福祉用具のヒヤリハットとハインリッヒの法則
こんにちは!
「福祉用具屋さんのブログ」を書いている「福祉用具屋さん」と申します。
今回は、「福祉用具のヒヤリハットとハインリッヒの法則」というテーマで書いてみたいと思います。
ハインリッヒの法則とは?
「ハインリッヒの法則」とは、1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故があり、さらにその背後には300件のヒヤリハットがある、という理論。アメリカの損害保険会社の技師ハインリッヒ氏が作った理論です。
この法則で大事なのは、「あの時ヒヤッとしただけ」で終わらせず、そこから学び、対策を講じることが重大事故を防ぐカギになるという考え方です。
私は福祉用具を扱う仕事を日頃行っていますが、そんな私たちにとっても、この視点はとても大切です。
福祉用具を利用しての事故を防ぐ
福祉用具は、利用者の生活の質を保ち、自立を助ける大切なツール。
しかし、使い方を誤ったり、体の状態や環境に合わなかったりすると事故に繋がることもあります。
特に、ベッド・歩行器・車いす・手すりなどは身体の動きを補完するものなので、「いつも通り」に使っただけでも状況が変われば思わぬ危険につながることも・・・。
だからこそ、環境や身体状態の変化に応じた点検・評価・見直しが重要だったりします。
気をつけたい主要なヒヤリハット
ということで福祉用具使用時にありがちなヒヤリハットについていくつか挙げてみますと・・・
① 歩行器と体が離れてしまい前のめりに転倒
→ 車輪の動きに体がついていけず歩行器から体が離れてしまうと転倒リスク増!
【画像はテクノエイド協会様のヒヤリハット情報(Case68)を掲載】
https://www.techno-aids.or.jp/hiyari/index.php
(最終アクセス日 2025年04月30日 画像の掲載許可済み)
② 車いすのブレーキを掛けずに立とうとして転倒・座ろうとして尻もち
→ 「ちょっとした動作をひとつ略してしまうこと」が事故の元。ブレーキ確認は基本中の基本。
③ 置き型手すりとベッドの隙間に転落して体を挟んでしまった
→ 置き型手すりはベッド脇に隙間なく設置することが重要です。
④ ベッド柵の隙間から手を出した状態で背上げをして手を挟んでしまう
→ ご本人も気づかずに外に出した手をベッドの動きで挟み込んでしまい骨折や打撲が起こる。
【画像はテクノエイド協会様のヒヤリハット情報(Case25)を掲載】
https://www.techno-aids.or.jp/hiyari/index.php
(最終アクセス日 2025年04月30日 画像の掲載許可済み)
ここからは、とある小柄なおばあさんが介護ベッドを使っていたときの実話です。
このおばあさんは膝の力が弱まり、ベッドに腰をかけるときはいつも「ドシン」と勢いよく着座する傾向がありました。
床ずれのリスクが高くなってきたため、柔らかいマットに交換したのですが、それがきっかけでヒヤリハットが起きました。
いつもの調子で腰掛けたおばあさん、これまでよりもマットが柔らかかったことでドシンといつものように着座した際の勢いがさらに増してしまい、そのまま後ろにひっくり返ってしまったのです。
ベッドの反対側にはサイドレールを前後に直列で設置しており、もし後頭部をぶつけていたら…もし首をレールの隙間に挟んでいたら…今思い出してもゾッとします。
幸い、ケガはなく済みましたが、「福祉用具を変更したら一つひとつの動作も再検証が必要」ということを学びました。
あの時のヒヤリが、今の私の危機意識を作ってくれています。
ヒヤリハットは、いつでも・どこでも・誰にでも起こりえます。
重要なのは、それを「なかったこと」にしないこと。
・共有する
・対策する
・繰り返さない
その積み重ねが、大きな事故を未然に防ぐ力になると思います!
日々の点検・声かけ・情報共有を怠らず、安心・安全な環境で福祉用具の活用に努めていければと思っています。
※ちなみに、福祉用具のヒヤリハット情報は、公益財団法人テクノエイド協会さんがホームページで実際の事例をたくさん紹介されています。
もしよかったら参考にしてみてください!
というわけで、最後まで読んでいただきありがとうございました!
これからも、「介護の三ツ星コンシェルジュ」にて、福祉用具にまつわるコラムを定期的に投稿していきますので、どうぞよろしくお願い致します!!
ではでは