肝臓がん手術件数ランキング
肝臓がんの手術とは?
肝臓がんいわゆる五大がんの一つであり、患者数、死亡者数ともに常に上位に入っています。
肝臓の働きが正常であれば、全体の約70バーセント程度までは切除可能なため、外科手術を行いますが、肝硬変などが進んでおり肝臓の機能が悪い場合は、分子標的治療薬を用いた化学療法などによる治療を行います。
肝臓の機能が保たれている場合で、がんの数が少ないが大きい場合は、表中の「肝切除術 部分切除等」の手術を行います。表中の「肝切除2区域以上であって、血行再建を伴うもの等」には、進行癌に対して、門脈、肝動脈、肝静脈の切除・再建を行ったものが含まれています。がんの数が少なくて小さい場合は、「ラジオ波焼灼療法」を行います。これはがんに直径約1.5mmほどの電極を挿入し、ラジオ波を流し約100℃前後の熱でがん細胞を焼いて壊死させるものです。主に内科医が行います。また、表の「その他手術あり」に「肝動脈塞栓療法」が含まれています。これは、がんの数が多い場合(多発がん)、カテーテルを用いて肝動脈に詰め物をすることで肝細胞がんだけを壊死させるものです。主に放射線科の医師が行います。
指標の見方
表は主な手術の件数をとったものですが、目安として二種類の手術の合計の多い病院順にならべています。空白になっている欄は、その術式の手術をしていないということではなく、数が少なかったということを意味しています。
在院日数は、その手術の患者さんが平均して何日で退院したかということを示す指標です。在院日数が短い程早く退院できる、その病院の手術・治療の手際が良かったというようにも考えられます。ただし、がんの手術は進行度であるステージ、年齢、併存疾患の有無等がありますので在院日数の単純比較はできません。軽度ながんを多く扱うほど、在院日数は短くなるからです。したがって、在院日数のデータは一つの目安として参考にされることをお勧めします。また、前述しましたように外科手術は在院日数が長いため、この手術を行っている病院は、行っていない病院と比べると平均の在院日数が長くなりますので、単純に平均の在院日数の比較はできません。
今回は、手術件数合計数ならびに在院日数のみを比較しましたが、これらの指標ですべてを推し量られるわけではありません。病院の業績・アクティブを見る上では、病床あたりの手術件数、医師一人あたりの手術件数も、重要な指標となります。このようなことを踏まえて、皆さんが病院選びの参考としてこのコラムを活用していただけば幸いです。
滋賀県では、大津赤十字病院がトップ!!
滋賀県では、大津赤十字病院がトップです。「ラジオ波焼灼療法」や「その他の手術」多く行っています。外科的手術では、滋賀医科大学附属病院や滋賀県立総合病院が多くの件数をあげています。
京都府では、京都大学附属病院がダントツのトップ!!!
京都府では、京都大学附属病院がダントツのトップとなっています。「肝切除術2区域以上血行再建を伴うもの」も一定数行い、「その他手術」の件数も多く、オールラウンドに肝がん治療を行っている様子がうかがえます。京都第一赤十字病院は「その他手術」の件数が多いことが注目されます。5位には民間の京都桂病院がランキングされています。
大阪府では、大阪市立大学附属病院がダントツ!!!
大阪府では、大阪市立大学附属病院がダントツのトップとなっています。外科的手術の件数が抜きんでて多く、「ラジオ波焼灼療法」や「その他手術」も精力的に行っている様子がうかがえます。3位の近畿大学病院は「ラジオ波焼灼療法」の件数が多いことが注目されます。胃・大腸がんでは常に1位または2位であった大阪国際がんセンターは5位となっています。市立池田病院が初めてランキング入りしています。
兵庫県では、姫路赤十字病院がトップ!
兵庫県では、姫路赤十字病院がトップです。「その他手術」の件数が多いことが注目されます。外科手術では、2位兵庫医科大学附属病院が多くの件数を行っています。民間の明和病院は4位です。「肝切除術」「ラジオ波焼灼療法」「肝動脈塞栓療法」も含めてオールラウンドに多くの症例を取り扱っている様子がうかがえます。
奈良県では、奈良県立医科大学附属病院が全ての手術でトップ!
奈良県では、奈良県立医科大学附属病院が全ての手術でトップです。2位の病院の倍以上の件数となっています。市立奈良病院は、「ラジオ波焼灼療法」の数は少ないようですが、「その他手術」の件数が多いことが注目されます。
和歌山県では、和歌山県立医科大学附属病院がトップ!!!
和歌山県では、和歌山県立医科大学附属病院がトップです。「肝切除2区域以上 血行再建伴うもの」を行っているのは県下では同院のみとなります。2位は和歌山赤十字病院です。和歌山労災病院は外科手術の件数は少ないようですが、「ラジオ波焼灼療法」を多く行っているようです。
(注1)
手術件数データは厚生労働省の「平成30年度DPC導入の影響評価に係る調査」ならびに株式会社ケアレビューが運営している「病院情報局」のサイトから引用しています。
(注2)
各府県とも原則上位5までとしましたが、京都、大阪、兵庫は病院数が多いため、京都については上位7位、大阪・兵庫については上位10件まで選びました。