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奈良に前払金2億円超の高級物件誕生 なぜ、今「自立・大型・高級」に着手なのか

近鉄不動産が来年春、奈良県生駒市の学研奈良登美ヶ丘駅近くに高齢者住宅を開設します。

自立者向け居室を中心に全218戸。
50戸は要介護者向け居室として、子会社が特定施設として運営し、入居後に要介護状態になった場合の住み替えに対応します。

前払金の最高額は2億円台。関西では近年まれな大型・高級物件です。

こうした
①自立者が主な対象
②大規模
③要介護居室への住み替え可能
という高齢者住宅は、以前は新規供給が結構ありましたが近年では激減しています。

理由としては
①富裕層向けで、市場がそれほど大きくない
②日本では元気なうちに高齢者住宅に入居する考えが主流ではない
③(特に関西では)高齢者向け分譲マンションという選択肢もある
などが考えられます。

また、大規模物件を開発できる土地の出物が少ないといった理由もあるでしょう。

さらに、これらの物件はいわゆる重厚長大産業の企業が社会貢献として開設する例が多かったのですが、それらの企業が介護事業から撤退していることもあげられます。

こうした中で、近鉄が開設に踏み切りました。

中には「ビジネスモデルとしては古いのでは?」という感想の方もいるかもしれません。実際はどうなのでしょうか。

今回の物件は、従来の同様のコンセプトの物件とは異なる点がいくつかあります。

まず立地です。
近鉄けいはんな線学研奈良登美ヶ丘駅から同奈良線学園前駅まで一帯は、約50年前に近鉄がまちづくりに着手しました。

今でも文教地区として人気がありますし、学園前は関西屈指の高級住宅地です。その一方で、街びらきから50年を経て、住民の高齢化も進んでいます。

つまり、地域内にある程度の入居ニーズがあります。

そして、他の同様のコンセプトの高齢者住宅は、大企業の工場や倉庫の跡などを活用することが多かったため、鉄道便など「住宅としての利便性」は二の次という感じがありました。

それに対して今回の物件は学研奈良登美ヶ丘駅まで徒歩6分。

駅前にイオンモールもありますので、生活には便利です。自立者向けの高齢者住宅では、入居者が毎日通勤するというケースもありますが、学研奈良登美ヶ丘駅から大阪の本町駅までは直通で最速37分ですから十分可能です。

また、近年こうしたコンセプトの高齢者住宅は供給が少なかったため、既存物件は古いという現実があります。

介護の知識や技術が十分に蓄積されているという点では古い高齢者住宅に軍配があがります。

しかし、住宅として評価した場合、新築は大きなアドバンテージになります。

今回の物件は、それらの強みを十分に発揮できるか成否のカギを握るといえます。

しかし、懸念材料もあります。

例えば、販売方法です。
6月から学研奈良登美ヶ丘駅前にモデルルームを開設しますが、これは分譲マンションの販売方法です。

高齢者住宅は食事などのソフト面が入居の重要な判断材料ですが、モデルルームではそれらがわからないこともあります。

またソフト面が判断材料になるということは、物件の稼働後でないと検討・判断できない人が多くなります。
「モデルルームで集客・完工前に完売」という想定ですと、事業計画に大きな狂いが生じる可能性もあります。

また、敷地には約1000平米の芝生広場など3つの庭園が設けられますが、通常は外部に開放しないそうです。

ここが地域の人たちの憩いの場になれば、賑わいが自然に創出され、多世代交流が進みます。

そこから新規入居や就業につながることも考えられます。 

近年では多目的室を町内会などの会合の場にしたり、庭を地域住民がラジオ体操をする場に提供したりと、高齢者住宅では地域交流・共生に向けた取り組みが盛んです。

その流れと逆行している点がちょっと気になりました。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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