介護施設のちがい

介護施設のちがい① 「特別養護老人ホーム」とは

特別養護老人ホームとは??

特別養護老人ホーム(通称:特養)は、正式名称は「介護老人福祉施設」とよばれ、介護保険法に基づいて介護保険が適用される介護サービスを提供する施設です。
一般的に「老人ホーム」の元祖として、皆さんの頭の中に浮かぶのがこの特養ではないでしょうか?

特養は老人福祉法第11条に基づく市町村による入所措置の対象施設となっています。
運営しているのは社会福祉法人や自治体で、設置時に国からの補助金を受けて居たり法人税が優遇されたりと、公的施設に位置づけられます。

入居条件は、当然要介護認定を受けている人が対象となりますが、2015年4月の介護保険法の改正により、要介護3~5の認定を受けた方のみが対象に変更となりました。
さらに認知症の有無や家族の状況などから緊急度が高い人から優先的に入居できますので、要介護4、5で重度の認知症の方等、状態が重い人が多く入っている施設です。

ただし、要介護1~2の場合であっても、認知症が重度の場合や家族による虐待があるような場合等、やむをえない場合には、特例入所が認められる場合があります。

定員29人以下の小規模で運営される地域密着型介護老人福祉施設もあり、少人数の入所者に対して介護老人福祉施設と同様のサービスを提供できる施設もあります。
(地域密着型は、居住する市町村に住民票を置く人のみが入所対象となる施設です)

利用者は入所することにより、入浴・排せつ・食事などの介護、機能訓練、日常的な健康管理、療養上の世話、レクリエーションなどが受けられます。
すなわち特養は「介護度が高く、日常生活に常時介護が必要な方が入所する住まい」となっています。
24時間介護職員が勤務しており、夜間の介護も安心です。

人員配置基準は入所者3人に介護・看護職員を1人以上と定められています。
「配置医」という医師の配置が義務付けられていますが、この配置医は施設にずっといるわけではありません。契約医が1回/週程度訪問してくるだけですので注意が必要です。

特別養護老人ホームの費用は??

特養の費用は、月々の支払のみで、入居一時金などは必要なく、比較的安価に入所することができます。
ですから、人気があり、常に多数の待機者がいるイメージを持たれています。

月々の利用料は①居住費+②食費+③介護保険サービス費用の1割負担*+④日常生活費の負担等
となります。
*一定以上所得者の場合は2割負担
どの費用も所得によって料金の減免があります。(第一段階:生活保護受給者、第二段階:住民税非課税で年収80万円以下、第三段階:住民税非課税で年収80万円以上、第四段階:それ以外)
例えば、従来型の多床室の方の場合、第一段階の方は自己負担額3万円/月程度に対し、第四段階の方は13万円/月程度になります(※要介護5の方の場合)。

特養により異なりますが、厚生労働省が定める基準費用額は、市区町村民税課税世帯の場合、月々の自己負担は
①居住費(居室を利用する費用) 
約25,000円/月~60,000円/月(多床室・ユニット型個室により差異あり)
②食費(1日3食提供) 
約4万円/月(各施設により異なる)
③介護保険サービスの1割負担額 
要介護5の方で1割負担の場合、約3万円/月~約3.5万円/月(要介護5の場合、従来型・ユニット型により差異あり。各施設の加算状況により若干の差異あり)
④日常生活費の負担
約20,000円/月(各施設により異なる)
で計算すると、要介護5の場合で約115,000円/月~約155,000円/月が目安となります。

③介護保険サービス費用の1割(一定以上所得者の場合は2割)負担 の利用者負担額は、介護度により異なります。
またその施設において介護保険の全単位を終日使い切ってしまうため、外部事業所の介護職員による介護サービスや別途デイサービスなどを利用する場合は、介護保険適用外となり全額実費負担となります。

加えて特養は、月々の施設サービスの利用料金のうち、半額相当が医療費控除対象となります。

毎月の支出は有料老人ホームなどとさほど変わらないとしても、医療費控除の適用可否は、納付する所得税額に影響があるため、そのような点からも特養は費用面でメリットがあるといえるかもしれません

特別養護老人ホームのその他の特徴は?

特養の居室は、ユニット型個室、ユニット準個室、従来型個室、多床室に分けられます。
・ユニット型個室
 1室1ベッドのプライバシーに配慮された個室。
・ユニット準個室
 多床室を改装・分割して作られた個室。施設によっては完全な個室になっていない場合もあります。
・従来型個室
 1室を1人で利用するタイプの居室。ユニット型が登場したことにより、旧来の個室をこのように呼称しています。
・多床室
 1室に対して複数のベッドが配置されているタイプ。現在の多床室は4人部屋となっているケースが多いです。
*「ユニット」…10室の個室に対してダイニングや浴室・トイレなどを共有し、共同生活を送るということ。各ユニットに専任の施設スタッフが担当し介護サポートをします。 

厚生労働省では2001年以降に新設される特養においては、個室であることが設置基準に盛り込まれてい

特別養護老人ホームの現状

特養は、比較的費用負担を抑えて入居できる施設のため、いわゆる待機期間がどうしても長くなりがちで、2014年度の厚生労働省の発表では待機者が全国に52万人、施設によっては何百人まち、入所できるのは数年後…などと言われてきました。
特養にはなかなか入れない…というのが常識となっていました。

ところが最近の報道などによると全国の総待機者数が減少してきているとのこと。
なぜでしょうか。

1つの理由は国の方針でユニット型特養が増え、一般の方の利用料が高くなってきたこと。
元々特養は低所得の要介護者向けにセーフティーネットとして作られました。「集団ケア」を行うことにより運営費を安くしていたのですが、ユニット型になると職員の配置も多くなり料金も高くなってしまいます。
ユニット型の特養は前回の介護保険改定で、収入が下げられた結果、たちまち経営の危機に陥るホームも出てきました。
ユニット型個室で15万円以上になると、比較的安価な有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅と特養の料金格差がなくなり、特養を待つよりも、安価な有料老人ホームを選択する方が増えてきました。

2つ目は、先にも触れたように、介護保険法の改正により2015年から入所基準が変更され、それまで入所者の介護度が「要介護1~5」と定められていたのが「原則要介護3以上」と変わり、要介護1~2では原則的に入居できなくなったのです。

これによって待機者数は大幅に減少し、入居後に介護度が下がっても原則として退去しなければならなくなっため、減少傾向にあることが考えられます。

とはいえ、安価で入所できる特養。
介護が必要な方が住まいの候補として挙げる施設としては、必ず含まれることになると思います。

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