昭和世代男性要介護者によるカスハラ・セクハラ―若い女性スタッフが「うまくかわす」ための実践的コラム
介護や医療の現場では、利用者や入院患者からのカスタマーハラスメント(カスハラ)、セクシャルハラスメント(セクハラ)が大きな課題となっています。
特に関西では、昭和世代男性の要介護者・患者から、若い女性看護師や介護職員へのハラスメントが目立つという声は現場でもよく聞かれます。
真面目にすべてに向き合いすぎると心身ともに疲弊し、業務に支障をきたすことも。
そこで今回は、「いちいちまっすぐ向き合わず、うまくかわす・はぐらかす」ための具体的な実践例を、現場の事例とともに紹介します。
1. 「冗談」で流す、話題を変える
事例
「あんた、かわいいなあ」「今度ご飯でも行こか」などと繰り返し言われるケース。
対応例
「ありがとうございます、でもうち、仕事中は“鬼の○○”って呼ばれてるんですわ(笑)」と冗談で返し、場の空気を和らげつつ本題に戻す。
ポイント
相手の発言を否定も肯定もせず、ユーモアで受け流し、すぐに業務の話題へ切り替える。
2. 「役割」を強調し、個人ではなく“職員”として対応
事例
「若い子がええわ」「○○さんにだけお願いしたい」と指名が続くケース。
対応例
「今日はチームで動いてますので、担当が順番に伺いますね」と事務的に説明し、個人への執着を和らげる。
ポイント
業務のルールやチーム体制を盾にし、個人の感情に踏み込ませない。
3. 「物理的距離」を意識して安全確保
事例
身体に触れようとする、過度に近づくなどの行為。
対応例
ベッド越しや車椅子越しなど、必ず物理的な障壁を作る。必要以上に近づかない。
ポイント
物理的距離を取ることで、相手に「これ以上は近づけない」という無言のメッセージを伝える。
4. 「第三者」を巻き込む
事例
執拗な呼び出しや個別対応の強要。
対応例
「今、他のスタッフも一緒に来ますね」「この作業は2人でやる決まりなんです」と必ず複数人で対応。
ポイント
第三者の存在を示すことで、相手の行動を抑制しやすくなる。
5. 「毅然とした態度」で線引きを明確に
事例
「ちょっとぐらいええやろ」「昔はこれが普通やった」と昭和世代特有の価値観を押しつけられる。
対応例
「申し訳ありませんが、職場の決まりでできません」とはっきり伝える。
ポイント
曖昧な態度は誤解やエスカレートの原因になるため、丁寧だが毅然とした口調で対応する。
6. 「相談・記録」を徹底する
事例
繰り返しハラスメントが続く、精神的に大きな負担を感じる。
対応例
必ず上司や管理者に相談し、記録を残す。
必要に応じて相談窓口や外部機関も活用する。
ポイント
「自分だけで抱え込まない」ことが最も重要。組織としての対応を促すことで、再発防止や職場全体の安全確保につながる。
7. 「関西流のノリ」を活かしたかわし方
関西特有の「ツッコミ」や「ボケ」を活用し、場の空気を壊さずにかわすのも有効です。
事例
「ほんまにきれいやなあ」「彼氏おらんの?」としつこく聞かれる。
対応例
「そんなん言うてくれるの、○○さんだけですわ(笑)」「彼氏?そんなんおったら、こんな仕事してませんて!」と軽く受け流す。
ポイント
相手の“昭和流コミュニケーション”を適度に受け止めつつ、本題に戻すことで、業務の妨げにならないようにする。
まとめ:自分を守るための「かわし方」はプロの技術
カスハラやセクハラに対して、すべてを正面から受け止める必要はありません。
・ユーモアや話題転換で流す
・チーム体制やルールを楯にする
・物理的距離を意識する
・複数人で対応する
・必要な時は毅然と線引きする
・相談・記録を徹底する
・関西流のノリを活かす
これらの「かわし方」「はぐらかし方」は、現場で働くスタッフの心身を守るための大切な技術です。
組織としても、カスハラ防止方針の明確化や相談体制の整備、スタッフ同士の情報共有を徹底し、スタッフが安心して働ける環境づくりが求められます。
「まっすぐ向き合わない」ことは、決して手抜きや逃げではありません。自分を守るためのプロフェッショナルな対応として、現場で積極的に活用してください。
介護の三ツ星コンシェルジュ



