高齢者に多い悩み

70代の64%が「自分は防犯意識高い」 しかし、実際の生活の様子は・・・

「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」など電話やメールを活用した特殊詐欺の被害が一向に減りません。
また「押し買い」などの悪質商法や、空き巣狙い・強盗の被害に遭うなど、高齢者にとって自宅内で過ごすことが、決して安心安全な環境とは言えなくなってきています。

ケアマネジャーや訪問ヘルパー・看護師・医師、デイの送迎スタッフ、民生委員、配食サービス事業者など、自宅で生活している高齢者に関わる人にとっては、高齢者への注意喚起をしたり、詐欺や悪質商法の被害に遭っていないか確認したりするなど、きめ細かい対応が求められると言えます。

では、当の高齢者は、こうした状況に対してどのような意識を持っているのでしょうか。
ある調査会社が4月20日、戸建ての持ち家に住む人を対象に実施した防犯意識に関するアンケート調査の結果を発表しました。20代から70代までの各年代600人ずつ、合計で3000人が回答しています。
それによると、「特殊詐欺」と思われる電話を受けた経験があるのは36%ですが、60代では41%、70代では51%と高くなっています。
これには「在宅時間が長い」「家に固定電話がある」という高齢者特有の生活事情もあると思われますが、多くの高齢者にとって「自宅にいて犯罪被害に遭うのは決して他人事ではない」と言えそうです。

また「自分は防犯意識が高いと思う」と回答しているのは全体では47%ですが、60代では50%、70代では64%と高齢者になるほど高い割合となっています。
この結果からも「高齢者を狙う犯罪や悪質商法が増えている」という様々なニュースや、自身の判断力の低下の自覚などから、高齢者の中には防犯に気を配っている人が少なくないことが伺えます。
ちなみに23%の人が「1年前に比べて防犯意識が高まっている」と回答しています。

このように、調査結果からは「高齢者を中心に、防犯に関する意識は高まっている」と見て取れます。
しかし、調査の後半では実に興味深い結果が出ています。
後半では、生活上の様々なシーンを具体的に示して「この場合には、あなたは玄関の鍵をかけるか」と尋ねています。
結果は、「就寝時」「1時間以上の外出」でも20%が「鍵をかけない」と回答しています。
同様に「1時間以内の外出」では21%が、「近所のスーパーマーケットやコンビニエンスストアに買い物に行く」では24%が鍵をかけていません。「近所人の家を訪ねる」場合は50%が、「ゴミを捨てに行く」では72%が鍵を開けたまま外出しています。
「屋外に洗濯物を干す」「庭の手入れをする」際に鍵をかけるのは20%以下に留まっています。

調査対象が戸建ての持ち家居住者ですので、郊外や地方などに住んでいる人の割合が多いという事情も考えられますが、都市部のマンションでは「オートロック」「ワンドアツーロック」などの防犯設備が当たり前になっている状況と比べると「外出時に鍵をかけない」という生活習慣には違和感を覚える人が多いのではないでしょうか。
つまり、本人は「自分は防犯意識が高い」と思っていても、世間一般の防犯水準からは低く、犯罪者の側からみたら隙だらけというのが実態といます。
「このあたりは、いい人たちばかりだから(泥棒に入る人はいない)」「高齢者の家だから取られるような物がない」という考え方は禁物です。

高齢者に「自身の防犯意識の低さ」を自覚してもらうことが大切ですが、家族が注意・進言しても当人は聞き入れないことが多いものです。高齢者自身が信頼している介護・医療関係者などからのアドバイスの方がスムーズに受け入れられるのではないでしょうか。

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この記事を書いたコラムニスト

西岡 一紀 (ニシオカ カズノリ)

なにわ最速ライター

介護・不動産・旅行

介護系業界紙を中心に21年間新聞記者をつとめ、現在はフリーランスです。
立ち位置としてじ手は最もキャリアが長い介護系が中心で、企業のホームページ等に掲載する各種コラム、社長や社員インタビューのほか、企業のリリース作成代行、社内報の作成支援などを行っています。

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