介護業界 嚙み砕き知識・ニュース

高齢者虐待防止の経過措置が3月で終了 新規採用者への研修が必須に

 いよいよ4月から新たしい介護報酬が適用されます(訪問看護など一部の介護保険サービスについては6月より新報酬が適用されます)。

介護事業者の間では、訪問介護の基本単位数引き下げが「あり得ない」「サービス崩壊を招く」などと大きな話題になっていますが、それ以外にも介護事業者にとっては注意しなくてはならないさまざまポイントがあります。

 前回の介護報酬改定は2021年4月。日本は(日本に限った話ではありませんが)、新型コロナウイルス感染症騒動の真っただ中にありました。

介護事業者は感染予防対策・拡大予防対策にてんてこ舞いであったこともあり、介護事業者に求められるさまざまな取り組みについては経過措置が設けられていました。それらの多くが2024年3月31日で終了となりますので注意が必要です
具体的には以下の経過措置が終了となり、介護事業者に義務付けられます。

① 感染対策の強化(全サービス)
 施設系サービスは、現行の委員会の開催、指針整備、研修実施に加え訓練(シミュレーション)の実施。それ以外のサービスは委員会の開催、指針整備、研修実施に加え訓練(シミュレーション)の実施など。
② 業務継続に向けた取り組みの強化(全サービス)
いわゆるBCP。計画の作成、研修、訓練の実施など。
③ 認知症介護基礎研修受講の義務化(全サービス)
 介護に直接関わる職員で、医療・福祉系の資格がない人について、基礎研修を受講させるために必要な措置を講じる。
④ 高齢者虐待防止の推進(全サービス)
 虐待の発生または再発防止のための委員会の開催、指針整備、研修実施、担当者の選定。
⑤ 口腔衛生管理の強化(施設系サービス)
 基本サービスとして口腔衛生の管理体制を整備。入所者の状態に応じた口腔衛生の管理。
⑥ 栄養ケア・マネジメントの充実(施設系サービス)
「入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に実施しなければならない」ことを運営基準に規定。

この中で、特に注意が必要なのは「高齢者虐待防止の推進」です。

厚生労働省が発出している文書をもう少し詳しく見てみましょう。

例えばBCPについては「訪問・通所・短期・多機能は研修・訓練を年1回以上。
新規採用時研修は別に実施することが望ましい」とあります。

一方で虐待防止については「訪問・通所・短期・多機能は委員会を定期的に開催、研修は年1回以上。新規採用時研修は必ず」となっています。
「望ましい」と「必ず」は大きな違いです。

介護事業所では程度の差こそあれ、新しく入社・入職した人には必ず研修を実施しているでしょう。
そして研修の際には市販物かオリジナルかを問わず、何らかの資料を使用することが当たり前です。

また、それらの資料は、新規採用者があるたびに新たに購入したりゼロから作成したりするとも思えません。

作成済みの物や購入済みの物をパソコンの中や資料棚の中など、いつでも取り出しやすい場所に保管しているのが一般的ではないでしょうか。

つまり、行政(保険者)に「虐待防止研修で使用している資料を出して下さい」と言われたときに、すぐに応じられないと「必ず実施」と定められている研修をしていないと判断されてしまう可能性があるのです。

義務ですから、それが実施されていないときには何らかのペナルティが課される可能性が高いでしょう。


 報酬改定が行われると、ついつい基本単位や加算の増減などの数字ばかりに目が行ってしまいます。
しかし、それ以外の文章の細かい文言についてもしっかりと読み込んでおかないと経営面で大きなダメージを受ける可能性もありますので注意が必要です。

介護の三ツ星コンシェルジュ

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