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令和6年度介護報酬改定の主な事項について 利用者目線で解説③ 重要事項説明書の開示

令和6年1月22日厚生労働省社会保障審議会より、2024年度介護報酬改定の主な事項について発表されました。

厚労省のコメントとして「人口構造や社会経済状況の変化を踏まえ、「地域包括ケアシステムの深化・推進」「自立支援・重度化防止に向けた対応」「良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり」「制度の安定性・持続可能性の確保」を基本的な視点として、介護報酬改定を実施。」となっています。

今回の改定の中では、「その他」事項として目立たずに掲載されていますが、今後、有料老人ホームや介護施設に入居を考えられる方には、「朗報」がもたらされました。

内容は「重要事項説明書」の開示義務。
R7年度中に全ての介護事業所が「重要事項説明書」「運営規定の概要」をウェブサイトに掲載・公表しなければならなくなりました。

自治体によっては数年前から、一部サービス(特に有料老人ホーム)についてはweb掲載されていましたが、今改定で全ての事業者にwebでの開示が義務付けられたことは、「利用者目線」に立つと、大きな改定となりました。

元々「全事業所」に開示が義務付けられていたもの

今回の改定で、「運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等について、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイトに掲載・公表しなければならないこととする。 (※令和7年度から義務付け) 「書面掲示」規制の見直し 省令・告示・通知改正」が規定されました。

訪問系の事業(訪問介護、訪問看護、デイサービス、福祉用具、ショートステイ)にとっては利用者目線で考えても、一度利用してみて、自身に合わなければ事業者を替えることも可能ですが、介護施設(特に特養)や有料老人ホームに関しては、入居時に数千万円必要な場合もあり、一度入居すると中々住みかえることが出来ないこともあり、重要事項説明書の開示は重要視されていました。

そんなこともあり、例えば、大阪府下では北摂、北河内、中河内、泉南等の自治体は、自治体のホームページに有料老人ホームの「重要事項説明書」を掲載していました。

ただ、大阪市等の大都市では、ホームの数も多いこともあってか、掲載していない自治体も散見されました。もちろん開示請求すれば閲覧することは可能ですが、急な大病を患った後の退院後に有料老人ホームをすぐに決めないといけない場合、自治体に開示請求して確認する時間がないため、仕方なく自身に合うかどうかもわからずに、経済的時要件、立地条件だけでホームを決めていた方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。

今後、web等で閲覧が可能になれば、より、ホーム選びに役立つのではないでしょうか。

何故「書面掲示」だけではダメなのか

今回の改定の詳細については、厚労省のホームページで以下のように記載されています。

『運営基準省令上、事業所の運営規程の概要等の重要事項等については、原則として事業所内での「書面掲示」を求めている一方、備え付けの書面(紙ファイル等)又は電磁的記録の供覧により、書面による壁面等への掲示を代替できる規定になっているところ、「書面掲示」に加え、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、介護サービス事業者は、原則として重要事項等の情報をウェブサイト(法人のホームページ等又は情報公表システム 上)に掲載・公表しなければならないこととする。【省令改正】【告示改正】【通知改正】 (※令和7年度から義務付け)』。

我々が、「有料老人ホーム三ツ星ガイド」という書籍を作成する上で、最も重要なのが、
「重要事項説明書」

この書面には、
①事業の目的及び運営の方針
②職員の職種、員数及び職務内容
③営業日及び営業時間
④指定居宅介護支援の提供方法、内容及び利用料その他の費用の額
⑤通常の事業の実施地域
⑥その他運営に関する重要事項(例:従業者の研修機会の確保、秘密保持、虐待防止、事故発生時の対応、苦情処理の体制等
⑦事業の目的・運営方針
⑧職員の経験年数
⑨職員の資格保持
⑩昨年の離職率
⑪夜間の職員体制
⑫看取り状況
⑬入居者の要介護度
⑭居室面積・共用施設の内容
⑮食事の提供体制等多くの情報が掲載されています。

これを基に、そのホームの特長は何なのか、職員配置は十分なのか、自身の身体状況に応じたサービスを受けるための職種(看護師、理学療法士等)が配置されているのか、看取り力はあるのか等がわかります。

これを、事業所によっては形だけ「書面開示」し、「コピーを頂けないでしょうか?」と聞いても「企業秘密ですから」と言った理由(これ本当です。(笑))で頂けない場合が多く見受けられます。

特に低価格型の中でも劣悪なホームにそう言った傾向が多いため、「有料老人ホーム三ツ星ガイド」でも、重要事項説明書の開示拒否をされたホームは、「何か後ろめたいことがあるのだろう。」と思い、その時点で調査を打ち切っていました。

「書面開示」という規定だけでは、自治体の監査時にのみ開示しておけば情報を隠せると考える事業者も多かったのではないでしょうか。

私たちもこれまで、重要事項説明書の開示を拒否するホームへの入居は推奨していませんでした。

Web開示でホームの情報が一目瞭然

来年度からまずは重要事項説明書、運営規定の概要が開示されることとなります。

重要事項説明書の見方については、弊社発刊の「有料老人ホーム三ツ星ガイド」にも掲載していますし、インターネットで検索すれば、様々な「見方」について掲載していますので皆様参考になさってください。

また、今後は、「LIFE」(科学的介護)の実施結果も開示される動きとなっています。
これにより、どのホームに入居すれば、生活のお世話をするだけでなく、ADLが改善されたかがわかるようになります。

今後は、法的に情報開示が進むため、優良な事業者は自らホームページ上にブログを掲載し、ホームの運営状況等の情報発信を積極的に行っています。

ホームを決める際には、病院のソーシャルワーカーの話やパンフレットの情報だけでなく、ホームページの情報開示状況の確認もしてみては如何でしょうか。

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