認知症について

実際はこのように実践!認知症ケアのメソッド「ユマニチュード」

こんにちは!「しんぶろぐ〜介護ノート~」を運営しているしん(@shinbloger)です。
簡単に自己紹介させてください。
・13年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・認知症デイの相談員4年以上の経験があります。

今回は、介護職向けに認知症ケアのメソッド「ユマニチュード」について記事を書きました。3分ほどで読める記事なので介護職の方は読んでみてください。

ユマニチュードとは?

ユマニチュードは、認知症の方に「やさしさを伝える技術・ケア」です。ユマニチュードの根底には認知症に対する深い理解があります。

・オムツを交換する時に暴れる
・着替えをしてくれない
・食べ物や薬を放り投げる

このような認知症の方の言動を、介護の現場で働いている介護職なら誰もが見たことがあるはずです。
ユマニチュードを正しく実践することができれば、このような問題行動の9割が消失すると言われています。

ユマニチュードの4つの柱

ユマニチュードには、認知症の方に「あなたを大切に想っている」ということを相手に伝えるための技術として「4つの柱」があります。
・見る技術
・話す技術
・触れる技術
・立つ技術
となります。下記に一つずつご紹介いたします。

見る技術

基本は、「水平な高さで、近い距離で、長い時間相手を見ること」です。
具体的には
・目線を合わせる
・近くからみる
・正面からみる
・長い時間見つめる などです。

腰が曲がって下を向いてしまっている人には、下からのぞき込むように、
ベッドに寝ている方が壁側を向いていたらベッドを動かしてでも正面から近づき、視線をつかみにいきます。

「認知症の方に横から声をかけたら、びっくりされて怒られた」そんな経験はないでしょうか?

認知症の方は、認知機能の障害により「ここがどこだかわからない」「周りにいる人が他人に見える」などの症状があります。例えるなら、暗闇の中に1人でいるような状態です。

そんな時、突然横や後ろから声をかけられれば誰だって驚きますよね。

ユマニチュードの見る技術は、認知症の方に認知してもらうための技術です。実践することで、接し方の工夫や距離感を保ち、声をかけて怒られることも少なくなるはずです。

話す技術

基本は、「低い声で、大きすぎない声量を意識すること」です。
具体的には
・低い声で聞き取りやすい声で話す
・顔を近づけ大きすぎない声量で話す
・介助の一つ一つを説明する
・前向きな言葉を心がける
などです。

認知症の方は、理解力や判断力が低下しているため、言葉を理解することが難しくなっており
耳が遠くなって聞きとりづらくなっていることもあります。

ユマニチュードの話す技術を実践することで、認知症の方に安心感を与え、
心地よい雰囲気を作り出しコミュニケーションがとりやすくなるはずです。

触れる技術

基本は、「広い面積で、ゆっくりと、優しく触れること」です。
具体的には
・手のひらの広い面積で触れる
・つかまないで下から支える
・最初は手・顔などは避ける
などです。

あなたの職場にも認知症の方と上手にコミュニケーションをとり、笑顔で会話をしている先輩や上司がいませんか?

その人をよく見ると、肩に手を回したり、手を握ったりしているはずです。
「触れる」ことで優しさや愛情が伝わり、認知症の方とのコミュニケーションをよりよくすることができます。

立つ技術

「立つ」ことによって体のあらゆる器官が機能します。そのため、多くの生理的メリットがあります。
具体的には
・骨粗しょう症を防ぐ
・筋力の低下を防ぐ
・血液の循環が改善する
・肺の容積が増える
などです。


40秒立っていただいている間に、背中、上肢、下肢などを清拭できます。
1日に行うケアで、着替え、歯磨き、清拭、洗顔などを組み合わせると1日20分ほどの立位の時間を作ることが可能です。

実際にも「見える景色がガラッと変わったわ。ありがとう」と車椅子でずっと過ごしていた方が、
立つ訓練をして20秒立てるようになった時に笑顔でおっしゃった声です。
立つことで、視界が30cm上がります。すると今まで見ていた景色がガラッと変わり、感動が生まれます。

無理だと諦めていたことができる喜びは、とても素晴らしいものです。

まとめ

最後にもう一度お伝えしますがユマニチュードは認知症の方に優しさを伝えるための丁寧なケアです。
ユマニチュードを正しく実践することができれば、認知症の方に対して対応に悩む行動は減少するに違いありません。

とはいえ、限られた時間でたくさんの利用者様がいる状況で、
一人一人にユマニチュードのような丁寧なケアを実践している余裕はないと思う方もいるでしょう。

それは間違いです。

雑なケアや対応をしてしまい入居者様が不穏な気持ちになってしまったら、それを落ち着かせるために何倍も時間を浪費してしまいます。
結果的に一人一人に丁寧なケアをすることで、時間の節約になりなおかつケアされる人、ケアする人の両者の幸福にもつながることでしょう。

今回は以上になります

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