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2024年介護報酬改定全体動向を解説②ダウン改定の訪問介護その対策は

2024年の介護報酬改定はプラス1.59%と2009年度に次いで2番目に高い改定率となりました。

ただ、1.59%のうち0.98%は介護職員の処遇改善に充てられているため、介護事業者へは0.61%の配分にとどまっています。

改定の中身を見ると、昨年度の収支差率が赤字の特養、老健では他の事業者に比べ引き上げ率が高くマイナス要素は見当たらない改定でしたが、収支差率の黒字が大きかった訪問介護の基本報酬が引き下げられたことは業界に大きな破門を投げかけました。

ダウン幅大きな訪問介護 住宅型有料老人ホームは更なる減収

他のサービスが基本増収改定なのに対し訪問介護の基本報酬は△2.4%となり、身体介護・生活援助共に各区分で引き下げられました。

ただ、訪問介護事業の支出の大半が人件費である実態を踏まえると、介護職員等処遇改善加算の加算率は最大24.5%と高く設定、介護職の給与面を考慮し、職員募集には有利な状況となっているが、各事業者からは「経営への打撃が申告だ」と怨嗟の声が多く聞かれます。

同一建物減算の新区分導入で住宅型有料老人ホームの経営で大きなマイナスに

住宅型有料老人ホームでは、基本報酬のダウンに加え、同一建物減算の新区分導入で更なるマイナスに。

具体的には、前6か月間にサービスを提供した利用者数のうち、事業所と同一・隣接敷地内の建物に居住する人数(50人以上の場合は除く)の割合が90%以上の場合、12%が減算されます。

これまで、事業所と同一敷地内または隣接する敷地内に所在する建物に居住する者の減算として10%(50人以上の場合は15%)だったものに加え新区分として12%減算が導入されることになりました。

10%から15%への減算率適用を考慮し、50人定員未満の事業所を運営する等、工夫を凝らしていた事業者への2%の拡大措置は、室数が少ない事業者の経営へ深刻な影響を与えることが推測されます。

住宅型有料老人ホーム事業者は更なる経営面での工夫が必要 各社の対策は

厚労省の「住宅型有料老人ホームいじめ」に対し、各事業者は更なる工夫に乗り出しています。

大阪で有料老人ホーム運営コンサルを行っている介護事業研究会では、
①特定事業所加算取得の推奨。
②事業所の統合による複数施設への訪問実施等で、増収と経費節減を薦めている。
特定事業所加算Ⅰを取得するため、訪問診療所や訪看ステーションとの連携により看取りへの対応を強化することや、経験のある資格取得者の採用に力を入れるよう指導しています。

学研ココファンでは、「地域在宅利用者の割合を早期に10%以上に高める施策を実施。」
具体的には、これまで取り組んできた、他事業者のケアマネとの連携をさらに深め、地域在宅利用者確保に努めているようです。

また、ツクイでは、新たにナーシングホーム事業への進出を実施。
介護保険だけでなく、医療保険収入も得て、経営力を高める試みに取り組んでいます。

また、新たな加算の取得を考える事業者も多数、口腔連携強化加算(50単位/回)、認知症専門ケア加算を取得し、減算を補うことに取り組んでいます。

いずれにせよ、今後、特定事業所加算Ⅰの取得を目指す事業者が増加すると考えられます。
ただでさえ人手不足なのに、資格のある経験者の争奪戦はより厳しくなっていきそうですね。

介護の三ツ星コンシェルジュ

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