福祉用具の使い方キホンのキ (介護ベッド編)
こんにちは!
「福祉用具屋さんのブログ」を書いている「福祉用具屋さん」と申します。
今回は 「福祉用具の使い方のキホンのキ、介護ベッド編」ということで、介護ベッドの超基本的な使い方について書いてみたいと思います。
■介護ベッドの基本機能は3つ「背上げ」「足上げ」「高さ上げ」
介護ベッドは電動で各部分が上がったり下がったりして、ご利用者の自立動作を助けたり、介護者の介助負担を軽減したりすることができます。
大きく分けると介護ベッドの基本機能は「背上げ」「足上げ」「高さ上げ」の3つの機能でできています。
●背上げ機能
・ご利用者の起き上がり補助
●足上げ機能
・背上げ機能と併用することで体のズレを防ぐ(背上げのみだと体が足側に滑ってしまう)
・足先のむくみを軽減
●高さ上げ機能
・ご利用者の立ち上がり補助(立上がりしやすい高さに設定)
・転落時のケガリスク軽減(就寝時は低く設定)
・介護者の体を守る、腰痛予防(高い設定にすれば背筋を伸ばした姿勢で介助作業が可能)
・床から這い上がる(低く設定すれば床から這ってベッドに上がることができる)
■1モーター・2モーター・3モーターベッドの違い
次に知っておくべきなのは、介護ベッドのモーターの数について。
介護ベッドは大きく分けて「1モーター」「2モーター」「3モーター」の3つの種類があります。先に説明した背上げなどの機能はそれぞれの電動モーターで可動する仕組みになっており、そのモーターの数が機能の数、ということになります。
基本的な各種類の機能は下記のとおりになります。
●1モーター
「背上げ」OR「高さ上げ」のみ
●2モーター
「背上げ」AND「高さ上げ」
●3モーター
「背上げ」AND「足上げ」AND「高さ上げ」
どのモーター数のベッドを選ぶかについては、あくまで目安ではありますが、ある程度自立していて離床する時間の方が多いのであれば1モーター・2モーター、主にベッド上で過ごす時間の方が多いのであれば3モーターを選ぶと良いでしょう。
1モーター・2モーターは「離床支援ベッド」、3モーターは「介護ベッド」という風に考えると良いかと思います。
■各機能の合わせ技
続いて、これらの種類のベッドの各機能を合わせて使うことで、有効に介護ベッドを使いこなせる合わせ技についてお話してみます。
●ズレない背上げ
起き上がり補助として使われる背上げ機能ですが、背上げ機能のみで上体を起こそうとすると、体がすべり台のように足側の方に滑ってしまいます。
足側に滑ってしまった体を元の位置に戻す作業は非常に労力がかかり、さらに、体のズレは皮膚に負担もかかり、床ずれの原因にもなったりします。
そこで重要なのが、「背上げ」と「足上げ」を併用すること!
操作の順番としては
①足上げ機能で足をあげる
②背上げで上体を上げる
③足を下げる(体育座りのような姿勢になりお腹が窮屈になるため、お腹の圧を逃がす)
といった流れです。
本当は、より細かく②③の動作を繰り返したりする、という工夫も必要なのですが、ざっくり言うと上記のとおりです。
ちなみに、各ベッドメーカーで、これらの複雑な動作を一つのボタンでできるようなご利用者に優しい工夫をしてくれています。ありがたい!
●セミファーラー位
セミファーラー位とは、楽に就寝できる寝た姿勢のことです。聞き慣れない言葉かもしれませんね。具体的に言うと、背もたれを約15〜30度程度上げた姿勢のことをいいます。介護ベッドについては、全くのフラットの角度で使うよりも、実は背もたれを少し上げたほうが姿勢が楽だったりして、その姿勢のほうが背中の緊張が和らぐともいわれています。
■背上げをした際はぜひ「背抜き」をしてあげて!
最後にお伝えしたいのが「背抜き」について。
介護ベッドで背上げをした際には、ぜひ「背抜き」をしてあげてほしいです!
ちなみに「背抜き」というのは、背上げをした際に一度マットレスから背中を離してあげる介助作業のこと。
背上げ動作をしていくと、背中の皮膚とマットレスの間に摩擦が発生し、背中の皮膚が突っ張ってきます。
その不快感・圧迫を取り除くためにマットレスから背中を一旦離してあげる、その介助作業のことを「背抜き」といいます。これをすることで、床ずれ予防・姿勢の崩れの予防・誤嚥予防につながります。
同様に足先のかかとについても一旦マットレスから離してもらう「足抜き」もあります。
ぜひやってあげてください!
というわけで、最後まで読んでいただきありがとうございました!
これからも、「介護の三ツ星コンシェルジュ」にて、福祉用具にまつわるコラムを定期的に投稿していきますので、どうぞよろしくお願い致します!!
ではでは