介護業界 嚙み砕き知識・ニュース

介護ロボットって?

人手不足が際立つ介護現場。コロナによる外国人労働者の入国制限が緩和に向かっており少しは改善されるかもしれません。またシニアを活用した介護助手を職員基準に算定できるようにすることも検討中。

ICTの活用も対策の一つ。
その中でも介護ロボットの活用が課題となっています。

昨年6月に閣議決定された、「ICT、ロボット、AI等の医療・介護現場での技術活用の促進」の中でも、「試行実証現場の実証と効果が確認できたモデルを全国な普及・促進する」という文言が入り、次期介護保険法使用改定での評価も明示されています。

「介護ロボット」に対する関心は高まっているのですが、「そもそも介護ロボットって何?福祉用具とどう違うの?」といった疑問が多いのも現状。
今回は「介護ロボットって何?」について述べていきたいと思います。
 

介護ロボットは幅広い

介護ロボットの定義は次のように定義されています。
「ロボット技術が応用され利用者の自立支援や介護者の負担の軽減に役立つ介護機器」。

介護者の負担の軽減ということでは、介護記録の作成・保管等のICT化を通じての事務の効率化も入り、見守り・排泄などの情報集約等も含まれますので、単なる身体介護の援助機器だけでなく、かなり幅広い範囲が「介護ロボット」に入ることになります。

また、「自立支援、介護負担の軽減」という目的もありますので、「福祉用具」も当然ながら含まれます。

厚生労働省によると、ロボット技術の介護利用における重点分野として以下を定めています。
(1)移乗介助
○ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器
○ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器
 
(2)移動支援
○高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器
○高齢者等の屋内移動や立ち座りをサポートし、特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持を支援するロボット技術を用いた歩行支援機器
〇高齢者等の外出等をサポートし、転倒予防や歩行等を補助するロボット技術を用いた装着型の移動支援機器
 
(3)排泄支援
○排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ
〇ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器
〇ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する機器
 
(4)見守り・コミュニケーション
○介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム
○在宅介護において使用する、転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム
〇高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器
 
(5)入浴支援
○ロボット技術を用いて浴槽に出入りする際の一連の動作を支援する機器
 
(6)介護業務支援
〇ロボット技術を用いて、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする機器

本当に多くの業務に介護ロボットが定義されていることがわかります。

当然のように施設整備に含まれるべき

介護用ベッドや車椅子、特浴は施設の備品として当然のように用意しているのに、介護ロボットというと導入に尻込みする施設・事業者が多いのが現状。
介護職員の腰部負担軽減のための装着型ロボットや自律移動ロボット、コミュニケーションロボット等を導入するために経営者の心理的ハードルをどう下げるのかが課題となります。

介護ロボットと言えば、その効果は「効率化」というものを考えてしまいがちですが、そもそもは「介護負担の軽減」も目的なのですから、職員の「労働安全」の観点を考え、腰痛予防のために導入を考えるようにする必要があるのではないでしょうか。

活用のカギは?

折角導入しても職員がありがたがらないという経営者が多いのも事実。
では職員が活用するためのカギは何なのか?

活用してもらうためには、安全に使えて手近にあり、すぐに使えるということがカギとなります。
そのためには、操作性が高く、安全に使え、短時間の研修ですぐに使えるようになり。必要な時にすぐに使える。

そういう工夫をすることで、職員の心理的ハードルを下げる努力も必要になってくると思われます。

最後に厚生省のホームページから介護ロボットの活用範囲についての一覧を提示しておきます。これを見ると随分幅広い分野に役立つことがわかります。
施設経営者の皆さまには、次回の介護報酬改定に備え、介護ロボットについての認識を深めておかれては如何でしょうか。
 

掲載PR一覧

  • 老人ホーム入居相談窓口