がんシリーズ3. がんの診断について
「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。がん(悪性腫瘍)シリーズの3回目です。今回はがん(悪性腫瘍)の診断についてお話ししていきます。
まずは検査の必要性を考える
がんの診断はどのようにするのでしょうか?よくがん検診を早く受けましょう!とかいいますよね。そのイメージからは、定期的にレントゲンやCTの検査を思い浮かべるかもしれません。人によっては、毎年、なんらかの検査を受ければ安心!みたいに考えておられるかもしれませんね。
どの検査も同様なのですが、医師が検査を進めるときには、前提として必要性が高いと判断しています。そして、検査の必要性を考えるにあたって重要なのは、患者さん自身の状況です。例えば、年齢は重要な情報ですよね。20歳の頃にはあまりがんを心配しなくても、50歳くらいになってくると状況は変わってきます。また、症状によっても心配度合いは変わりますよね。もともとお元気だったけど、がんを発症する可能性のある方に、いつも息切れがするといった変化があったら、がんも含め様々な病気を気にして検査をお勧めすると思います。
このように患者さん自身の状況を確認するステップを、問診といいます。実際にはこの問診をしながら、体を診察して検査の必要性を検討しています。
また、症状がなくても、条件を満たせば検査が進められるがんについては、検診をすることが勧められます。がん検診などはこの話ですね。現在、日本で勧められているがん検診は、胃がん検診、子宮頸がん検診、肺がん検診、乳がん検診、大腸がん検診の5種類です。症状のない方に検査をするので、負担が少なく、本当にがんが見つかった時に適切な治療を行うことで効果が期待できるものが対象となっています。
それぞれのがんに対する検査がある
検査が必要と判断されると、どの検査をするかは疑われるがんによって異なります。例えば、胃がんであれば胃カメラ(内視鏡検査)が重要な検査になります。肺がんだとレントゲン、CTと気管支鏡検査などが一般的ですね。これらの検査をしながら、本当にがんの診断で良いのか、疑わしい場所の細胞を採取して顕微鏡でみて判断します。この顕微鏡の検査を病理検査と呼び、がんの診断の上では非常に重要な検査となります。病理検査で診断する医師は、病理医と呼ばれ患者さんと直接会うことはあまりないのですが、重大な責任を背負った医師です。もし病院のホームページなどをご覧になる際は、是非、病理部門についてもみて欲しいなと思います。皆さんのがん診療を支える重要なお医者さんですので。
ここまで話したような検査をして、がんの診断をするとともに、がんのステージを判断します。ステージというのは、がんの進み具合の段階です。この段階によって、治療が変わるので、これも重要な診断ですね。
まとめ
第3回はがんの診断について述べてきました。次回はがんの治療についてです。引き続きよろしくお願いします。