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2020年診療報酬改定から考える介護事業者の利用者獲得方策

2025年地域包括ケアシステムの構築に向けて

2020年の診療報酬改定で、後期高齢者急増する2025年に備えた地域包括ケアシステムの体制構築のための改定も多く盛り込まれました。

病院からの早期退院を推進し、高齢者が住み慣れた地域で在宅生活(有料老人ホーム等の住居施設も含む)を継続できるように、地域の受け入れ態勢、特に介護体制の構築が求められています。

要は、地域にある病院の病棟数を確認し、退院後にどんな患者が地域に出てくるかを見極めることで、地域ニーズにあったサービスを提供可能とし、利用者獲得し易くなるということです。
地域によっては、更に競争が激化するところも出てきます。

例えば、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟が少ない地域であれば、介護事業者が急性期病院から直接患者を受け入れられる可能性が大きくなりました。
そのために強化すべきサービスは何なのか?

医療療養病棟のうち軽度者が中心の療養病棟入院料2の算定病棟や介護療養病棟が多い地域では、今後、介護医療院への転換が進む可能性が高くなります。
介護医療院は、急性期病棟や回復期病棟、地域包括ケア病棟にとって在宅と看做されるため、他の介護施設(老健、特養、介護付有料老人ホームetc)に比べ退院患者の受け入れに優位に立ちます。
そのために強化すべきサービスは何なのか?

これからの介護事業者は急性期病棟から医療ニーズの高い患者を受け入れることが一層求められているという方もいらっしゃいます。
これらに関する検証を各病棟の診療報酬改定から追っていくことにします。
 

急性期一般入院料の改定から

今回の急性期医一般入院料での介護事業者に影響を与える改定は、
「重症度、医療・介護必要度」の4つの判定基準のうち、認知症患者の受け入れを評価する「基準2」が廃止されたことです。
新たな補填策として、「認知症ケア加算」の拡充と「せん妄ハイリスク患者ケア加算」が新設されましたが、穴埋めは難しいとされています。

この改定により認知症患者を多く受け入れている内科系の中小病院への打撃が大きく、入院料のランクダウンが迫られました。
これらの病棟は地域包括ケア病棟への転換が余儀なくされますので、在宅患者を受け入れるための介護事業所とより綿密の連携を取っていかないといけなくなります。

主な受け皿は、介護医療院、老健、特養、認知症対応型グループホーム、有料老人ホームと入居医施設系になります。

内科系の中小病院から今後出てくる患者さんを受け入れるために整備すべきサービスは次の2つ。
・認知症への対応力
・要介護度の高い認知症患者の医療依存度(胃漏、各痰吸引)への対応力
これらのサービス力を強化し、患者さんの受け入れ力を高めることが期待されています。

地域包括ケア病棟入院料

今回の地域包括ア病棟入院料での介護事業者に影響を与える改定は、
200床未満の病院が対象の入院料の施設基準で介護保険サービスの「提供基準」が要件化されたことです。
これにより中小病院の訪問看護ステシ-ション開設が進み、地域の事業者との競合が進みます。

具体的に言いますと、地域包括ケア病棟入院料1および3を算定する病棟は、施設基準として「介護保険の訪問介護、訪問看護、訪問リハの提供実績を有している施設が併設」されていることが加えられたことです。施設基準6項目の1つですのでマストではないですが、これにより中小病院の介護サービスへの参入が促進されました。
今回の改定は、「中小病院は在宅医療を行い、訪問看護ステーションを持つべきである」という国の方向性が見え隠れしています。
また、400床以上の病院が持つ地域包括ケア病棟は、自院の急性期病棟からの転棟患者割合が6割以上になると入院料が10%減額されることになりました。

地域包括ケア病棟を持つ病院に備えて介護事業者が整備すべきサービスは次の点です。
・病院との連携強化
特に有料老人ホーム等の施設系は、在宅医療や訪問看護(特に医療保険)、訪問リハは、病院側と連携し提供していただき、逆に訪問介護、ケアマネジメント等は介護事業者に任せていただく。

このようにギブアンドテイクで関係を強化する必要があるのではないでしょうか。

 

回復期リハビリテーション病棟入院料

今回の回復期リハビリテーション病棟入院料での介護事業者に影響を与える改定は、
入院料1・3のリハビリ「実績指数」基準が厳格化されたことです。
この改定により患者の在棟日数が短縮化され病棟の稼働率低下を防ぐために急性期病棟からの早期受け入れが促進されます。

この改定により、老健のショートステイへの患者が増えるのではと言われています。

回復期リハビリテーション病棟を持つ病院に備えて介護事業者が整備すべきサービスは次の2点です。
・地域のケアマネジャーとの連係強化
・リハビリ力の強化
在宅のリハビリ力化は、地域包括ケアシステム構築のためにも強く言われていることです。
自身のサービス力を強化するか、訪問リハ等を有する地域の医療機関と連携するか。

介護事業者にとって、地域の病院との連携は、古くから言われていることですが、2025年に向けて各エリア毎に自社のサービスがどうあるべきかを検討していかなくてはならないですね。

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