高齢者の病気・疾患

介護職が知っておくべき感染症と対策

こんにちは!「しんぶろぐ〜介護ノート~」を運営しているしん(@shinbloger)です。
簡単に自己紹介させてください。

・15年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・認知症デイの相談員4年以上の経験があります。

今回は、介護施設で発生しやすい感染症に関するコラム記事です。


介護施設における感染症は、高齢者や基礎疾患を持つ利用者にとって重大なリスクとなります。
感染の拡大を防ぎ、ご利用者の健康と安全を守るためには、正しい知識と対策が不可欠です。

この記事では、介護施設で起こりうる主な感染症とその対策について詳しく解説します。

介護施設で起こりうる主な感染症

早速、僕の体験を元に、介護施設で起こりうる感染症を紹介します。

・インフルエンザ
・新型コロナウィルス
・ノロウィルス
・疥癬(かいせん)

インフルエンザ

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。
高齢者や基礎疾患を持つ人が多い介護施設では、感染が急速に広がる可能性があります。ウイルスは、咳やくしゃみによる飛沫、またはウイルスに汚染された物を触った手で口や鼻を触ることで人から人へと伝播します。

症状としては、高熱、頭痛、全身の倦怠感、咳、のどの痛みなどが挙げられます。
特に高齢者では、インフルエンザが重症化しやすく、肺炎などの合併症に繋がるリスクも高いため、早期の発見と適切な治療が重要です。

新型コロナウィルス

新型コロナウイルス(COVID-19)は、コロナウイルス科に属するウイルスで、重症呼吸器症候群を引き起こすことがあります。
介護施設では、居住者間の密接な接触や共有スペースの使用が感染のリスクを高めます。
飛沫や接触感染が主な伝播ルートで、特に高齢者や既存の健康問題を持つ人々にとって重症化しやすいです。症状には、発熱、咳、呼吸困難、味覚や嗅覚の喪失などがあります。
また、重症化すると、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、臓器不全などが発生するリスクがあります。

ノロウィルス

ノロウイルスは、非常に感染力の高い感染症胃腸炎です。
ウイルスは、汚染された食品や水、感染者の便や嘔吐物に直接触れることで伝播します。急激な嘔吐や下痢が特徴的な症状です。

疥癬

疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に侵入し、かゆみを伴う発疹を引き起こす皮膚感染症です。
介護施設では、密接な肌と肌の接触によって容易に伝播します。一般的に衛生状態が悪いと、疥癬の発生および伝播のリスクが高まります。
特に共有される寝具や衣類、個人の衛生用品の不適切な管理は、感染拡大の要因になり得ます。

介護施設で起こりうる感染症の対策

介護施設で起こりうる感染症を紹介しました。つづいて、感染症の対策を解説します。

インフルエンザの対策

インフルエンザの予防には、ワクチン接種が最も有効です。
毎年のワクチン接種は、特に高齢者や基礎疾患を持つ人々において重症化予防に役立ちます。
また、介護スタッフも予防接種を受けるようにしましょう。これにより、スタッフの健康を守り、業務に穴があくリスクを減らし、感染の拡散を防ぐことができます。手洗いやアルコール消毒の徹底、咳エチケットの実践、不要な外出の避けることも、感染予防には重要です。

施設内では、感染者の早期発見と隔離、共有物の定期的な消毒を行い、感染拡大の防止に努めるべきです。
居住者やスタッフに何らかの異変が見られた場合は、すぐにバイタル測定を行い、必要に応じて迅速に対応を取ることが大切です。

新型コロナウィルスの対策

新型コロナウイルスに対する対策は、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの維持です。
介護施設では、訪問者のスクリーニング、定期的な施設内のアルコール消毒、換気の徹底をしましょう。

また、可能であれば、職員や利用者に対する定期的なPCRや抗原検査を行い、感染の早期発見と隔離を図ることが効果的です。

ノロウィルスの対策

ノロウイルスの対策には、手洗いと食品の安全管理が欠かせません。
特に、介護施設のキッチンでは、食材の適切な処理と調理面の清潔保持が重要です。
感染者が出た場合は、その人が使用した場所や物品を次亜塩素酸で消毒し、感染者の隔離を迅速に行う必要があります。
また、症状がある職員や居住者は、他の人との接触を避けるよう指導しましょう。

疥癬の対策

疥癬の対策には、定期的な皮膚検査と早期治療が効果的です。
感染が疑われる場合は、すぐに医療機関を受診し、適切な治療を開始しましょう。

介護施設内で疥癬が発生した場合は、感染者とその個人用品を隔離し、使用された寝具や衣類は50℃以上の熱湯に10分以上浸ける必要があります。その処置をすることで、疥癬の原因となるヒゼンダニを死滅させることができます。
また、施設内の衛生管理を徹底し、定期的な清掃と消毒を行うことが感染拡大を防ぐことができます。

まとめ:日々の感染症対策が重要

今回紹介した4つの感染症は、すべて僕が介護施設で経験したことがある感染症です。
介護職として働いていると、高い確率で直面する感染症でしょう。

どの感染症も非常に厄介で、とてつもなく疲れます。
利用者様は苦しく、家族に会うこともできなくなります。また、介護職にとっても業務量が倍増するので良いことは一つもありません。

介護職には、正しい知識と適切な対策を知っておいて欲しいです。

何より重要だと思うことは、日々の感染症対策です。
感染症が蔓延していない時でも、徹底的に感染症対策をすること。マスクを着用し、机や椅子、ドアの取っ手は消毒する。
ディスポは介助ごとに破棄するなど、日頃から感染対策ができていれば、たとえ外から感染症が入ってきたとしても施設内で蔓延することはなく、最小限で抑え込むことができます。

日々の感染症対策が最も効果的なので、実践しましょう。

感染症がいつ発覚してもおかしくありません。施設での対応や対策を日頃から確認しておくことが重要です。
感染症の流行時期には、全体会議を開催して対策を共有したり、BCP感染症マニュアルを確認し、スタッフ全員が対応策を熟知していることが感染症予防には大切です。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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