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「軽度認知障害(MCI)」を7割近くが知らず 認知症や予防に関する一般国民への啓発は十分か?

ライフネット生命は4月12日、一般の人を対象に実施した、認知症に関する意識調査の結果を発表しました。

それによると、これまでに認知症の家族などの介護を経験していない人は認知症に関する認識が十分ではなく、認知症の準備や予防に関する意識も低くなっています。

今回は、このアンケートの結果を詳しく紹介します。

調査は今年2月に全国の20歳~60歳を対象にインターネットを使って実施したもので、認知症の人の介護を経験している人(以下:経験者)、未経験の人(以下:未経験者)500人ずつが回答しました。

 「認知症と聞いて、どのようなイメージをもっているか」について、
①今まで暮らしてきた場所でこれまで通りの生活ができる、
②医療・介護のサポートを受けながら今まで暮らしてきた場所で生活できる、
③自分では身の回りのことができなくなるので、介護施設などに入ってサポートを受ける必要がある、の3つから1つ選んでもらったところ、経験者、未経験者ともに③が最も多くなりました。

③と回答した人の割合は、経験者が52.2%であったのに対し、未経験者は59.2%と高く、認知症に関してネガティブ・深刻にとらえている傾向が伺えます。

「家族が認知症になった場合に備え、何か対策をしているか」との問いに「特に何もしていない」と回答したのは経験者52.0%に対し、未経験者では84.2%と大きな差が生じています。

また「家族が認知症となった場合の費用について」も「自分は準備しておらず、自分以外の誰が負担するかもわからない」という回答が、経験者29.1%に対して未経験者では51.0%と高くなっており「自分や家族にとって認知症は身近な問題ではない」という意識が強いようです。

認知症というと徐々に進行するアルツハイマー型のイメージが強いため「どこか様子がおかしいな」と周囲の人が感じるようになってから対策しても十分間に合うと思いがちです。

しかし、脳血管性認知症のように急速に認知機能が低下するケースもあります。
年齢や既往歴から認知症発症の可能性が高くなると考えられる段階で対策を講じておくことが大切と言えるでしょう。

また、「認知症は、発症を遅らせたり症状を軽くしたりできることを知っている」のは、経験者の69.8%に対して未経験者は47.0%と低く、投薬治療についても未経験者は41.8%が「知らない」と回答し、経験者の12.8%を上回りました。

「軽度認知障害(MCI)」という言葉について「知らない」と回答したのは、未経験者65.0%、経験者32.6%と2倍近い差がついています。

このように予防や治療に関する知識・情報についても未経験者は十分とは言えない状況です。

今後、認知症やMCIの人が増加していくことが確実視されているなかで、行政などが主催する認知症予防教室が全国各地で開催されています。

介護事業者の中にも近隣住民に対して保険外で脳トレ教室など行っているケースは多いでしょう。
しかし、それらの大半で「参加者が固定されてしまい、新規参加者が増えない」ことが課題となっています。

まずは「興味・関心のある人とない人の格差」を埋めていくことが重要といえます。そのためにはいろいろと工夫も必要です。

例えば、名前に「認知症予防」「脳トレ」などの言葉がついていると「通うのが恥ずかしい」などと感じてしまう人もいます。

近所のカフェやカラオケにでも行くような感覚で気軽に友人同士で参加でき、気が付けば認知症予防になっているような仕組みの構築が求められるのではないでしょうか。

介護の三ツ星コンシェルジュ

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