関西癌治療病院ランキング

関西癌主術件数病院ランキング④~直腸

直腸がんの手術

がんを臓器別に分類した場合、大腸がんは、患者数、死亡者数ともに常に上位に入っています。部位別にみると結腸がんと直腸がんに大別されますが、それぞれ手術の術式も異なり、件数も多いため結腸と直腸の2回にわけて取り扱います。
前回は結腸がんを取り扱いましたので、今回は直腸がんです。直腸とは大腸の下部で、左下腹部から肛門までつながる15~20センチほどのほぼまっすぐの部分です。

直腸がんの手術についても、初期・早期の場合は、内視鏡による治療が行われるのは結腸がんと同じです。内視鏡での治療が難しい場合は、外科手術を行います。
早期の直腸がんで、がんとその近くの部分だけを切除する場合などは、内視鏡でみながら切除する経肛門的切除を行います。表の「直腸腫瘍摘出術等・経肛門的内視鏡下手術」の中には、この手術が含まれます
肛門に近い直腸がんや肛門にできたがんでは、直腸とともに肛門も切り取り、人口肛門(ストーマ)を造ります。また、近年では「超低位前方切除術」という方法により人口肛門をさける手術も可能となっています。表の「肛門悪性腫瘍切除等」には、これらの手術が含まれています。
「骨盤内全摘手術」はがんが多臓器に浸潤している進行がんや再発がんの患者さんに行うものです。骨盤内にある膀胱、尿道、前立腺、子宮などの臓器を摘出し、場合によっては仙骨の一部も削る、手術時間が10時間以上かかる難易度の高い大手術です。
「その他の手術あり」に分類されているもの中には、下部消化管ステント留置術が含まれています。これは、閉塞性の大腸がん(大腸狭窄)の患者さんに対して、金属ステントを留置するもので、人口肛門の回避など患者QOLの高い治療法です。

指標の見方

表は主な手術の件数をとったものですが、目安として二種類の手術の合計の多い病院順にならべています。空白になっている欄は、その術式の手術をしていないということではなく、数が少なかったということを意味しています。
在院日数は、その手術の患者さんが平均して何日で退院したかということを示す指標です。在院日数が短い程早く退院できる、その病院の手術・治療の手際が良かったというようにも考えられます。ただし、がんの手術は進行度であるステージ、年齢、併存疾患の有無等がありますので在院日数の単純比較はできません。軽度ながんを多く扱うほど、在院日数は短くなるからです。したがって、在院日数のデータは一つの目安として参考にされることをお勧めします。また、前述しましたように外科手術は在院日数が長いため、この手術を行っている病院は、行っていない病院と比べると平均の在院日数が長くなりますので、単純に平均の在院日数の比較はできません。
今回は、手術件数合計数ならびに在院日数のみを比較しましたが、これらの指標ですべてを推し量られるわけではありません。病院の業績・アクティブを見る上では、病床あたりの手術件数、医師一人あたりの手術件数も、重要な指標となります。このようなことを踏まえて、皆さんが病院選びの参考としてこのコラムを活用していただけば幸いです。

件数の状況

他の手術では大学病院や独立行政法人のセンター系の病院が上位にくることが多いのですが、大腸の手術では必ずしもそうではなく、むしろ、市民病院や民間病院が上位ランキングに入ってきている地域もあります。

滋賀県は済生会滋賀県病院がトップ!

滋賀県では、済生会滋賀県病院がトップです。「その他の手術」件数も多いことが注目されます。2位以下は滋賀県立総合病院などの公的病院が続き、結腸がんでトップの草津総合病院は5位にランキングされています。県内では難易度の高い「骨盤内全摘術等」の実績は上がっていません。

京都では京都府立医科大学付属病院が!

京都府では、結腸がんと同じく、京都府立医科大学付属病院が、内視鏡治療の数がダントツに多くトップとなっています。二位の京都大学附属病院は難易度の高い骨盤内全摘手術も多く行っています。三位には民間の京都桂病院がランキングされています。外科手術、内視鏡治療も多くの件数を行っています。

大阪では大阪医科大学附属病院がトップに!

大阪府では、大阪国際がんセンターがトップになることが多いのですが、今回は大阪医科大学附属病院がトップです。骨盤内全摘術を除きオールラウンドに多くの手術を行っています。岸和田徳洲会病院、警察病院などの民間医療法人がランキングに入ってきていることは結腸がんと同様ですが、大阪労災病院が上位に入っていることが注目されます。

兵庫県では関西労災病院がトップ!

兵庫県では、関西労災病院がトップです。難易度の高い骨盤内全摘術も多く行っています。2位には民間の明和病院が入っています。経肛門下内視鏡下手術などが多いのではないかと推察されます。結腸がんではトップの神戸市立医療センター中央市民病院はランキングに入っていません。

奈良県では奈良県立医科大学附属病院がダントツ!

奈良県では、奈良県立医科大学附属病院が難易度の高い骨盤内全摘術等も含め外科手術の数がダントツに多くトップです。内視鏡治療の件数はあがっていません。4位に民間の土倉病院が入っています。これも外科手術の件数が多く内視鏡治療の件数はあがっていません。

和歌山県では和歌山付属病院と和歌山日赤病院の2トップ!

和歌山県では、結腸がん同様和歌山付属病院と和歌山日赤病院の2トップが上位をしめているのは結腸がんと同様ですが、民間の橋本病院(118床)が3位に入っています。外科手術に比べ「その他手術」が多いことが特徴です。県南部では公立那賀病院がランキングされています。県内では難易度の高い「骨盤内全摘術等」の実績は上がっていません。

(注1)
手術件数データは厚生労働省の「平成30年度DPC導入の影響評価に係る調査」ならびに株式会社ケアレビューが運営している「病院情報局」のサイトから引用しています。
(注2)
各府県とも原則上位5までとしましたが、京都、大阪、兵庫は病院数が多いため、京都については上位7位、大阪・兵庫については上位10件まで選びました。

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この記事を書いたコラムニスト

岡本有 (オカモト ユウ)

前関西電力病院事務局長

病院経営

関西電力入社後、労務畑を経て関西電力病院に14年間あまり勤務。
診療報酬制度をはじめ病院経営のことについて一から勉強し、診療情報管理士の資格取得。
着任時大きな赤字を抱えていた病院を、退職時には黒字体質に変換。
黒字化を前提に、築40年の老朽病院の建て替えという一大イベントにも携わり成功に導く。
関西電力病院退任後、㈱関西レコードマネジメント代表取締役社長に就任、経営改善に尽力。
病院経営改善に従事した経験、また、企業人、経営者としての経験をいかした、企業経営の観点にもとづいた実戦的な病院経営支援を実施します。

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