「介護保険制度スタートから25年、現場目線で振り返ってみた」
こんにちは!
「福祉用具屋さんのブログ」を書いている「福祉用具屋さん」と申します。
私のコラムは今回で99回目!
次回は100回という区切りになります。
ということで、今回のコラムは、「介護保険制度スタートから25年、現場目線で振り返ってみた」というテーマで、介護保険制度とともに変化してきた福祉用具レンタルについて、私なりの現場目線で振り返ってみたいと思います。
措置事業の時代。自治体のルールに翻弄されていた頃
介護保険制度が始まる前は、「措置事業」として各自治体が福祉用具レンタルを行っていました。
その多くは「介護ベッド」と「車いす」のレンタル。運用方法は自治体ごとにバラバラでした。
たとえば・・・
・レンタル費用が全額公費負担だったり
(自己負担がないので利用者はレンタルしている認識がない方も多数・・・)
・レンタル機種は1機種のみだったり
(選定の概念がない)
・事業者も入札で選ばれる仕組みだったり
福祉用具のプロとして、もっと利用者に寄り添った提案がしたくても、仕組みの壁に阻まれていたのが正直なところでした。
介護保険制度開始、混乱の中スタートした2000年
そして2000年、介護保険制度がスタート。
措置から「契約」への大転換。
利用者がサービスを“選ぶ”時代が始まりました。
ただし、この頃の福祉用具貸与はまだ制度もスタートしたばかりで、ルールも未成熟な状況。
たとえば、「自立」判定以外なら介護ベッドは誰でもレンタル可能という緩い基準があったことで、「この人に本当にベッドが必要?」と思うケースにも、どんどんレンタルされていました。
「福祉用具って、誰にでも出せばいいってもんじゃない」
そう感じながらも、制度の波に流されるしかなかった当時。
忙しさの中で、がむしゃらに目の前の仕事をこなしていました。
2006年:軽度者の給付制限。そのインパクトと涙の回収
2006年、制度に大きな変更がありました。
それは、要支援1・2、および要介護1の利用者に対して、ベッドや車いすなどの給付制限の実施。
現場にとっても、非常に衝撃的な変更でした。
倉庫には大量に返却されたベッドが溢れる状態になり、売上も大きく落ち込みました。
そんな混乱の中でしたが、私自身一番つらかったのは、軽度でもベッドが必要な利用者から、やむを得ず回収を行ったときに利用者さんに泣かれたこと。
「これがないと、夜中に一人で起き上がれないのに…」
制度変更による売上の落ち込みも大変でしたが、何よりご利用者の暮らしへの影響、何も助けてあげられない状況が非常に悔しく、つらくて仕方ありませんでした。
この制度変更には批判の声も多く、のちに「状態像に該当すれば軽度者でもレンタル可能」というルールが加わったものの、原則、軽度者への福祉用具レンタルの給付制限ルールは今も続いている状況です。
自費ベッドの登場。グレーな運用の始まり
この給付制限を受けて、福祉用具業界では「自費ベッド」という新しい選択肢が広まり始めました。
介護保険の1割負担額程度の価格設定で、自費でベッドを提供するという仕組み。
でも実際は、型落ちした在庫ベッドの活用であり、利用者が要介護2以上に上がったらそのまま保険ベッドとして切り替える、という「利用者の囲い込み」のようなグレーな位置づけのベッド・・・。
仕方ないとは思いつつ、「これでいいのか?」という葛藤が常にありました。
2012年:福祉用具サービス計画書の義務化。「なぜこの用具か?」に答える記録へ
「福祉用具の選定に根拠を」、そんな流れで、2012年4月から「福祉用具サービス計画書」の作成が義務化されました。
それまでは、「とりあえずベッド」「なんとなく歩行器」という選定もあり、なぜその商品が選ばれているのか?という意味付けについてのエビデンスもない状況でした。
でも、介護保険という「公金」を使う以上、その理由や生活上の目的を明確に記す必要がある。
これは大きな前進だったと思います。
ただし、計画書の中身についてはまだまだ課題も多いです。
「書くこと自体が目的」になってしまい、計画書の中身を向上させていくための動きがいまいち活発化していないのが現状・・・。
少し残念に思っています。
2018年:上限価格と複数提案の義務化、本音は…「余計な仕事が増えた」
2018年の報酬改定では、福祉用具に対して2つの新ルールが登場しました。
・上限価格制度
(貸与価格は全国平均+一定幅を超えてはいけない)
・複数商品提案の義務化
(計画書に2商品以上を提案・記載)
上限価格の導入により、事業所側の価格設定の自由度は減り、利益率もじりじりと低下。
物価上昇の今、このルールが経営を圧迫しているのは間違いありません。
複数提案についても、現場からすれば「当たり前のように前からやってたわ!」という話で、いちいち書類に複数商品を記載させる手間だけが増え、面倒で余計な仕事が増えただけ、という印象。
今でも私はこの複数提案を書類に起こす作業をするたびにイライラしてしまったりします。
制度と現場の間で、それでも私たちは“生活”を支えてきた
こうして振り返ってみると、福祉用具制度はたびたび見直されながら、そのたびに現場も右往左往してきました。
でも私たちが忘れてはならないのは、制度内だけで仕事をすることではなく、制度内・制度外も含めて、その人の暮らしにとって「ちょうどいい」選択を一緒に考えること。
制度に合わせるのではなく、人に合わせる。
その軸だけは、忘れてはならないと思っています!
次回はいよいよ連載100回目。
これまでの歩みを踏まえて、「これからの福祉用具」「これからの私たちの役割」について、未来の話をしたいと思います。
というわけで、最後まで読んでいただきありがとうございました!
これからも、「介護の三ツ星コンシェルジュ」にて、福祉用具にまつわるコラムを定期的に投稿していきますので、どうぞよろしくお願い致します!!
ではでは


