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地域密着型特養の経営状況

WAMレポートに地域密着型特養の経営状況に関するレポートが出ていました。
地域密着型特養は2006年に創設された地域密着型サービスの一つであり、制度創設から15年経過しています。

経営状況については、定員が29人以下と小規模のため、スケールメリットが得られずサービス活動増減差額比率が低く、赤字施設の割合が高いことで知られています。
 

赤字施設の割合の推移

2018年の介護報酬改定で基本報酬の引き上げが行われたため、2019年度には経営改善される事業所が目立ったものの、広域型の特養に比べ、サービス活動増減差額比率は低く、例えば2016年は広域型が5.5%に対し2.5%、2020年は広域型5.2%に対し3.3%と経営は苦しい状態が続いています。

赤字施設割合の推移をみると、2017年以降低下傾向にありますが、2020年度は広域型の特養が27.6%に対し、37.5%と4割近くが赤字で苦しんでいます。
赤字事業所率は2017年の44%に比べると減少しており、各事業所の工夫の跡が見受けられます。
 

施設形態の工夫により黒字化を

地域密着型特養の80%弱が定員29人、28人から21人が4%、20人が12.5%、19人以下が4%であり、ほとんどの事業所が枠いっぱいの定員としています。
単独型が58%、サテライト型が36%となっており、制度創設時の狙い(本体と一緒の場所で効率的な経営を行う)と少しずれているのが現状。

サテライト型だと管理栄養士や医師が本体と兼務可能。設備面でも厨房や医務室等の共有が可能なため、施設形態の工夫により収支改善を図れるところもあります。
また、29人定員の事業所の平均利用率は特養のみの事業所は94%。29人中平均2人が空室であると経営も大変ですね。

ショートステイ、通所介護や小規模多機能と併設している所の利用率は96%と稼働率も高いため、今後開設する事業所はこの辺りを考えて計画すべきだと思います。
 

定員21人で考えてみる

地域密着型特養の20%が3年連続の赤字経営。これでは職員も浮かばれません。

特養の人員基準は3:1。
夜間は1ユニットに1名。

兼務等の基準も良く調べ、やみくもに29人定員とするのではなく、小規模多機能との組み合わせやショートステイとの組み合わせで最適な規模の運営を行う必要がでてきているのではないでしょうか。
 

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