15年後は国内労働力が1100万人不足 これまでの人材獲得戦略が通用しない時代に
先日、大阪の高齢者住宅の施設長クラスを集めた座談会が行われたのですが、5名のパネリストのうち4名が、現在抱えている課題で「スタッフの採用・確保」を挙げていました。
このように介護業界の人手不足は深刻化しています。
日本の人口は2008年より減少に転じていますし、残念なことにこの先増加に転じるような材料も見当たりません。
こうした中で、介護事業者には一時しのぎでの対策ではなく、人口減少社会に合わせた事業モデルへの変革が求められると言えます。
先日、一般社団法人全国介護付きホーム協会の年次総会で行われた基調講演「人口減少経済と介護業界の展望」(講師:坂本貴志氏)を、オンラインで聞く機会がありました。
今回は、その内容をもとに介護事業者がこれからとるべき戦略について検証してみたいと思います。
前述したように日本の人口は2008年より減少に転じていますが、坂本氏によれば2025年より減少ペースが加速局面に入ってきています。
労働人口も減り、2040年には実に1100万人者もの労働力不足する計算です。
これからあらゆる業界を巻き込んだ人の奪い合いが始まります。
介護事業者も否応なしにそこに巻き込まれていきますし、それに勝ち抜いていかなくてはいけません。
人手不足については「高齢者など、これまで働いていなかった人たちにスポットを当てよう」という考え方があります。
介護業界でもそうした事業者は多いです。
しかし、現在の日本では、70代前半の男性の41.3%が何らかの形で就労しています。
日本人男性の健康寿命が73歳弱であることを考えると「働ける人はほぼ働いている」と言えます。
では、女性はどうでしょうか。
日本は「女性の社会進出が進んでいない国」という印象がありますが、実は、日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリアの先進6ヶ国の中で、2番目に女性の就業割合が高いのが日本なのです。
つまり「この先日本国内から、新たな労働力が供給される期待は極めて薄い」ということになります。
また、近年の日本では働き方改革などにより労働時間の短縮が顕著です。
2000年~2021年の22年間で日本人の年間労働時間は11.9%減った1633時間となりました。
これはアメリカより短い水準です。
「日本人は働き過ぎ」というイメージはすっかり過去のものなのです。
このように「働く人は増えない・1人当たりの労働時間は減る」といったダブルパンチの中で、介護事業者は何をしなくてはならないでしょうか。
まずはICT機器の使用やタスクシフトなど「業務効率化の推進」です。
人に頼らない経営体制の構築が求められます。
また「提供するサービスの取捨選択」も必要になるかもしれません。
例えば近年では自治体が発注する入札が不調に終わるケースが増えているそうです。
つまり「今の人員体制で請け負えるか」を元に、受注側が仕事を選ぶようになってきているのです。
これまでのように「売り上げを増やすのが第一、取れる仕事は無理をしてでも取っていく」という思考とは逆になっているのです。
介護事業においても同様に「人員配置基準の厳しくないサービス運営に注力する」などといったことが必要になるかもしれません。
また、人の採用が難しくなる中で「人材派遣やスポットアルバイトなど非正規雇用者を上手に活用して乗り切ろう」と考える事業者も増えて来ています。
しかし、賃金の上昇ペースは正規雇用者よりも非正規雇用者の方が高いそうです。
つまり、こうした付焼刃的な人材獲得対策では、長期的には損をする可能性があります。
ビジネスモデルや企業体制を根本的に変えていくことが必要でしょうし、それができない会社は市場からの淘汰を余儀なくされるかもしれません。
介護の三ツ星コンシェルジュ



