その方のご家族に相談すると入浴は夜に入る習慣があるとのことでした。
そこで、夜の時間に入浴の声かけをしたところ、すんなり入ってくれました。

このように、個々の習慣に合わせて入浴時間を調整するのも入浴拒否に対して効果を発揮することがあります。

適切なコミュニケーション

認知症の方へのケアにおいて、適切なコミュニケーションは非常に重要です。
特に、入浴のようなデリケートなケアにおいては、優しく、尊重し、理解を示すコミュニケーションが求められます。
認知症の方に対しては、穏やかで優しい声のトーンを使用し、リラックスした態度を保つことが有効です。
これは患者に安心感を提供し、抵抗感を軽減することができます。

まとめ: 入浴拒否への理解と対応

介護職として、認知症の方の入浴拒否に対応するためには、その背後にある不安や恐怖を理解し、適切な対応策を講じることが必要です。
例えば上記で述べた背景や入居される前の生活リズムを知るためにアセスメントシートの確認やご家族にヒヤリングを行い、入居者様についての情報を事前に職員内で共有することによりどの職員でも安心できる環境を整えることができるのではないでしょうか。

その上で、高齢者が日常生活をより快適に過ごせるよう支援することが、介護職の仕事であると思います。

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