現場で役立つ!介護職のための医療と介護の連携ガイド
こんにちは!「しんぶろぐ〜介護ノート~」を運営しているしん(@shinbloger)です。
簡単に自己紹介させてください。
・15年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・認知症デイの相談員4年以上の経験があります。
医療と介護の連携は、介護の現場で不可欠です。高齢者や障害者の生活の質を向上させるためには、医療職と介護職が協力し合い、一体となってケアを提供することが重要。
このコラムでは、医療と介護の連携の必要性、具体的なメリット、そして実現するためのポイントについて解説します。
医療と介護の連携の必要性
最初に、医療と介護の連携の必要性を解説します。
●連携が必要な理由①
医療と介護の連携は、高齢者が安心して生活を続けるために不可欠です。
高齢者の主な疾患は、生活習慣病や慢性疾患が多いです。
医療の進歩により、これらの疾患を抱えながらも日常生活を送ることが可能となっています。
しかし、加齢に伴い生活機能は徐々に低下していきます。
このため、医療と生活支援の区別がつきにくくなることがしばしばあります。
医療の役割が急性期や回復期の治療に集中している一方で、慢性期の患者のケアやリハビリは主に介護保険で提供されます。
これにより、医療と介護の両方が必要な高齢者に対して、総合的なケアが求められます。
また、医療機関と介護事業所での情報共有は大切です。
医療と介護の現場でそれぞれの情報が共有されることで、利用者に対するケアが一貫し、質の高い支援が可能となるからです。
●連携が必要な理由②
利用者は病気や障害、経済的問題、家族の問題、自立に関する問題など、さまざまな解決すべき課題(ニーズ)を抱えています。これらの課題に対して、介護職だけで解決することは難しいです。
たとえば、利用者が慢性疾患を抱えている場合、その治療や健康管理には医療職の専門的な知識とスキルが必要です。
また、経済的な問題や家族のサポートが必要な場合には、ソーシャルワーカーやカウンセラーの協力が不可欠です。
このように、利用者の多様なニーズに対応するためには、医療職をはじめとする多職種との連携が必要なんです。
●連携が必要な理由③
日本介護福祉士会倫理綱領
(総合的サービスの提供と積極的な連携、協力)
介護福祉士は、利用者に最適なサービスを総合的に提供していくため、福祉、医療、保健その他関連する業務に従事する者と積極的な連携を図り、協力して行動します。
介護福祉士の倫理綱領が示すように、医療と介護の連携は、利用者に対する総合的なサービス提供の基盤となります。
医療と介護の連携のメリット
つづいて、医療と介護が連携するメリットを紹介します。
●適切な治療・ケアを提供できる
医療と介護の連携により、利用者に対してより適切な治療とケアを提供することができます。看護師目線では、介護職からの日常の観察情報を基に、より精度の高い診断や治療を行えます。
介護士目線では、看護師や医師からの医療的な指示やアドバイスを受けることで、自身のケアがより適切かつ効果的になります。
このように、医療と介護の連携は、利用者の生活の質を向上させる重要な要素です。
●医療・介護施設の業務を効率化できる
医療と介護の連携により、施設内の業務効率が向上します。
重複する業務や無駄な作業が減り、各職種が専門的な役割に集中できます。
たとえば、毎日のバイタルチェックや投薬管理。
看護師と介護士が利用者の健康状態を共有することができます。
また、連携による一貫したケア計画の立案と実施により、利用者の状態悪化や緊急事態の発生を予防しやすくなるんです。
●スタッフ全体の能力が向上する
医療と介護の連携により、スタッフ全体の能力が向上します。
看護師と介護士が情報共有や研修を行うことで、お互いの専門知識や技術を学び合う機会となります。
たとえば、看護師が医療処置や緊急対応について介護士に指導し、介護士が日常のケアや利用者の心理的サポート方法を看護師に教えることで、双方のスキルアップになります。
私が働いている老健でも、看護師との協力体制ができており、日々の業務を通じて医療知識の向上に繋がっています。
連携を実現するためのポイント
つづいて、医療と介護を連携するためのポイントを紹介します。
●連携における役割にどんな意味があるのかを理解する
まず、医療と介護の連携において、お互いの役割がどのような意味を持つのかを理解することが重要です。
たとえば、利用者が何の病気の治療のために、どのような薬を飲んでいるのかを知ることは、介護職にとっても重要な情報です。
利用者の状態を正確に把握し、適切なケアにつながります。
また、介護職が日々の観察やケアの中で報告する内容が、どのように多職種に役立つのかを理解することも大切です。
たとえば、日常の小さな変化や異常を早期に報告することで、看護師や医師は迅速に対応し、利用者の状態悪化を防ぐことができます。
医療職にわかりやすく、正確に利用者の状態を伝えることを心がけましょう。
●記録のデジタル化をする
従来の紙ベースの記録では、情報の共有や検索に時間がかかり手間です。
しかし、電子カルテや共有データベースを導入することで、情報の迅速な共有ができます。
僕の施設でも、介護ソフト「ほのぼの」を利用しており、介護や看護、リハビリの記録が一元的に管理されています。情報共有がスムーズになり、口頭での申し送りも最小限です。
以前、紙ベースの記録を使用していた施設で働いた経験もありますが、その時は情報の共有に多くの時間と労力がかかっていました。記録の確認や情報の伝達に手間取ることが多く、ミスも発生しやすかったです。
●職種間で共通の様式やルールを使う
看護と介護では、様式やルールが異なることがよくあります。
たとえば、看護職は専門用語を多用し、介護職が理解できなかったり、記録する場所が異なるため、双方で情報を閲覧しにくいなどです。
なので、連携には、様式やルールの統一が不可欠です。
具体的には、共通の記録フォーマットの作成や専門用語の標準化です。
これらの取り組みにより、看護と介護の情報共有がスムーズになります。
ナーシングホームの役割
医療と介護の連携が重要なことは理解できたでしょう。
その連携が効果的に実現される場所の一つがナーシングホームです。
ナーシングホームは、介護サービスだけでなく、医療的な処置やリハビリ、看取りなども行う老人ホームです。
ナーシングホームの主な入居対象者は以下のような方々です。
・退院後に自宅で生活するのが難しい方
・重度の障害がある方
(脳血管疾患などの後遺症、神経性疾患)
・介護保険の対象外の方
ナーシングホームは、医療と介護の連携を通じて、利用者に総合的なケアを提供しています。
これにより、利用者は健康状態の維持や改善を図りながら、安心して生活を続けることができます。
医療と介護の連携に関するまとめ
今回は、医療と介護の連携について解説しました。
医療と介護の連携が必要な理由
・利用者に適切なケア、医療を提供するため
・連携しないと利用者のニーズに応えることが難しいため
・日本介護福祉士会倫理綱領に連携するように明記されているため
医療と介護の連携のメリット
・適切な治療・ケアを提供できる
・医療・介護施設の業務を効率化できる
・スタッフ全体の能力が向上する
医療と介護の連携は、高齢者や障害者の生活の質を向上させるために不可欠です。
適切な情報共有をして、質の高いケアを提供しましょう。
介護の三ツ星コンシェルジュ