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訪問看護での勤務「関心なし」が多数派 「1人での業務はハードル高い」の印象

近年、ターミナル期の人やパーキンソン病などの難病患者に特化した高齢者住宅が急速に増えています。

こうした住宅を運営する上でカギとなるのが訪問看護です。
運営者自身で訪問看護事業を手がけたり、近隣の訪問看護事業所と密に連携したりとビジネスモデルには多少違いがありますが、いずれにせよ24時間対応可能など良質な訪問看護事業所の存在が不可欠になります。
 

そして、当然ながら良質な訪問看護事業所の増加には、これまでの病院やクリニックとは異なる働き方を選ぶ看護師が増えていくことが絶対条件といえます。

では、実際に当の看護師はその点についてどのような意識を持っているのでしょうか。
看護師向け転職サイトの運営などを手掛ける大手企業が5月10日に発表した、「看護師の働き方に関する意識調査」の結果を元に検証してみましょう。

調査は、この会社のサービスを利用する看護師を対象に実施したもので1万9878名が回答しています。

 これまで訪問看護事業所(以下:訪看)での就業経験がない人に対し、訪看で働くことの関心の有無を尋ねたところ「ある」が6027、「ない」が1万889と1.5倍以上の差が出ました。

まだ、多くの看護師にとって訪看は「自分にはあまり縁がない」という認識であり、今後訪看が増えていくためには、この認識を変えていく必要があると言えそうです。

 では、なぜ訪看での就業に関心がないのでしょうか。その理由を尋ねたところ、
1位は「1人で訪問することの怖さやプレッシャーを感じる」となりました。
2
位は「オンコール対応が大変そう」、
3位は「利用者の疾患が幅広く、自分では判断できないことが多いと感じる」でした。

つまり、病院やクリニックであれば医師や他の看護師、そのほかの専門職が常に周囲におり、必要に応じて指示を受けたりアドバイスをもらったりしながら対応できるのに対し、多くのことを一人で判断・行動をしなくてはならない訪看はハードルが高いと感じている看護師が多いと思われます。

また、本来ならば、1人で責任ある業務を行うことは、自身の経験値を増やすはずです。
しかし、回答の中には少数ながら「キャリアダウンにつながる印象がある」というものもありました。

これは訪問看護の現場で提供されるのは緩和ケアが中心であり、先端医療に触れる機会が少なくなるため「ほかの看護師に比べて医療知識などの面で遅れをとっている」と考え、将来また病院やクリニックで勤務するときにそのことが不利にはたらくのではないか、との懸念につながっていると思われます。

また、病院やクリニックは、基本的に「来る患者を待つ」という経営姿勢なのに対して、訪看では医師からの訪問看護指示書をもらうために近隣の医療機関などへの「営業」が欠かせません。

こうした実際の看護業務以外の仕事があることも、訪看での勤務を敬遠する理由の一つになっているとも言えます。

一方で、訪看での勤務に「関心あり」と回答した看護師に、その理由を尋ねたところ、
1位は「在宅医療に社会的な意義を感じる」
2位は「患者とじっくり向きあえるケアがしたい」となっています。

人材の募集に関しては、これらの点を前面に出してPRするのが効果的かもしれません。

ただし3位は「夜勤がないなど、病院よりも公私のバランスがとりやすい」となっており、ワークライフバランスを重視したい人が訪看を志すという現実も伺えます。

24時間対応可能な体制を構築する上では、夜勤(夜間オンコール含む)をいかに負担に感じさせないか、という点についても工夫が必要と言えます。

介護の三ツ星コンシェルジュ

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