令和3年度介護報酬改定 介護付有料老人ホームはどうなる?

介護付有料老人ホームの報酬改定前回改定(平成30年度)内容

令和2年7月8日、第179回社保審-介護給付費分科会が行われ、来年度の介護報酬改定に関して各サービス毎の議論が行われました。
今回は特定施設入居者生活介護(主に介護付有料老人ホーム)についての議論内容を分科会での資料に基づいて解説していきます。

まず、平成30年度、前回改定で介護付有料老人ホームはどのような改定が行われたか?
細々したものは除き、大きく3つ、
①入居者の医療ニーズへの対応
②生活機能向上連携加算の創設
③機能訓練指導員の確保の促進 
が行われました。

①は退院・退所時連携加算の創設 病院等を退院した者を受け入れる場合の医療提供施設との連携等を評価する加算を創設し、医療提供施設を退院・退所して特定施設に入居する利用者を受け入れた場合を評価することと、
それに加え、入居継続支援加算の創設 たんの吸引などのケアの提供を行う特定施設に対する評価を創設すること。

②は自立支援・重度化防止に資する介護を推進するため、外部のリハビリテーション専門職等と連携する場合の評価を創設すること。

③は機能訓練指導員の確保を促進し、利用者の心身の機能の維持を促進する観点から、機能訓練指導員の対象資格 (※)に一定の実務経験を有するはり師、きゅう師を追加する。個別機能訓練加算における機能訓練指導員の要件についても、同様の対応を行うこと。

要は、特に都心部において不足する特養の代替え機関として、重度の方の受入、それに加え機能訓練の強化が謳われました。

今回改定も前回改定の延長?

介護付有料老人ホームの収支差率は、平成29年度決算時の1.9%から、平成30年度決算時は2.6%とアップ。
業界全体が国の方針に基づかない運営を実施していると、そろそろ介護保険の大幅カットにつながりかねない状況です。

現状の入居者の状態を見てみると、介護付きホームにおいても、要介護3以上が約半数を占めており、重度化の受け皿としての役割を果たしていると考えられると報告されています。

また、介護付き有料老人ホームでは、入院後死亡された方の割合は22.9%、ホーム内において死亡された方の割合は 30.0%。 特養は、入院後死亡された方の割合は29.0%、ホーム内において死亡された方の割合は41.4%、認知症グループホームは、入院後死亡された方の割合は21.3%、ホーム内において死亡された方の割合は18.0%。 
この状況から 介護付き有料老人ホームでは、契約終了のうち半数以上が死亡退去であり、終の棲家としての機能を果たしていると考えられるとの報告がなされました。

これまでの各事業者さまの努力が評価された結果ですね。次回改定で大きな報酬削減はなさそうな状況ではないでしょうか。

更なる整備が必要?

令和元年12月に行われた同部会でも、
・「介護離職ゼロ」の実現に向けて、介護施設の整備を進めるとともに、在宅サービスの充実を図り、在宅の限界点を高めていくことが必要である。
(看護)小規模多機能などのサービスの整備を進めるとともに、既存の施設等による在宅支援を強化していくことが必要。
また、「介護離職ゼロ」の実現に向けて、介護サービス基盤として介護付きホーム(特定施設入居者生 活介護)も含めて、その整備を促進していくことが適当。
なお、働きながら介護を行う人について、その実態も踏まえながら一層支援していくことが重要であり、地域支援事業の任意事 業である家族介護支援事業なども活用しながら、家族介護者の相談支援や健康の確保を図っていくことが重要であると報告され、
更に看取りを適切に推進する観点から、医療と介護が連携して対応することが重要。中重度の医療ニーズや看取り期にある者に対応する在宅の限界点を高めていく在宅サービスの充実を計画的に図っていくことが必要。
なお、介護付きホームも含めた高齢者向け住まいにおける 医療・介護ニーズへの対応の強化を図っていくことも重要との意見があったよう。

特に3大都市圏では更なる整備が必要とされています。
 

介護付有料老人ホームの現状と課題

現状の評価として、特定施設入居者生活介護の指定を受けた特定施設(介護付きホーム)の整備状況をみると、三大都市圏を中心に整備が進んでいる。
介護付きホームは、
・入居者の約半数弱が要介護3以上であり、重度者の受け皿としての役割を果たしている、
・契約終了のうち半数以上が死亡退去であり、終の棲家としての機能を果たしている、
・厚生年金のモデル年金額以下の施設も一定割合存在する、 など、特に都市部において介護ニーズを受け止めていると考えられることから、「介護離職ゼロ」に向けた受け皿として介護付きホームの整備を促進することとしたところと評価されています。

(看取りについて)
・終の棲家として、看取りの対応が求められるところ、約6割以上の介護付きホームにおいて看取りが行われ、看取りの希望があれば受け入れるとしている介護付きホームは7割以上となっている。
一方、 「人生の最終段階における医療・ケア」について、本人・家族等へ説明し、本人の意思の確認等をいつ も行っている割合は、5割程度となっている。
・ 看取りを受け入れられないことがある理由として、看取りを原則的に受け入れていない施設では、 「夜間は看護職員がいないから」が最も多く、6割を超えている一方、ホームでなくなりたいという希望があれば受け入れる施設では、「家族等の意見が一致しないから」が最も多く、約2割となっている。

(介護ロボット・ICTの活用)
・ 介護現場のサービスの質の向上及び業務効率化を推進することは喫緊の課題となっており、介護ロボットやICT等のテクノロジー活用を推進している。令和元年度においては、パイロット事業を実施し、特別養護老人ホームなどの介護施設を中心にテクノロジーを活用した業務改善の成果を挙げる先進 事例が示されたところ。
・ 介護付きホームにおいても、見守りセンサーやケア記録ソフト、スマートフォン等のテクノロジーを活用し、業務負担の軽減とサービスの質の向上を両立させながら成果を上げている先進事例が存在している。 

課題としては、
・ 「介護離職ゼロ」の実現に向けた介護サービス基盤の一つとして整備を促進していく中で、サービスの質の向上や業務の効率化などを図る観点から、終の棲家としての役割を果たすための看取り等の推進や、業務負担を軽減するためのICT等の活用の促進など、どのような方策が考えられるかといったことが挙げられました。

今後は、重度化、看取り対応、運営の高率化の3つのキーワードに対応できるホームが評価されそうですね。

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この記事を書いたコラムニスト

荒牧誠也 (アラマキセイヤ)

コラムサイト介護の三ツ星コンシェルジュ編集長

株式会社ベイシス 取締役シニア事業部長
1964年 大阪府大阪市生まれ
1988年 関西電力㈱入社。介護事業子会社 ㈱かんでんジョイライフや医療関係子会社 ㈱かんでん在宅医療サービスの設立や運営に従事。関西電力グループのメデイカル・ヘルスケア事業の企画業務や㈱京阪ライフサポートのM&Aに従事後退職。
2017年 関西電力㈱を退社。㈱ベイシスの取締役シニア事業部長に就任。

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