高齢者の疾患

高齢者の疾患⑧認知症症状別の対処方法~幻覚・妄想~

認知症の方への対処方法

残念ながら現在の医学では認知症の進行を遅らせることが出来ても、完全に治すことは出来ません。
現在の医学では、認知症の進行度(軽度⇒中等度⇒高度)に対し治療方針をたて、薬を選び経過を見ることしかできません。

一方、介護という点で言えば、症状別の対処法についてきちんと理解し、対応することにより医師がどんなに良い薬を使うよりも、安心させ落ち着かせることが可能です。

今回は認知症の症状別の対処法について説明していきます。
まずは、「幻覚」と「妄想」にいて説明していきます。

幻覚への対応の仕方

認知症の方は「錯覚」「幻視」や「幻聴」を訴える方が少なくありません。
実際にないものを感じるのです。

そこにいないものが見えるのが「幻視」です。
聞こえない音や声が聞こえるのが「幻聴」です。
実際にあるものを別の物と見間違えたり聞き間違えたりするのが「錯覚」です。

「幻覚」や「錯覚」は我々自身にも起こることがしばしばあります。
我々だと、「あっ思い過ごしか、、、、」「聞き間違えか、、、、」で済んでしまいますし、頻度も多くありませんのでそんなに問題なりませんが、認知症の方のように脳に異常が出てくると、これらの訴えが頻繁になります。

認知症で訴えの多いのが「幻視」です。
「家の中に知らないひとがいる」という例が多いです。
特に「子供がいる」と言ったリアリティのある表現が多いのが特徴です。

また壁のシミや模様などを見て「虫がいる」と言った「錯覚」の場合も多くあります。

認知症の方は、そのような訴えが頻繁におこりますので、ついついご家族は否定したり怒ってしまう場合が多いです。
でもこれは良くありません。「幻覚」を否定されると不安が強くなったり混乱し、さらにひどくなったり他の症状が出てくることにもつながります。

「知らない人がいる」と言われたら、「もう帰られましたよ」と返して安心させてください。
「虫がいる」と言われたら追い払ってあげて下さい。

その上で不安をやわらげるために手を取って両手で握り、「大丈夫だよ」と言って安心させてあげて下さいね。

妄想への対応の仕方

「妄想」とは現実にありえないことを真実と思い込み、周囲の人の否定を受け付けず訂正不能な状態になることです。
代表的なものが「物とられ妄想」です。

財布がないことに気付いた場合、一般の人は「どこかに落としたかな?」「どこに置いたかな?」と考えるのですが、認知症の方は探しもせずに「誰かが持って行った」「誰かが盗んだに違いない」と考えてしまいます。
そして、一番自身に対し献身的に介護してくる介護者の方に対し、「その人が盗んだに違いない」と思ってしまうのです。
一番献身的な介護者の方が、一番目に入りますので、その人が盗ったと確信してしまうのです。

献身的に介護をしているのに、泥棒扱いされた場合、私たちは人間関係が悪くなるのではと思い、強く否定し逆に怒ってしまいます。
認知症の方は、怒る様子を見て、ますます「こいつが盗ったに違いない」と確信してしまうのです。

それ以外にも、家族の話題についていけないと「自分をのけ物にしている」、配偶者が自分を無視する態度をとると「浮気している」という妄想につながるのです。

認知症の方の妄想にはどう対処すれば良いのでしょう。
「妄想」に対する最適な対処法は、我慢して認知症の方に共感する態度で接することです。

財布がなくなり犯人扱いされると、「それは大変!!!一緒に探しましょう」とまずは暫く探してみてください。
それでも妄想が治まらない時は、「ちょっとトイレに行ってくるから探しておいてね。」と言って、一度、その場を離れましょう。座を離れる理由をきちんと言うのがミソです。

「物とられ妄想」の背景には、認知症の方の不安があります。
ちょっとした生活環境が変わるとか、いつもと違うところにいる場合、私達でも不安になることがありますよね。
認知症の方に不安にさせない一番の方法は「会話をすること」です。コミュニケーションを頻繁にとり、話しを聞いてあげるだけで良いのです。
それにより出来るだけ不安をなくすよう努めましょう。

次回は「興奮」と「徘徊」の対処法を説明いたします。

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この記事を書いたコラムニスト

佐久間信二 (さくましんじ)

介護事業研究所所長

昭和63年関西学院大学卒業
某大手企業の介護事業子会社の設立・運営に携わり、経営者として売上高20億円企業にまで成長させる
現在、個人で介護事業研究所を設立。個人の皆様に介護事業所の運営・経営に関し情報発信を実施。

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