介護施設での暮らし

入浴介助について

入浴介助とは?

入浴介助とは、利用者がお風呂に入る時に、介護職員ができない事を手伝いながら入浴して頂く事ですが、これが、思っているよりも難しい内容です。入浴してもらうだけなのに何が難しいの?と思われている方もいらっしゃると思います。それでは、入浴介助の目的と、なぜ入浴が難しいのかについて、経験をもとに説明させて頂きます。

入浴介助の目的

入浴する事により、身体の清潔維持、感染症の予防、心身機能向上、リラックス効果、血液循環の促進、基礎代謝の活性化などの効果が得られます。
何日も入浴しない日が続いてしまうと、体臭がきつくなり、周りの利用者からのクレームに繋がったり、排泄時に清潔保持を心がけていても、感染症になるリスクが高くなるなどデメリットが多くみられます。

入浴介助の大変さ

私たち今、自分の住んでいる家があり、好きな時に入浴する事ができますが、介護施設に入居されている方々は、好きな時に入浴できない事がほとんどです。それは、ケアプランによって、入浴日・時間が決まっているからです。入居してから時間がある程度経っておられる利用者は、入浴日を覚えておられる事が多いのですが、入居したての方や、認知症により時間の把握が出来ていない方は、入浴に誘うも、
「何でこんな時間からお風呂にはいらないといけないの?」
「昨日入ったから今日は入りません(昨日は入浴日では無く入浴していないが本人は入った気でいる)」
「後で入るからほっておいて」
「同性介助じゃないと入らない」と仰る方がおられました。
そうなると、入浴してもらう為に交渉が必要で、1時間の入浴時間内で、どれだけ早く入ろうと思ってもらえるかの取引が大変だった思い出があります。

注意点

皆さんは、入浴前に準備をしている事や、気にかけている事はありますか?
私が入浴介助にあたる際気にかけていた事は、
① 利用者の持病
② 服薬している薬の内容
③ 直前のバイタル
④ 体調の確認
⑤ 当日の食事量
⑥ 脱衣所と浴室の温度差
⑦ お湯の温度
⑧ 打撲痕・発赤・褥瘡などの確認
⑨ 入浴前後の水分補給
⑩ 床が滑ることによる転倒
⑪ 機械浴の体を支えるベルトの装備
⑫ 機械浴による足・腕・皮膚などが挟まる事
⑬ 利用者から目を離さない
などになります。

入浴介助時はスタッフも注意

入浴介助をする際、スタッフは半袖、半パンで介助に入られる方が多いのではないですか?半袖半パンと言えども暖房の効いた浴室に入り、入浴介助をしていると汗が止まらない経験をされている方も多いと思います。利用者だけでなく、スタッフも水分補給を忘れずに、体調不良などを感じる時は必ず、上長に報告し他のスタッフと変わってもらうなどで対応してもらいましょう。事故を起してからでは取り返しがつかないことになってしまします。たとえ数秒目を離していただけであっても、利用者が溺れてしまう可能性は大いにあります。利用者・スタッフがお互いに事故を起こさないためにも、無理はしないで適切な介護を行えるように頑張ってください。

余談ですが…

介護福祉士実務者研修を受講している時に聞いたお話です。
入浴介助の際、利用者は服を脱がれているのがほとんどだと思いますが、スタッフも服を脱いで介助に入られている施設さんもあるらしいです…色々な施設さんがありますね。

入居を考えておられる利用者・家族様は、施設見学の際、浴槽の種類や設備、同性介助が可能かなどを確認する事をお勧めいたします。

この記事へのコメント

下記入力欄より、この記事へのご意見・ご感想をお寄せください。
皆さまから頂いたコメント・フィードバックは今後の内容充実のために活用させていただきます。
※ご返答を約束するものではございません。

この記事を書いたコラムニスト

中川友貴 (ナカガワトモタカ)

株式会社ベイシス 営業部 シニア課

2016年 住宅型有料老人ホームで介護職員とし入社。3年目からサービス提供責任者を従事後退職。
2020年 株式会社ベイシスへ入社し、シニア事業部配属。

掲載PR一覧

  • 老人ホーム入居相談窓口