認知症について

加齢による物忘れと認知症の記憶障害の違い

こんにちは!「しんぶろぐ〜介護ノート~」を運営しているしん(@shinbloger)です。
簡単に自己紹介させてください。
・13年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・認知症デイの相談員4年以上の経験があります。

今回は、加齢による物忘れと認知症の記憶障害の違いについて記事を書きました。
3分ほどで読める記事なので介護職の方は読んでみてください。

加齢による物忘れと認知症の記憶障害

早速、加齢による物忘れと認知症の記憶障害の違いについて、簡単に説明します。

加齢による物忘れ
初めに理解するべきは、加齢による物忘れは人間が年を取る過程で自然に起こりうる現象であるということです。
これは脳の一部としての「ヒトの記憶」が経年劣化する結果として現れます。

例えば、どこに鍵を置いたかを忘れたり、何を買うためにスーパーマーケットに来たかを思い出せなかったりします。
しかし、これらはしっかりと考えると思い出せる場合が多いです。
なぜなら、情報が完全に消え去ったわけではなく、ただすぐに取り出せないだけだからです。
ヒントを与えたり、具体的な状況を思い出させたりすれば思い出すことが可能です。

【認知症の記憶障害】

一方で、認知症の初期段階である記憶障害は加齢による物忘れとは異なります。
認知症は脳の一部が萎縮し機能が全般的に低下する病気で、特に記憶、思考、判断力が影響を受けます。

認知症による記憶障害は、近い過去の出来事を思い出すことが難しく、同じ質問を繰り返す、同じ話を何度もするなどの症状が見られます。
また、時間や場所に混乱を感じ、日常生活に必要なスキルが低下することもあります。

区別するためのポイント

加齢による物忘れと認知症の初期段階の記憶障害を
見分けるためのポイントを解説します。

【日常生活への影響】
加齢による物忘れと認知症の初期段階の記憶障害を見分けるための一つのキーとなるのは、「日常生活への影響」です。加齢による物忘れは、一時的な忘却であり、ヒントや思い出すための時間があれば記憶が戻ることが多いです。
それに対して、認知症の場合、物事を思い出すのが困難であり、日常生活に影響を及ぼす場合があります。

【再発性】
加齢による物忘れは偶発的に起こりますが、認知症の初期段階の記憶障害は徐々に悪化し、忘れる頻度が増える傾向にあります。

【問題認識の有無】
加齢による物忘れを経験している人は、自身が何かを忘れていることに気づくことができます。
しかし、認知症の人は往々にして自分が何かを忘れているという自覚がありません。
加齢による物忘れと認知症の記憶障害の違いを理解して介護現場でどう生かすか介護の仕事において「加齢による物忘れ」と「認知症の記憶障害」の違いを理解することは、利用者様への適切なサポートを提供するために極めて重要です。

以下では、これを活かすための具体的な方法を解説します。

 

【個々のニーズに応じたケアの提供】
物忘れと認知症の違いを理解することで、高齢者へのケアを適切に調整することが可能となりま す。
例えば、加齢による物忘れの場合、利用者が自分自身で思い出すことを助ける支援をすることが有効です。
これには、ヒントを提供したり、物事を思い出すための時間を与えるといった方法があります。


ある介護職が体験したケースでは、利用者が自宅に帰るためのバス停を思い出せなかったとき、彼女は彼に「バスに乗る前に何をしていたか?」、「バス停の近くには何か目立つ建物はな かったか?」といった質問をしました。
それにより彼女はバス停を思い出すことができました。
一方、認知症の初期段階の記憶障害の場合、支援の方法は異なります。
思い出す能力が著しく低下しているため、状況によっては直接的な指示やサポートが必要となります。

【記憶障害の早期発見と対応】
また、「加齢による物忘れ」と「認知症の記憶障害」の違いを理解することで、記憶障害の早期発見と対応が可能となります。
もし利用者の物忘れが頻繁になったり、日常生活に影響を及ぼし始めたら、それは認知症の初期症状の可能性があります。
ある訪問介護職が体験したケースでは、利用者が同じ質問を何度も繰り返すことに気づき、さらに排泄の失敗などの日常生活への支障を確認しました。
彼はすぐにその状況を利用者の家族と医師に報告しました。

その結果、早期の認知症が診断さ れ、適切な介護と治療が始められました。

このように、記憶障害の早期発見は介護の質を大幅に向上させ、また利用者の生活の質を維持することにも繋がります。

まとめ

「加齢による物忘れ」と「認知症の記憶障害」の違いを理解し、それを現場で活用することは、
利用者一人ひとりのニーズに対応し、適切なサポートを提供するために不可欠です。
利用者の微細な変化に気づき、適切に対応する能力は、介護職員が持つべき重要なスキルの
一つでもあります。

加齢による物忘れが深刻な記憶障害に発展しないように、そして早期の認知症を見逃さないよう
に、日々の介護の現場でこれらの知識を活用していきましょう。

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