介護施設のちがい

介護施設のちがい⑤ 民間版特養? 介護付有料老人ホームとは?

老人ホームの王道 介護付有料老人ホームとは

有料老人ホームって、特別養護老人ホーム(「特養」といいます)とどう違うの?
皆様によく聞かれるご質問です。

制度上から言いますと、
・特別養護老人ホーム=介護施設
・有料老人ホーム=在宅(自宅と同じ扱い)
で介護保険の世界では全く別物の扱いとなります。

ただ、特養は公に準ずる社会福祉法人か社会医療法人しか運営できません。
国に代わって運営するので、建設費に助成金が出たり、税金が免除されたりします。
特養は国の財政事情により施設数に限りがありますので、民間の力を使って、特養に準ずる施設を増やそうとして出来たものが介護付有料老人ホームです。

介護保険上は介護付有料老人ホームのことを「「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた老人ホーム」と呼んでいます。
この指定を受けることにより、本来であれば「自宅」扱いの有料老人ホームが、介護保険施設(「特養」や「老健」)に準じた扱いになり、運営方法も介護保険施設に準じた運営が認められることになります。

簡単に言うと、”民間版特養”ということです。
ですので、特養同様、介護付有料老人ホームに入居してしまうと、他の介護保険サービスは利用できません。

有料老人ホームでも、住宅型有料老人ホームは、介護保険利用限度額の範囲中で、訪問介護、訪問看護、デイサービス、福祉用具等のサービスを組み立てて利用するのですが、介護付有料老人ホームで使える介護保険サービスは特定施設入居者生活介護サービスのみ、車椅子を借りたくても介護保険サービスの福祉用具レンタルは使えず、ホームの紹介する福祉用具レンタル事業者もしくはホームから自費で借りる必要があります。
ですが、24時間の生活していくために必要な介護サービスはほとんど全て包括的に入っていますので、あまり追加費用を必要とせず安心して暮らしていけるのが特長です。

特養と同じように人員基準が定められており、専門職を配置する義務がある

”民間版特養”なので、施設や設備の規準が介護保険法上定められています。

人員基準では、
・管理者を1人配置
・生活相談員(社会福祉士等)を要介護者+要支援者の合計数100名に対し1人配置
・看護職員を要支援者+要介護者が30名までは1人、以降50名増える毎に1人配置
・介護職員(看護職員を含む)を要支援者10人に1人(常勤換算)の割合、要介護者3人に1人(常勤換算)の割合で配置
・機能訓練指導員(看護職員もしくは理学療法士等)を1人配置(兼務可)
・計画作成担当者(ケアマネ)を1人以上配置
という義務があり、これらの人員を必ず揃えないと運営出来ません。

要介護者3人に介護職員1人と言っても、「常勤換算」ですから、1人の1日の労働時間は8時間、週休2日と考えると、実際には要介護者12~13人に対し、1人の介護職員が常に配置されているという計算になります。
また、病院と違って、”機能回復訓練員”ではなく”機能訓練員”ですので”回復”させるほどハードなリハビリの実施を求められているわけでもないです。

そんなに厳しい人員基準ではないと思われがちですが、実は特養とほぼ同基準です。

一般的な有料老人ホームはこのような人員基準が定められていないので、やはり介護付有料老人ホームは介護保険法上人員基準がきっちりと定められ、それを守らないといけない分だけ、サービス的にも良いものが期待されています。

民間施設なので、利用料金もサービス内容も自由に決められる

介護保険法上で定められる施設基準や人員基準さえクリアしておけば、利用料金やサービス内容も自由に決められます(ただし、行政の認可が必要)。

ですので、各施設、様々な特長を持って運営されています。
例えば
・看護職員を24時間365日配置することにより、医療依存度の高い入居者も受入れ可能としている施設
・理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を複数配置しリハビリに強い施設
・介護職員を基準よりかなり多く配置することにより、認知症の入居者に手厚いサービスを行ったり、毎日楽しいレクリエーションを実施したり、入浴回数を増やしたり(特養は原則2回/週)している施設
・ケアマネを複数配置し、その利用者に適したケアプランをたて、実践する施設
といったようなことです。

また、利用金制度も様々。
高額な入居一時金(例えば数千万)を徴収する施設もありますし、入居一時金0円の施設もうります。
月額利用料金(家賃相当額、管理費、サービス費、食費等)も13万円/月~40万円/月までと様々です。

ですので、介護付有料老人ホームを選ぶ場合は、
・自身の身体状況
・自身の医療依存度
・自身の経済状況
をよく勘案し、最も適した施設を選ぶ必要があります。

「施設が綺麗だから」「家に近いから」と言った理由だけで決めてしまうと、後々後悔しますのでご注意ください。

”特定施設入記者生活介護”サービスを受けることが出来る入居者は?

もう一つ注意しないといけないのは、介護保険を使って介護サービスを受けることが可能かどうかということです。

介護付有料老人ホームで特定施設入居者生活介護の介護保険サービスを受けるには、
①介護予防特定施設入居者生活介護
②特定施設入居者生活介護
の両方の許認可を取っているかどうかを注意深く見る必要があります。


②の許認可はどの施設でも大抵取得していますが、まれに①を取得していないホームも存在します。
①を取得していないと、要介護認定が”要支援”だとホームの介護保険サービスを受けることが出来ません。

また、有料老人ホームでよくあるのが、”混合型”というタイプ。
これは「自立」の方(要介護認定が非該当の方)も要介護認定を持っている方も入居が可能なタイプ。
ただ、「自立」の方は当然介護保険サービスを受けることは出来ません。「自立」の方が介護サービスを受けるためには、”自費”でホームの定めた料金を別途支払う必要があります。

入居前の契約でこの辺りの事は、ホーム側から十分説明がございますので、しっかり聞いて判断しましょう。

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