介護現場で働く女性の「オシャレ」――自分らしさとプロフェッショナリズムの両立

介護現場で働く女性たちは、日々多くの利用者と接し、心身ともに負担の大きい仕事に従事しています。

そんな中で「オシャレ」を楽しむことは、単なる自己満足や趣味の領域を超え、心の健康や職場でのモチベーション、さらには利用者との信頼関係にも影響を与える重要な要素となっています。

しかし、介護現場には衛生や安全、業務効率などの観点から、オシャレに対する一定の制約も存在します。

本コラムでは、介護現場で働く女性がオシャレを楽しむためのポイントや工夫、そして望ましいこと・望ましくないことについて、現場の声や専門家の意見を交えながら考察します。

1. 介護現場でオシャレを楽しむ意義

1-1. オシャレがもたらす心理的効果
オシャレは自己表現の一形態であり、身だしなみを整えることで自己肯定感が高まります。
介護の現場は、利用者やご家族、同僚など多くの人と接するため、清潔感や品の良さが求められますが、自分らしいオシャレを取り入れることで「今日も頑張ろう」という前向きな気持ちになれるという声も多く聞かれます。

1-2. ストレス解消とリフレッシュ
介護職は肉体的・精神的なストレスが大きい職種です。そんな中で、仕事の合間や休日にメイクやヘアアレンジ、ネイルケアなどを楽しむことは、気分転換やストレス解消につながります。
専門家によれば、オシャレをすることで脳内のドーパミンやセロトニンが分泌され、幸福感やリラックス効果が得られるとされています。

2. 現場でオシャレを楽しむためのポイントと工夫

2-1. 機能性と清潔感を重視したファッション
介護現場では、動きやすさや清潔感が最優先されます。そのため、ユニフォームやエプロン選びでは、吸汗速乾性やストレッチ性のある素材、シンプルで明るい色合いが好まれます。
最近では、デザイン性に優れたユニフォームも増えており、襟やポケットの形、カラーラインなどでさりげなく個性を表現できるアイテムも登場しています。

工夫例
パステルカラーやワンポイント刺繍入りのユニフォーム
季節ごとに色やデザインを変える
お揃いのカーディガンやヘアアクセサリーでチーム感を演出

2-2. ヘアスタイルで個性をプラス
髪型は、最も手軽に自分らしさを表現できるポイントです。
ただし、長い髪はまとめる、前髪が目にかからないようにする、清潔感を保つなどの基本を守ることが大切です。
シュシュやヘアピン、バレッタなどのヘアアクセサリーも、派手すぎないものであれば季節感や個性を演出できます。

工夫例
シンプルなまとめ髪＋ナチュラルカラーのヘアゴム
季節に合わせた色や素材のヘアアクセサリー
休日は思い切ったヘアアレンジでリフレッシュ

2-3. メイクとネイルのポイント
介護現場では、濃いメイクや長いネイル、派手な色使いは避ける必要がありますが、ナチュラルメイクや手入れの行き届いた爪は、清潔感や信頼感を与えます。
爪は短く切り、透明や淡いピンクのネイルで健康的な印象を保つのが理想です。

工夫例
ベースメイクで肌を整え、健康的な血色感をプラス
眉やリップは自然な色味を選ぶ
ネイルは透明またはベージュ系のマニキュアで清潔感を演出

2-4. 小物やアクセサリーでさりげないオシャレ
時計や名札、ペンケースなど、日常的に使う小物もオシャレのポイントです。
派手すぎず、機能的で清潔に保てるものを選ぶと良いでしょう。名札に小さなキャラクターや花のモチーフをあしらうなど、利用者との会話のきっかけになる工夫もおすすめです。

3. 望ましいオシャレと望ましくないオシャレ

3-1. 望ましいオシャレ
清潔感と機能性を最優先
介護現場では、利用者の安全と衛生を守ることが最優先です。
清潔で動きやすい服装、髪型、爪の手入れなど、基本を守ったうえで個性をプラスすることが望ましいオシャレのあり方です。

さりげない自己表現
派手さを抑えつつ、色やデザイン、小物で自分らしさを表現することは、仕事へのモチベーションアップや職場の雰囲気づくりにもつながります。

利用者への配慮
利用者の多くは高齢者であり、派手な色や香り、アクセサリーなどに敏感な方もいます。利用者の立場に立ったオシャレを心がけることが大切です。

3-2. 望ましくないオシャレ
衛生・安全を損なうオシャレ
長い爪や派手なネイル、ぶら下がるタイプのピアスやネックレスは、感染症リスクや事故の原因となるため避けるべきです。
また、香水や強い香りの整髪料も利用者の不快感につながることがあります。

TPOを無視したファッション
介護現場は「仕事場」であり、TPO（時と場所、場合）に合った身だしなみが求められます。プライベートと同じ感覚で派手な服装やメイクをするのは望ましくありません。

自己主張が強すぎるオシャレ
職場はチームで動く場所です。自分だけが目立つオシャレや、他のスタッフや利用者に不快感を与えるスタイルは避けましょう。

4. オシャレを楽しむことで得られる効果
オシャレを楽しむことは、自己肯定感やQOL（生活の質）を高め、ストレス解消やメンタルヘルスの維持にもつながります。また、オシャレについてスタッフ同士で話し合うことでコミュニケーションが生まれ、職場の雰囲気が明るくなる効果も期待できます。
さらに、利用者から「素敵ね」「今日も元気そうだね」と声をかけられることで、仕事へのやりがいや喜びを感じることも多いでしょう。

5. まとめ――自分らしさとプロフェッショナリズムの両立を目指して

介護現場で働く女性にとって、オシャレは単なる趣味ではなく、心身の健康や仕事への意欲、利用者との信頼関係づくりに欠かせない大切な要素です。

大切なのは、清潔感や機能性を守りながら、さりげなく自分らしさを表現すること。

現場のルールやTPOを守りつつ、日々の中でちょっとしたオシャレを楽しむことで、仕事のストレスを和らげ、前向きな気持ちで働き続けることができるでしょう。

今後も、現場の安全性や清潔感を守りながら、スタッフ一人ひとりが自分らしく輝ける環境づくりが進むことを期待したいものです。


介護の三ツ星コンシェルジュ