介護業界 嚙み砕き知識・ニュース

地域の高齢者住宅交流・勉強会 会費有料化に向けた思わぬ課題とは…

  どこの業界にも同業他社の集まり、いわゆる業界団体があります。
介護業界でも特養や老健、特定施設などのサービス種別ごとや、介護福祉士やケアマネジャー、ホームヘルパーなど資格ごとに複数の業界団体があり、さらにはそれらを越えた業界全体を横断するような団体も誕生しています。

それに加えて介護業界の場合は、それらとは別に市町村ごとの私的な勉強・交流会が多いのが特徴といえるのではないでしょうか。
この理由としては、介護保険では一部を除いて市町村が保険者となっているため、
①市町村により介護保険の解釈や運用に違いが生じる(いわゆる「地方ルール」)があり、その地域ごとに事業者に求められる知識や対応が異なること、
②市町村と介護保険サービス事業者で密な連携を図ることが重要であり、顔の見える関係性がもとめられること、などが考えられます。

大阪府内のある市でも、2023年5月に市内の有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(以下:ホーム)による私的な交流・勉強会がスタートしました。
会長は「新型コロナの感染が深刻な中で『1法人1ホーム』などといった小規模事業者は、感染予防や感染者発生時の対応策について誰にも相談できずに『孤独な闘い』を強いられた。

それでホーム長が心身共に疲弊してしまい、退職の道を選んだというケースもあった」と、日頃はライバルであるホームどうしであっても、日頃から情報の共有や連携を図り支えあえる関係を構築する必要性を訴えます。

現在、市内のホーム数の4割に相当する約40のホームが入会し、「BCPの策定」「入居者募集戦略」などをテーマにした勉強会を定期的に開催しています。

多数のホームを広域に展開する介護事業者の中には、「各ホームの自由な発想や取り組みを重視しよう」という考えのところと「同じ会社が同じブランドで展開する以上、ホームごとに差が出るのをさけよう」という考えのところがあります。どちらの考え方も間違ってはいないでしょう。

しかし、私個人としては、物販店などとはことなり、ホームは「人」が「人」に対して形のないサービスを提供する場なのですから、関わる人たちの性格などによってホームごとに違いが出てくるのは自然なことであり、それを尊重すべきではないかと考えています。

「自治体の介護施策に対する取り組み」「住民の経済力」「医療資源の充実度」「住民コミュニティの活発度合い」などは自治体・地域によって大きく事情が異なります。介護事業者は、それに合わせたサービス提供体制が求められます。
周辺の介護事業所との交流・勉強会が結果的にサービスの質を向上させ、利用者や住民にとっての「安心・安全」につながるのであれば「○○市のホームだけ特別扱いはできない」というような杓子定規な対応は如何なものかと思いますが…

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