高齢者の病気・疾患

がんシリーズ7. がんの治療について(緩和ケア)

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
がん(悪性腫瘍)シリーズの7回目は、緩和ケアについてお話しします。
 

緩和ケアとは

緩和ケアって聞いたことがありますか?

実はまだまだ知られていない緩和ケアという言葉ですが、がん治療においては非常に重要になってきています。
WHOの説明によると、「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである。」と説明されています。
苦痛を和らげ、生活や療養をサポートすることがその役割です。

がん患者さんが困っているのは、痛みのような身体的な症状だけではありません。
先行きへの不安な気持ちや、仕事のこと、ご家族の負担など様々なことが大変だと感じる方が多いのですが、こういった病気に関連した様々な困りごとを、サポートするのが緩和ケアになります。

がんをはじめとした様々な病気とともにある患者さんとその家族に対して、体のことも、体以外のことも含めサポートしていくことが緩和ケアであると理解ください。

緩和ケアは治療しないんですか?

緩和ケアと聞くと、何も治療をしないとイメージされる方が多いようです。
これは大きな誤解で、緩和ケアは決して手術や薬物療法、放射線治療と相反するものではありません。
むしろ多くの患者さんにとっては、これらの治療と並行して取り組む治療です。

また、体の状況によっては、がん細胞自体をやっつける治療よりも緩和ケアを優先して対処することの方が負担が少なく過ごせる場合があります。
その時も決して何も治療しないというのではなく、苦痛を和らげるためにできる最大限の取り組みをしていることを知っていてもらいたいですね。

緩和ケア病棟って?

緩和ケア病棟という専門病棟があります。
緩和ケアを専門的に提供する役割を担っており、専門的な緩和ケアのトレーニングを受けたスタッフが配置されており、難しい症状や複雑なケアを必要とする患者さんへ対応することが主な役割です。
緩和ケア病棟は診療報酬のルールもあり、がんもしくはAIDSにかかっている患者さんが入院の対象としています。

在宅での緩和ケア

病気になっても自宅で過ごしたいと望む方は多くおられ、そう言った方に自宅で過ごせるようにサポートすることも緩和ケアの重要な役割です。
こういった在宅緩和ケアを提供するのは、多くの地域では在宅医療を提供している診療所や訪問看護ステーションが主体になります。
皆様の地域の在宅緩和ケア事情について、調べることや、病院の相談部門に尋ねてみるなんてきっかけになれば幸いです。

まとめ

第7回は緩和ケアについて述べてきました。
次回は少し趣向を変えて、治験についてお話ししていきます。
引き続きよろしくお願いします。

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