高齢者の疾患⑫認知症症状別の対処方法~弄便・不眠~

認知症の方への対処方法

残念ながら現在の医学では認知症の進行を遅らせることが出来ても、完全に治すことは出来ません。
現在の医学では、認知症の進行度(軽度⇒中等度⇒高度)に対し治療方針をたて、薬を選び経過を見ることしかできません。

一方、介護という点で言えば、症状別の対処法についてきちんと理解し、対応することにより医師がどんなに良い薬を使うよりも、安心させ落ち着かせることが可能です。

シリーズでお知らせする「認知症症状別の対処方法」。
認知症の症状別の対処法について説明していきます。
今回は、「弄便」と「不眠」にいて説明していきます。

「弄便」の対処方法

認知症の方が便を素手で触ったり掴んだりして、自分の身体や寝具、壁などに擦り付ける場合がよく起こります。
介護施設でも、こういう事態に陥り、大変苦労されている職員さんをお見受けします。
これらの行為を「弄便」といいます。

では弄便は何故起こるのでしょうか?
認知症の方は正常な精神でないから起こるんだと思われるご家族さんもよくいらっしゃいます。弄便の状況を見て「もうダメなんだ・・・・・・」と思ってしまうこともあるのではないでしょうか?
弄便は、認知症の方がオムツに失禁したことを介護者に伝えることが出来ず、自分でオムツを外してなんとかしようとしたことが原因の場合が多いのです。
誰だって便を漏らしてしまえばなんとかしようと動くのは当たり前のことですよね。認知症の方も同じです。

オムツへの失禁による不快だけでなく、自分ではどうすることも出来ないという強いストレスが意欲の低下にもつながりかねません。

介助することによりトイレの移動が可能な方なら、出来るだけオムツを使わずにトイレで自然排泄できるように環境を整えることが弄便などの不潔行為を減らす方法だと言われています。

その方の生活リズムを把握し、トイレで自然排泄を行う習慣をなくさないよう、介護者の方は気を付けましょう。

「不眠」の対処方法

高齢になると一般的には浅くなります。
若い時は、朝起きるのがつらかったのに、50歳を超えると前日どんなに夜更かししても自然に目が覚めてしまいますよね。
認知症の方は1日のリズムが変化することで睡眠障害になるリスクが高くなります。
結果、睡眠量が減り、日中は「傾眠傾向」が出て昼夜逆転が起きやすくなります。

介護者の方の負担が大きくなるのは、夜間の不眠による睡眠不足です。
認知症の方が、夜間に大声で叫んだり、テレビを見たり、外出しようとすることへの対応で介護者の方がヘトヘトになり神経的に参ってしまう場合がよくあります。

対応策としては、日中の活動量を増やし、日光を浴びるなどして体内時計を正常化したり、夜は入浴や足浴を行って眠りにつきやすくします。

日中はデイサービスに参加してもらうのも良いでしょう。
その場合、事業者の方には、「レクなどに出来るだけ参加させて、あまり眠らさないように」とお願いするのが良いでしょう。
折角行っても寝てばっかのデイービスなら、他の事業者に変更することも一考する必要があります。本人のやりたいことをみつけ、日中はそちらに夢中になっていただくことが体内時計の正常化につながります。

そういう工夫をしてもダメな場合は、医師に相談し睡眠導入剤などを処方してもらってください。

この記事を書いたコラムニスト

佐久間信二 (さくましんじ)

介護事業研究所所長

昭和63年関西学院大学卒業
某大手企業の介護事業子会社の設立・運営に携わり、経営者として売上高20億円企業にまで成長させる
現在、個人で介護事業研究所を設立。個人の皆様に介護事業所の運営・経営に関し情報発信を実施。

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