高齢者の病気・疾患

がんシリーズ4. がんの治療について(手術編)

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。がん(悪性腫瘍)シリーズの4回目です。今回からはがん(悪性腫瘍)の治療についてお話ししていきます。まずは治療の中で、読者の皆様が最もイメージが強いかなと思う外科治療です。
 

外科治療の特徴

 がんの治療といえば手術!とイメージされる方も多いのではないでしょうか?医療ドラマなどでも、「治療は難しいです」といわれたがん患者が、天才外科医の手術で奇跡の回復!というような演出がしばしばあります。本当にかっこいいですよね。私でもそう感じるので、皆様からすると外科の先生って頼もしく感じられるでしょう。
 ここで外科と表現しましたが、外科にも様々な分野があります。御存知の通り、外科というのは治療の中心が外科手術である分野を専門としています。最も一般的な外科の分野といえば、胃がんの手術などの消化管手術です。でもがんは多くの種類があるため、それぞれの分野の外科医がいます。例えば、子宮がんや卵巣がんの手術をしてくれる婦人科の先生は、立派な外科医です。
 がんが見つかって、最初に考えるのは「がんをすべて取り除いてしまえば、完治出来る!」という発想ですよね。まさしく、完全にがん細胞を取り除くことができれば、それは完治であり、理想的です。もちろん、そのためにはがんが限られた範囲である必要があります。以前お話ししたように、転移のあるような病状だと、多くの場合は手術はできません。
 その他にも、がん自体は手術で切除可能であっても、元々の体力が手術に耐えられなければ手術はできません。手術は医療行為の中でも、体に負担が大きな治療です。手術の前には、十分に手術に耐えられる体力があるか、しっかり検査をします。がんは切除できたけど、生活に支障が出るような影響が残ってしまいましたなんてことは良くないですからね。

どんどん進歩する外科治療

 手術は負担が大きい治療と紹介しましたが、腹腔鏡手術を代表として、負担が少ない外科治療が開発されています。私自身は普段手術に関わることはないのですが、研修医時代に短期間、外科の研修を経験しました。やはり外科の先生方の手術にかける情熱は素晴らしく、少しでも治療効果が期待でき、患者さんへの負担の少ない治療を実践するよう頑張っておられます。昨今は医療業界にも働き方改革をしっかり取り組んでいくことが議論されていますが、長時間労働になりがちな外科診療科の先生方の大変さを皆様にも知っていていただきたいです。

外科治療もチーム医療で!

 さて、ここまでは手術を提供する医師を中心としたお話をしてきました。でも、手術は決して医師のみではできません。手術室で働く専門の看護師や、医療機器を管理する臨床工学士、手術中も迅速に検査できるような検査体制や清潔な手術室を保つための空調などのメンテナンスなど、非常に多くの役割をもつ医療者の尽力の上で成り立っています。外科治療はまさしく、チーム医療の元に成り立っているのです。様々な医療ドラマなどで目にする手術のシーン、そんな目線で見てもらえると、また新たな気づきがあるかもしれませんね。

まとめ

 第4回はがんの外科治療について述べてきました。次回は化学療法についてお話ししたいと思います。引き続きよろしくお願いします。
 

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