がんってどんな病気?

がんシリーズ9. 情報との付き合い方1

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
がん(悪性腫瘍)シリーズの9回目からは「情報との付き合い方」について2回シリーズでお話しします。

がんの情報があふれている!

皆さん、インターネットの検索サイトは使用しますよね。
私がある時、「がん」「治療」なんて検索してみたら、一番上に広告が出てきて、免疫療法の本が出てきました。
他にも「がん細胞は糖質を主な栄養だから、糖質を取らなければがんは治る」とか、「血液クレンジングはがん予防に有効」といった情報が出てきたりします。
実はこれらの情報は、医学的には明確な効果が期待できないものが大半です。
 
冒頭に出てきた免疫療法について、以前、このコラムでも新しい治療として同じ言葉で紹介したことがあります。
ただ、免疫療法で効果が証明されているものはまだまだ限られているのですが、一部の民間のクリニックなどで、自由診療として効果の確認できていない全く別の免疫療法を行っている施設もあります。
そう言った施設での治療は時として非常に高額であったりします。

皆さんはこう言った情報を見て、どのように感じられるでしょうか?
希望という意味では、それはそれで大切な情報というように捉える方もいるでしょう。
ただ、医療者として懸念するのは、こう言った情報をもとに行動した結果、本来なら標準治療で十分治療できていたのに、そう言った治療を受けずに病状が悪化してしまうという点でしょうか。
そして、そう言った患者さんはがん治療に関わっている医療者なら、少なからず経験しているでしょう。
 
標準治療はその時点で、最も治療効果があると判断されているがん治療です。
情報の取捨選択をするのは非常に難しい中で、根拠なく「がんが治る」といった情報を発信するのは非常に良くないと感じます。

インターネットだけではない!

さて、インターネット情報について書いてきましたが、こう言った情報はインターネットだけではありません。

ある患者さんのお話ですが、がんにかかったことを伝えたら、親戚から様々な治療を勧められたとのことです。
手書きの手紙付きで、「この水を飲んでがんが治った人がいるから、あなたも購入して飲んだ方が良い。
自分が口利きしたら、少し安くなるから。」と言った趣旨のことが書いてあり、親戚ということもあって断ることもできなかったそうです。

誤解がないように申し上げると、私はこう言った親戚の方が悪い人だとは思っていません。
ただ、当事者であるがん患者さんが、様々な情報にさらされ、結局何が正しいのかわからないという状況になってしまわないよう、周囲も配慮する必要はあるかと思います。

あわせて、こう言った話には、やはりビジネスとして情報を発信している人がいることも事実として知っておいた方が良いと思います。
医療的な妥当性よりも、ビジネスとしての観点からの情報発信をどのように考えるかは、これからの社会のあり方として議論されていくべきでしょう。

まとめ

第9回は「情報との付き合い方」について、現状の課題についてお話ししました。
第10回はあふれる情報の中で、実際にどうしていくか?考えてみたいと思います。

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この記事を書いたコラムニスト

柏木 秀行 (カシワギ ヒデユキ)

医師・社会福祉士・経営学修士

1981年広島県呉市に生まれる。筑波大学医学専門学群を卒業後、福岡の飯塚病院に初期研修医として就職。救急、感染症、集中治療などを中心に研修を行った。地域医療を支える小規模病院に出向した際、医療経営と地域のヘルスケアシステムづくりをできる人材になりたいと感じ、グロービス経営大学院で経営学修士を取得。また、社会保障制度のあるべき姿の観点を、研修医教育に取り入れたいと感じ社会福祉士を取得し育成に取り組む。現在は飯塚病院緩和ケア科部長として部門の運営と教育を行いながら、診療所の経営コンサルトをオフタイムに兼任。緩和医療専門医、総合内科専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医。

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