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介護現場に人を集めるために~介護人材の確保・介護現場の革新~

地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律

地域共生社会の実現を図るため、市町村の包括的な支援体制の構築の支援、地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進、医療・介護の データ基盤の整備の推進、介護人材確保及び業務効率化の取組の強化、社会福祉連携推進法人制度の創設等の観点から地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律が制定されました(施行は令和3年4月1日)。

その中で、介護人材確保及び業務効率化の取組の強化 施策として、「介護保険法、老人福祉法、社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律」が制定され、
① 介護保険事業(支援)計画の記載事項として、介護人材確保及び業務効率化の取組を追加する。
② 有料老人ホームの設置等に係る届出事項の簡素化を図るための見直しを行う。
③ 介護福祉士養成施設卒業者への国家試験義務付けに係る現行5年間の経過措置を、さらに5年間延長する。
が定められています。

慢性的な介護人材不足に対する政府の様々な対策

これまでも介護人材確保のために、
①介護職員の処遇改善
②多様な人材の確保・育成
③離職防止・定着促進・生産性の向上
④介護職の魅力向上
⑤外国人材の受入れ環境整備
等の対策が積極的に行われてきましたが、更に、
・リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指し、経験・技能のある介 護職員に重点化した更なる処遇改善を2019 年10月より実施
・介護分野への元気高齢者等参入促進セミナーの実施 、ボランティアポイントを活用した介護分野での就労的活動の推進
・リーダー的介護職員の育成とチームケアによる実践力の向上、悩み相談窓口の設置、若手職員の交流推進
・若者層、子育てを終えた層、アクティブシニア層に対する介護職の魅力等の情報発信
・「特定技能」等外国人介護人材の受入環境 整備(現地説明会等による日本の介護のPR、介護技能向上のための集合研修、介護の日本 語学習支援、介護業務等の相談支援・巡回訪問の実施等)
等の対策を積極的に行い、介護人材の確保に対し様々な政策が打ち出され、実行されています。
 

それでも介護の現場に人材は集まりません。
介護関係職種の有効求人倍率は、依然として高い水準にあり、全職業より高い水準で推移していますし、介護職員の平均勤続年数について職種間及び産業計と比較すると、30~34歳までは概ね変わらないが、35歳以上は下回っています。
人を集めても集めても、長続きせず、介護現場からは人が離れていってしまうのが現実。

併せて、処遇改善等の施策を実施しても、介護職員の賞与・給与とも、全産業計と比較すると、低くなっています。
 

継続勤務の為に必要なことは?

令和元年度老人保健事業推進費等補助金「処遇改善加算の申請等の簡素化に関する調査研究事業」(株式会社三菱総合研究所)を基に厚生労働省が勤続10年以上の者に対して調査した結果、勤務継続にあたり、重要と思うものを上げてもらうと、
①仕事へのやりがいがあること
②能力や業務内容を反映した給与体系
③上司や同僚等を含めた職場全体の雰囲気がよいこと
④ワーク・ライフ・バランスに配慮した勤務体制/仕事と家庭生活との両立が可能であること
⑤休暇取得のしやすさ
が挙げられました。
逆に言うと、介護現場ではこれが出来ていないのが現実?
仕事にやりがいがなく、能力に対応した給与体系でもなく、職場の雰囲気が悪く、仕事と家庭の両立がしにくく、休暇が取りにくい?
すべてが揃っている職場はないと思いますが、皆さんがお勤めの職場は如何ですか?
①~⑤まで何項目があてはまっていますか?

特に20代、30代の介護職員は、「給与」と「休暇取得」に期待していることがわかりました。

現状の職場への不満は?

平成30年度介護労働実態調査 ((公財)介護労働安定センター)調査によると、介護関係職種が退職を検討するきっかけとして、
・職場の人間関係や法人・事業所の理念や運営のあり方に対する不満 
・収入が少なかったため
・自分の将来に見込みが立たない
と言ったことが理由。
「自分の将来に見込みが立たない」なんて悲しすぎる理由ですよね。

 

勤務継続にあたり、有効と考える取組 とは?

先程の株式会社三菱総合研究所を基に、厚生労働省が勤続10年以上の者に対して調査した結果、勤務継続にあたり、有効と考える取組としては以下の項目が挙げられています。
勤続10年以上の介護職員さんの調査結果ですから、信用できますよね。

①資質の向上施策
・働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援
・研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動

②職場環境・ 処遇の改善
・ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善 
・子育てとの両立を目指す者のための育児休業制度等の充実、事業所内保育施設の整備
・雇用管理改善のための管理者の労働・安全衛生法規、休暇・休職制度に係る研修受講等による雇用管理改善対策の充実

③その他
・職員の増員による業務負担の軽減
・中途採用者(他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等)に特化した人事制度の確立(勤務シフトの配慮、短時間正規職員制 度の導入等)

これらのことが挙げられています。
皆さんの職場ではどれだけのことが出来ていますでしょうか?
介護事業者として生き残るためにも、経営者、管理者の方は自身の職場で新たな施策をどんどん打ち出す必要がありますね。

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