高齢者の疾患

高齢者の疾患⑪認知症症状別の対処方法~帰宅願望・異食~

認知症の方への対処方法

残念ながら現在の医学では認知症の進行を遅らせることが出来ても、完全に治すことは出来ません。
現在の医学では、認知症の進行度(軽度⇒中等度⇒高度)に対し治療方針をたて、薬を選び経過を見ることしかできません。

一方、介護という点で言えば、症状別の対処法についてきちんと理解し、対応することにより医師がどんなに良い薬を使うよりも、安心させ落ち着かせることが可能です。

シリーズでお知らせする「認知症症状別の対処方法」。
認知症の症状別の対処法について説明していきます。
今回は、「帰宅願望」と「異食」にいて説明していきます。

「帰宅願望」の対処方法

皆さん「夕暮れ症候群」という言葉を聞いたことはないでしょうか?
人生経験が長い方は、一度は聞いたことがある言葉だと思います。

認知症の方が「家に帰りたい」と言い出して、今暮らしている家から出ていこうという、認知症の方の帰宅願望が、1日のうち夕方に起こりやすいことから出来た言葉です。

認知症の方が「家に帰りたい」と思う理由は様々です。
例えば、残っている記憶がかなり昔まで遡らなければならない時に、その方にとっての家は、現在お住まいのお宅ではなく、幼い頃に過ごした家なのです。
そして家族も、今一緒に過ごしている家族ではなく、幼い頃のお父さんとお母さんなのです。

本人は、「一刻も早く家に帰らなければ、、、、、」と考え、行動に移そうとするのです。

そんな場合、介護者の方は、本人の話をよく聞いてあげて、、その気持ちを受け止めてあげるひつようがあります。
頭ごなしに「あなたの家はここでしょう!!」と否定すると不安を増幅させることになります。

対処方法としては、本人の話しをよく聞いてあげた上で、「もうすぐ夜だからあすの朝にしましょう。ご自宅には私から連絡しておきます」であるとか、「ではいっしょに帰りましょう」と言って、家の周りを回って、再び家に戻り「お腹がすきましたね。ご飯を食べましょう」と帰宅願望から話をそらすと良いでしょう。

認知症の方の残っている記憶を大切にし、同意した上で対応する。この姿勢が大切です。

「異食」の対処方法

認知症が進むと、食べ物ではないものを口に入れる場合が多々あります。
ティッシュ、観葉植物、植木鉢の土、着けているオムツのなかの便、薬のシート、紙容器等、飲み込めるものなら何でも食べてしまいます。

ビニールや煙草、電池、漂白剤等口に入れれば窒息したり、中毒を起こしたりする物もあり、命に関わることもあるので注意が必要です。

異食が見られるようになったら、手に届く場所や目に触れる場所に危険なものを置かないようにし、花や観葉植物などは手に届かない位置に飾りましょう。

また、調味料の中にも醤油のように一度にたくさん飲むと危険なものもあります。
調味料は食卓に出しっぱなしにせず、目に触れない場所に移し替えましょう。

冷蔵庫なんかも、すぐに開けられないよう工夫をする必要もあります。
赤ん坊が口に物をいれないよう、母親は細心の注意を払います。
認知症の方を持つご家庭も、その方に異食が始まったら細心の注意を図りましょう。

次回は「弄便」(ろうべん)と「不眠」の対処法についてご説明します。

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この記事を書いたコラムニスト

佐久間信二 (さくましんじ)

介護事業研究所所長

昭和63年関西学院大学卒業
某大手企業の介護事業子会社の設立・運営に携わり、経営者として売上高20億円企業にまで成長させる
現在、個人で介護事業研究所を設立。個人の皆様に介護事業所の運営・経営に関し情報発信を実施。

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