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社会福祉法人の35.7%が赤字 介護主体の法人は45.8%と厳しい状況

独立行政法人福祉医療機構(WAM)が3月18日に「2022年度 社会福祉法人の経営状況について」という調査レポートを発表しました。
今回は、その結果をもとに社会福祉法人・特別養護老人ホームの経営実態について詳しく見てみましょう。

この調査はWAMの貸付先となっている法人を対象に実施しているもので、2022年度調査は8298法人が対象となりました。

その中で赤字となっている法人は35.7%で、2021年度調査に比べて4.4ポイント増加しています。

これからも社会福祉法人の経営環境の悪化が見て取れます。

 赤字法人と黒字法人の経営状況を比較してみると、経費率は赤字法人が27.1%、黒字法人23.9%となっています。
また人件費率も赤字法人が70.0%、黒字法人が66.0%であり、赤字法人は効率的な経営ができていない状況が見て取れます。

一方で従事者1人あたりのサービス活動収益は赤字法人が612万7000円、黒字法人が641万3000円であり、赤字法人は従業員の生産性が低いとも言えます。

次に社会福祉法人を「介護事業主体」「保育事業主体」「障害事業主体」の3つにわけてみましょう。
それぞれの赤字法人の割合は以下の通りです(カッコ内は2021年度との比較)。
「介護」45.8%(+6.5ポイント)
「保育」24.8%(+1.1ポイント)
「障害」35.6%(+5.9ポイント)

 これからもわかるように、介護主体の法人が、赤字の割合、前年度比の増加率ともに最も高くなっており、より苦しい経営環境に置かれています。
では、なぜ介護主体の法人の経営がここまで厳しくなっているのでしょうか。

改めて調査対象全8298法人について、経営上の細かい数値を分析してみましょう。

 1法人当たりの従事者数は119.1人で前年度比マイナス0.6人となっています。
従事者1人あたりの人件費は425万1000円と前年度比で14万8000円上昇していますが、従事者数が減少しているためか、人件費率は前年度と変わらず67.3%でした。

しかし経費率自体は25.0%と前年度比で0.9ポイントの上昇となっています。

 つまり、処遇改善などで人件費が上昇する中で各法人とも様々な工夫により人件費比率自体は押さえているものの、それ以外のコストの上昇により経費率が上がり、経営を圧迫しているという状況がこの調査結果から見て取れます。

 では、それ以外のコストの上昇とは何でしょうか?
真っ先に考えられるのは、近年その上昇が指摘されている水道光熱費でしょう。

社会福祉法人の中でも介護事業を主体とする法人の赤字比率が高いのは、特別養護老人ホーム(もしくはそれを含む複合施設)という保育や障害事業書に比べて大規模で、なおかつ24時間365日電気や水道を使用する施設を運営していることが原因と考えられます。

 特養については、2022年度の収支差率がマイナス1.0%となったことが話題になりました。
これを受けて2024年4月からの特養の基本報酬単位は1%強の引き上げとなりました。

しかし、果たしてこれで赤字の解消が可能かどうかは未知数です。

営利を目的としない社会福祉法人の場合には民間企業とは異なり、従業員、特に現場スタッフに「営業」などの数字に関する意識を持たせることは多くはないかもしれません。

しかし、特養の入居者が原則として要介護3以上とされてからは、空室に悩む施設が増えているとも言われています。

こうした中で、従業員一人ひとりが数字を意識して業務に当たる組織づくりが求められているとも言えそうです。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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