高齢者の病気・疾患

褥瘡をつくらない。介護職が知るべき知識とケア

こんにちは!「しんぶろぐ〜介護ノート~」を運営しているしん(@shinbloger)です。
簡単に自己紹介させてください。

・13年以上の介護経験がある現役の介護士です。
・介護福祉士と福祉用具専門相談員の資格を持っています。
・認知症デイの相談員4年以上の経験があります。

今回は、介護職が知っておくべき褥瘡に関する記事を書きました。
3分ほどで読める記事なので介護職の方は読んでみてください。

はじめに 褥瘡とは?

褥瘡(床ずれ)は、体の一部が長時間にわたって圧迫されることで、皮膚とその下の組織が傷ついた状態を指します。

特に高齢者や身体活動が制限された人々がこの状態になりやすく、
重症化すると感染症やその他の合併症を引き起こす可能性があります。

介護職として働いている人にとっては、身近な病気ですよね。

褥瘡ができやすい好発部位

褥瘡は特定の部位によく発生します。これらは通常、体重が支えられる骨が皮膚に近い部分や、長時間圧力がかかる可能性が高い場所です。

【仰向けに寝ている場合】

かかと、ふくらはぎの下部
背中の下部(仙骨)
頭の後ろ(後頭部)

【座っている場合】
お尻(坐骨)
股の裏
足の裏、特にかかと

【横向きに寝ている場合】
肘や膝の外側

耳の後ろ

介護の現場で最も褥瘡を多くみる部位は臀部の仙骨部です。
長時間座っていることが多い介護施設では、臀部の仙骨部に褥瘡ができやすいです。

褥瘡ができる原因

褥瘡ができる原因は、下記になります。

・圧力と摩擦
・血流不良
・栄養不足
・湿潤環境

一つずつ説明します。

●圧力と摩擦
長時間同じ体位でいることが多い高齢者や寝たきりの人々では、特定の体の部分、特に骨が突出している部分や、体重がかかる部分に圧力が集中します。この圧力が継続すると、皮膚やその下の組織にダメージが生じます。

また、摩擦による損傷も加わります。
例えば、シーツや布に対して皮膚が頻繁に擦れると、皮膚が傷つきやすくなります。

●血流不良

圧力が特定の部位にかかると、その部位の血流が悪化します。
血流が不良になると、該当する皮膚や組織は十分な栄養と酸素を得られず、組織の健康が低下します。

これにより、皮膚はもろく、傷つきやすくなるため、褥瘡が発生する確率が高くなります。

●栄養不足
全体的な栄養不足、特にプロテインの不足は、皮膚と組織が弱くなる主要な原因です。
良い栄養状態は体全体、特に皮膚と組織を健康に保ちます。

栄養不足が続くと、皮膚が脆弱になり、
褥瘡ができやすくなるのです。

●湿潤環境
汗や尿、便失禁によって皮膚が湿っていると、その部位が褥瘡になりやすくなります。
湿潤環境は皮膚を柔らかくして摩擦や圧力によるダメージを受けやすくさせるだけでなく、細菌が増殖しやすくもなります。

これが感染症のリスクを高め、褥瘡の状態をさらに悪化させる可能性があります。

褥瘡は、これらの原因が複数重なり合って発生することが多いです。

褥瘡を作らないための対策

褥瘡を予防するための具体的なケアと対策は下記になります。

・定期的な体位変更と圧力分散
・スキンケア
・栄養バランスのとれた食事
・湿潤環境の管理

●定期的な体位変更と圧力分散
長時間同じ体位でいると圧力が特定の部位に集中し、褥瘡のリスクが高まります。
定期的な体位の変更や、特別なクッションやマットレスを使用することで、圧力を分散させる必要があります。

●高品質のスキンケア
皮膚が乾燥していると褥瘡が発生しやすくなります。
したがって、無香料かつ柔らかい洗浄剤で皮膚を清潔に保ち、保湿クリームを使用することが重要です。

●栄養バランスのとれた食事
栄養が偏っていると、皮膚と組織が弱くなり、褥瘡が発生しやすくなります。
特に、高タンパクの食事と、ビタミンとミネラルが豊富な食品の摂取が推奨されます。

●湿潤環境の管理
尿や便、汗などによる湿潤環境は褥瘡のリスクを高めます。
皮膚が濡れた状態であると、早急に清潔にし乾燥させることが必要です。


これらの対策を適切に行うことで、褥瘡の発生リスクを大幅に低減することが可能です。
特に高齢者や寝たきりの人々にとって、これらの予防措置は極めて重要です。

褥瘡が出来てしまった時の対処法

褥瘡ができてしまったときの対処法は下記になります。

●医師や専門家の診断を受ける
褥瘡が発生した場合、最初にすべきは専門の医師や看護師に診てもらうことです。
早期に適切な診断と治療を行うことが、さらなる悪化を防ぐ鍵です。

●圧力を避ける
褥瘡が発生した部位には、圧力がかからないように体位を調整することが重要です。
例えば、褥瘡が尾骨にできた場合、患者を横向きにするなどして、圧力を避ける工夫が必要です。

●清潔かつ乾燥した状態を保つ
褥瘡が感染するリスクを最小限にするためには、傷部分を清潔かつ乾燥した状態に保つことが必要です。専用の洗浄剤や帯状の敷材を使用することが推奨されます。

●栄養状態の改善
治療が効果的に行われるためには、栄養状態の改善も重要です。
特にプロテインやビタミンC、亜鉛など、皮膚の再生に必要な栄養素をしっかりと摂取する必要があります。

まとめ

褥瘡は介護職にとっても、当事者にとっても非常に厄介な問題です。
僕も介護職として、褥瘡に悩む高齢者が多い環境で働いています。

褥瘡が発生した際は日中も患部の処置や体位変換、清潔を保つためのケアが必要となってきます。
その時間と労力は、本来は他の有意義なケアやコミュニケーションに使えるはずです。

褥瘡の原因は多岐にわたりますが、基本的なケアがしっかりと行われれば、褥瘡の発生は大いに防げます。

この記事が、褥瘡に関する基本的な知識と具体的なケア方法を提供できたらと思います。

今回は以上になります。

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