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フィリピン滞在で見えたこと・感じたこと 日本は「働く先」として選ばれるのか?

 2024年末~2025年初めにかけて私的にフィリピン(マニラ)に1週間ほど滞在しました。

日本の介護業界で働く外国人人材の出身国としては、近年はベトナム、インドネシア、そしてミャンマーが多くなっており、フィリピンはやや影が薄くなっています。

 しかしEPAで最初に来日したのはフィリピン人であり、現在でも外国人介護人材を求める側にとっては重要な国の1つです。

 皆さんの中には、フィリピンに限らず送り出し機関や監理団体などの招待で、現地の視察をした経験がある方がいると思います。

 しかし、こうした視察では日本語学校の生徒や実習生候補者は「1日も早く日本で働きたいです」などの優等生的なコメントをすることが多いので、なかなか実態は見えてきません。

 今回は、「介護人材の供給源」として見た場合のフィリピンのメリット・デメリットなどについて、個人的に感じたことを紹介したいと思います。

まず「優れている」と思った点です。

〇日本との行き来が非常に便利です。
東京からマニラへは1日複数便のフライトがあるほか、関空、中部、福岡からも便があります。
またフィリピン航空や日本航空といったレガシーキャリアのほかに、エアアジアなどのLCCもあり、コスト面でも助かります。フライト時間も5時間前後と短いため、1泊2日などの短い日程で訪問可能です。

〇日本とフィリピンの時差はわずか1時間です(フィリピンの方が1時間早い)。
急な用事などで現地とやり取りをしなくてはいけなくなった場合にも、日本国内とほとんど同じ感覚でできます。

〇仕事が丁寧です。
例えばレストランで注文をした場合も、ほとんどの店員がその場で注文を復唱していました。
もちろん、接客マニュアルで定められているのでしょうが、「マニュアルをしっかりと守り、ミスをしないようにしよう」という意識が高いと感じました。

 一方で、以下のような点は、介護人材として日本で働いてもらう上ではネックになると感じました(国として劣っているという意味ではありません)。

〇英語の通用度が非常に高いです。
1週間強の滞在中に英語を話せない人には出会いませんでした。
英語が話せれば世界中の多くの国で言葉のハンディなく働けます。わざわざ言葉を1から学んでまで日本で働く必要性がありません。

〇全体的には日本よりも社会インフラの整備なども遅れ、貧しい国ではありますが、日本と同等かそれ以上の生活レベルの人も少なくありません。

 マニラには大きなショッピングモールが沢山あります。
この中で食事をすると、メイン料理にドリンクをつけて日本円で1500円ぐらいします。

 日本のファミリーレストランとほとんど変わりません。
カフェのコーヒーは400円程度です。どこのモールも現地の人たちでいっぱいでした。

 つまり、1食にそれぐらいのお金を出せる層が大勢いるということです。
こうした人たちが増えていけば、その分「稼ぐために日本に行く必要がある」という人は減っていきます。

 滞在中には、治安が良くないとされる庶民的なエリアにも行きました。
確かにそこには職や家がないような人も多く、生活環境は決して恵まれているとは言えませんでした。

 しかし、働けるチャンスが訪れたとしても、彼らが果たして日本で介護の仕事をするだろうか、というのが正直な印象です。少なくともマニラ中心街に関してはそう実感しました。

 地方に行けば英語の通用度も低く、日本の弱点は少なくなるかもしれませんが…

「なぜ、日本なのか」「どうして介護の仕事なのか」。
これから人材を募集するにしても、この2つの点についてしっかりとした説明ができないと、彼らは日本を選んでくれないでしょう。


介護の三ツ星コンシェルジュ

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