令和3年度介護報酬改定の主な事項について①~感染症や災害への対応力強化~
全体的には0.70%アップ
令和3年1月18日、厚生労働省は第199回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料を公表し、令和3年4月に施行される介護報酬改定についてサービス別に改定事項をまとめました。
改定に当たっての主な視点は、
○ 感染症や災害への対応力強化
○地域包括ケアシステムの推進
○ 自立支援・重度化防止の取組の推進
○ 介護人材の確保・介護現場の革新
○ 制度の安定性・持続可能性の確保
これらを踏まえたうえで、介護職員の人材確保・処遇改善にも配慮しつつ、物価動向による物件費への影響など
介護事業者の経営を巡る状況等を踏まえ、+0.70%改定率となっています。(※うち、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価 0.05%(令和3年9月末まで))
今回は、主な視点の中の、「感染症や災害への対応力強化」についてまとめていきます。
新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価
新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として、全てのサービスについて、2021年9月末までの間、基本報酬に0.1%上乗せするとされています。
全ての介護サービス事業者に対し、感染症や災害が発生した場合であっても、利用者に必要なサービスが安定的・継続的に提供される体制の構築を求め、日頃からの備えと業務継続に向けた取組の推進と銘打ち、
・感染症対策の強化
・業務継続に向けた取組の強化
・災害への地域と連携した対応の強化
・通所介護等の事業所規模別の報酬等に関する対応
を求め、具体的には、
・施設系サービスについて、現行の委員会の開催、指針の整備、研修の実施等に加え、訓練(シミュレーション)の実施
・その他のサービスについて、委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施
・業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施
等を義務づけることとしています。
内容について、「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」(※下記URL参照)を参考にして下さい。
通所介護等の事業所規模別の報酬等に関する対応
コロナ禍で介護サービス事業者の中で最も打撃を受けたのが通所介護事業者。
救済策として、通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護の報酬について、感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合に、状況に即した安定的なサービス提供を可能とする観点から、報酬について、以下の見直しが行われています。
① より小さい規模区分がある大規模型について、事業所規模別の報酬区分の決定にあたり、前年度の平均延べ利用者数ではなく、延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることができることとする。【通知改正】
②延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から5%以上減少している場合、3か月間(※2)、基本報酬の3%の加算を行うこととする(※3)。【告示改正】
新型コロナウイルス感染症の影響は大きいことから、前年度の平均延べ利用者数等から5%以上の利用者減の事業所に関しての適用は、年度当初から即時的に対応を行うこととされました。
※1 ①②ともに、利用者減の翌月に届出、翌々月から適用。利用者数の実績が前年度平均等に戻った場合はその翌月に届出、翌々月まで。
※2 利用者減に対応するための経営改善に時間を要するその他の特別の事情があると認められる場合は一回の延長を認める。
※3 加算分は区分支給限度基準額の算定に含めない。
次回は、「認知症への対応力向上に向けた取組の推進」について説明していきます。