福祉用具について

☆☆☆46 車いすの漕ぎやすさについて考えてみる

こんにちは!
「福祉用具屋さんのブログ」を書いている「福祉用具屋さん」と申します。


今回は
「車いすの漕ぎやすさについて考えてみる」
というテーマでお話していきます!

■漕ぎやすい車いすとは?

車いすを自分で漕ぐには、車輪についているハンドリムを握って手で漕ぐやり方(上肢駆動)と、足で地面を蹴って漕ぐやり方(下肢駆動)があります。

車いすを自分で動かす際は、この2つの方法で、手で漕いだり足で漕いだりして行うのですが、「・・・そもそも漕ぎやすい車いすってどんな車いす?」ちょっとわかりづらいかもしれません・・・。

というわけで、今回は手で漕ぐ場合・足で漕ぐ場合の漕ぎやすい車いすについてお話ししてみます。

■車いすを手で漕ぐ場合

手で漕ぐ場合は、1回の漕ぐストロークが長いほど力が車いすに伝わり漕ぎやすくなります。

具体的に言うと、ハンドリムの後ろ側を握ってより前方まで一気にグワン!
と漕げると力が伝わりやすいです(語彙力がなくてすみません・・・) 。

そのためには、腕を後ろに回しやすくする工夫が必要。
漕ぎやすさだけ考えると、車いすの背もたれ高さは低いほうがGOODです。

なぜなら、背もたれが高いと、肩甲骨の可動域が制限され、ハンドリムの後ろ側まで手が回らなくなり、結果的にハンドリムを漕ぐストロークが制限されてしまいます。
ちょこちょことハンドリムを短いストロークで漕がなければならず、1回のストロークで進むスピードも非常に短くなってしまいます。

また、主輪の車軸位置は前方寄りの方が漕ぎやすくなります
(ただし、主輪が前に寄れば寄るほど後方への転倒につながりやすくなるので、転倒防止バーの併用など対策も必要です)。

6輪タイプの車いすなどは、主輪が前方に寄っているので、無理なくハンドリムに手が届きやすく、さらに体の重心と車いすの重心位置が近くなることもあって、非常に漕ぎやすくできています。
手で漕ぎやすい車いすの目安としては、車いすに座って手をだらんと真下に下ろした際に、指の付け根あたりが主輪の車軸位置になるように調整するといい、と言われていたりします。

文面だけだと分かりづらいかもですが、よかったら参考にしてみてください。

■足で漕ぐ場合

足漕ぎをする際は座面の高さに注意が必要です。

座面が高すぎる車いすで足漕ぎしようとすると、足を届かせるためにお尻を前にずらす必要があり、ずっこけ座りの姿勢につながります。
また、座面高が適切であったとしても、足で地面を蹴る際にどうしてもお尻が前にずれやすくなる傾向がありますので、お尻がずれにくいように座面のクッションや背もたれの張り調整で骨盤部分を安定させる必要があります。

ちなみに、座面角度を前下がりの設定にすると足漕ぎがしやすくなったりするのですが、ただし、長時間過ごすイスとして車いすを使う場合、前下がり状態の座面は座り心地も悪くなるので、足漕ぎのみに特化した使い方をするケース以外は、あまりお勧めしていません。

■片手片足漕ぎの場合

半身まひの方の場合などは、片手片足漕ぎという漕ぎ方もあります。

健側の手と足で駆動するやりかたです。
片手方足漕ぎの場合、座面の設定にコツが必要です。
健側の足は地面を蹴れらるよう低めの高さ設定になりますが、地面を蹴る際に健側のお尻が前にずれやすく、クッションや背もたれの張り調整でお尻がずれないような設定が必要です。

患側の安定も必要なため、できれば大腿部分のパッドが取り外せて、健側の足を低く、患側は高く、といった左右の座面高を変えられる機能の付いたクッションを選定するといいでしょう。

■漕ぎやすい車いすにすることで生活も向上、気持ちも前向きに!

・・・ということで、今回は車いすの漕ぎやすさに特化してついて書いてみました。

実際の例で、これまで使っていた車いすで自走できなかったご利用者に、漕ぎやすい設定の車いすに変更してあげたことで、ご自身で室内の移動が自力でできるようになり、自立して生活できるようになり、表情も生き生きしていてとても喜ばれたことがありました。

ちょっとした変更で、生活も向上できるので、
ぜひ専門知識を持った福祉用具専門相談員に相談してみてください。
きっと力になってくれると思います!

※実際の車いす選定の際には、漕ぎやすさだけでなく、座りやすさや姿勢保持・さらに移乗のしやすさなども含めて考える必要がありますので、「漕ぎやすさ」はあくまで車いす選びの1要素である、というところはくれぐれもご認識くださいませ。

というわけで、最後まで読んでいただきありがとうございました!
これからも、福祉用具にまつわるコラムを定期的に投稿していきますので、どうぞよろしくお願い致します!!


ではでは




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